それから、どれほどの時間が経ったのだろうか。
久しぶりに魚と戯れながら楽しい時間を過ごしていたら、いつの間にか島が見えなくなっていた。
気が付けば日も傾き始めている。
「た、大変…!」
慌てて魚達に方角を確認しようと、リルが海へ潜った時だった。
突然、何かに体を引っ張られた。
「え…?」
しかし辺りを見回しても、いるのは魚達だけ。
見えない謎の力に引かれ、状況を飲み込めないままリルは慌てふためいた。
「え?えっ!?えー!!?」
主に右肩の辺りを強く引かれて、なんとか抵抗しようと腕をバタつかせたが効果はない。
魚達も慌ててリルを追いかけてきたが、それよりも引かれる力の方が速い。
唯一の頼りである魚達の姿が、どんどん小さくなっていきリルはパニックになった。
(ど、ど、ど、どうしよう〜!!)
そうこうしている内に、リルの体はどんどん引っ張られ、次第に海面へと上昇していく。
思わず目をつぶると、体が空気に触れた感触がした。
それと同時に浮遊感が襲い、驚いて目を開けると見知らぬ男と目が合った。
「よっしゃー!大物ゲッー…ト…?」
満面の笑顔で見上げていた男は、リルの姿を確認するとポカンと口を開けた。
(見上げる?)
どう見てもリルより体格のよさそうな男が自分を見上げている。
その不可解な状況を理解しようと思っても、脳みそはちっとも働かない。
(あ、そばかす…)
思わず男の顔をまじまじと見つめてしまったが、だからと言って何が変わるでもなく。
まるでスローモーションのように少しずつ男との距離が縮まり、自分が宙を舞っていると気付いた時には、地面はすぐそこだった。
「うわっ!?」
「きゃっ!!」
男が尻餅をついたのと同時に、背中に衝撃が走った。
何かにぶつかったようだが、痛くて目も開けられない。
「〜〜〜っ!」
しばらく痛みに悶絶していると、男が近付いてくる気配がした。
痛みを堪えてなんとか目を開けると、太陽の光を遮るような影がリルの顔を覗き込んでいた。
逆光でよく見えなかったが、先ほどと同じそばかすが何故か目に焼き付いた。
「あれ?魚…じゃねぇのか?」
「ひゃっ!?」
その声が意外と近くから聞こえたものだから、驚いて距離を取ろうとした。
しかし、痛みで体が思うように動かない。
起き上がれず蹲っていると、男がリルの肩に手を伸ばした。
「大丈夫か?」
「どーしたんッスか?隊長?」
もうすぐ手が触れる、と言ったところで、今度は別の男の声がした。
気付けば数人の男たちが二人の周りに集まってきていた。
「いや、なんか大物釣ったと思ったんだけど…」
「って、エース隊長!」
それ魚じゃありません!
(よし!丸焼きにするか!)
(って、食べられませんから!)
(うぇええ〜ん!火炙りはやだぁ〜!)
(じゃあ、刺身にするか!)
(だから食べないでくださいって!!)
(って、食べられませんから!)
(うぇええ〜ん!火炙りはやだぁ〜!)
(じゃあ、刺身にするか!)
(だから食べないでくださいって!!)
2012/12/18
流行ってるっぽい書き方に挑戦してみました(笑)
時系列とか、あんまり突っ込まないでください…
続くかもしれない。
時系列とか、あんまり突っ込まないでください…
続くかもしれない。