「神楽ちゃん。さっきあたしの顔見てなんかニヤニヤしてなかった?」

「してないアル。このマヨラーはしてたかもしれないけどな」

「はぁ!?俺、してねーよ!」

「してたアル。あやのこと見てなんかイヤラシイことでも考えてたに違いないネ」

「キモッ…。土方君ってそういう人だったんだ。」

「嫌々、違うから!違うからな、星野。まさか俺がお前のこと見て…はっ、殺気…!!」


そう言って教室を見渡す土方君の視線の先には沖田君の姿があった。
土方君はそれを見てニヤニヤし、神楽ちゃんも同じ様にニヤニヤしていた。
あたしは何のことだか全く分からず、神楽ちゃんにしつこく問いただした。
答えは全然教えてくれない。
そこまでしてあたしに知られたくないようなことなのだろうか。


「さっきあやとサドの手が重なってたネ。なんで重なったアルか?」

「ああ…それは、消しゴム落ちてたから拾おうとしたんだよ」

「うおーっ、優しいアルな、あやは。」

「ってか、星野って好きな奴とかいねーの?」

「な、何!?いきなりぃ!?」

「お?もしかしているアルか?」

「や、やだなぁ…そんなの…」


いないと答えようとした。
でも、もしそれが沖田君に聞こえたらどうしようと考えた。
沖田君に聞こえてどうなるって問題ではないけど…。
沖田君にあたしの好きな人の話が聞こえるのはあんまりあたしの中ではよろしくないことだった。


「い、いる……」


顔が爆発するかと思った。
それくらい熱くなったのが自分でも分かった。
冷えピタが欲しい。


「マジでか!?誰アルか!?それ!教えろヨーッ!!」

「い、言わないっ!!ぜぇぇぇったい言わない!!」

「チッ」


舌打ちされた…。
でもなんとか言わないで済んだ。


沖田君は今のあたしの話聞いてたかな?
もしも、あたしが沖田君に告白したら沖田君はどんな顔するのかな?


怒った顔?
困った顔?
笑った顔?
喜んだ顔?
哀しい顔?


あたしはどんな顔されてもいい。
いつかはこの気持ち…伝えたいって願ってるんだ。



恋心

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