「ともかく、埒があかねぇよい、オヤジに報告してくるから、お前が後から連れてこい」
「あ、あぁ」
「ほら、お前らもさっさと持ち場に戻れ」
「は、はいっ!」
周りの船員達を一掃すると、マルコは船室へと入っていった。
マルコのお陰でやっと人だかりは散ったと思ったけれど、まだ遠巻きに若干の視線を感じる。
それを鬱陶しく思いながらも、エースは少女に手を差し出した。
「大丈夫か?立てるか?」
少女はエースを仰ぎ見て戸惑ったような表情をしたが、細い腕を床についてなんとか立ち上がろうとした。
しかし少し腰が浮いただけで、どうやらまだ震えがおさまっていないようだった。
「ぅ…っ」
「って、流石に無理か…」
エースは頭をポリポリと掻くと少女を抱き上げた。
「きゃっ!?」
「おっと、暴れるなって」
突然のことに少女は腕やヒレを揺らしたが、エースは腕に力を込めて強く抱きしめた。
濡れた尾ヒレがビチビチと呻って、本当に魚みたいだった。
そのまま船内へ歩き出すと、流石にもう諦めたのか少女はエースに身を委ねた。
途中、すれ違う船員たちに怪訝な顔をされたが、一直線に船長室を目指した。
「オヤジ、連れて来たぜ」
辿り着いたその大きな扉を開けると、少女の肩がまた強張った。
広い室内には数人の人間がいた。
マルコと、ナースが数人、それから…
「グララララ!エース、おめぇハナタレのクセに人魚引っ掛けてきたんだってなぁ」
「だから、不可抗力だって!」
部屋の中央に鎮座する男は、姿は人間なのに、どう見ても人間の域を超えている。
まさに“世界最強”の名に相応しい出で立ちで、エースと少女を迎えた。
オヤジと呼ばれたその男はエースに楽しそうに笑いかけると、視線を少女に移した。
「なんだ、まだガキじゃねぇか」
男が身を起こすと同時に少女の体が仰け反った。
まるで、その迫力に押されたように。
「〜〜〜〜っ!!!」
「って、え?どうした?」
少女の体が強張ったと思ったら、力なくエースに凭れ掛かってきた。
急に動くものだからエースがバランスを崩すと、マルコがまた溜め息をついた。
「何やってんだよい」
しかし、そんなマルコの呆れ顔も目に入らないほどエースは慌てていたのだ。
「おい!?大丈夫か!?」
「おい、どうした?」
エースが膝をつくと、ようやくマルコもその異常に気付いたようだ。
青白くなったその顔を覗き込むと、少女は白目を剥いて気を失っていた。
突然の有様にエースは思わず叫んだ。
「オヤジ!」
「グララ!どうした!」
覇気出すなって!
(おい、エース!オヤジは覇気なんて使ってねぇよい)
(え?そうなのか?じゃあ、なんでコイツ気絶してんだ?)
(それは…)
(まさか、オヤジのデカさにビビッたって訳でもないだろうし…)
(おい、エースっ!)
(……っ)
(えっ?オヤジどうした?泣いてんのか!?)
(エース…もう、それ以上言ってやるな…)
(え?そうなのか?じゃあ、なんでコイツ気絶してんだ?)
(それは…)
(まさか、オヤジのデカさにビビッたって訳でもないだろうし…)
(おい、エースっ!)
(……っ)
(えっ?オヤジどうした?泣いてんのか!?)
(エース…もう、それ以上言ってやるな…)
2013/04/09
内心ショックを受けるオヤジが書きたかったんです!
あと、なんか凄いエースがバカっぽくなってしまった(笑)
続くと思います。
あと、なんか凄いエースがバカっぽくなってしまった(笑)
続くと思います。