Rachel

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Trick or Sweet! [4/4]


「トリックなんとか、ってなんだ?」
「トリ肉か?」
「肉から離れろ」

同じくチョコレートだらけの狼男に呆れていると、悪魔が優しく微笑んだ。

「“トリックオアトリート”、お菓子くれなきゃ、いたずらするぞって意味よ」
「へぇ〜」
「おれも!おれも!トリックオアトリート!」
「へいへい」

子供みたいにハシャぐジャックオランタンに、適当に菓子を放ってバラ撒いたら、男性陣が一斉に群がった。
そのスキに魔女や悪魔にお茶を出していると、巨大ケーキを食べたのか、口の端にチョコレートをつけた天使がやってきた。

「あ、リルちゅわん!こっちのスペシャルケーキ食べるかい?」

天使は大きく頷いてから、嬉しそうに筆談用のボードを出した。
そこには可愛らしい字で“Trick or Treat!”と書かれていた。

「さぁ、どうぞ、エンジェル」

パンプキンケーキを差し出すと、天使はもうそれに夢中で吸血鬼のことなど見ていない。
先ほどは遠目で見たいたから分からなかったが、近付くとチョーカーの隙間から小さな内出血の痕が見えた。
アクアリウムバーでの出来事を思い出すと、ついニヤけて牙が飛び出す。

「“Trick”って…どんなことしてくれるつもりだったの?」
「っ!?」

耳元でそっと呟くと、そのノドがゴクンと大きく鳴った。
驚いてこちらを見上げた顔には、茶色とオレンジ色が混ざった唇があった。
色んな意味で甘く美味しそうな唇に指を寄せ、その高級食材を拭い取る。
舐めてみたら、やっぱり甘く、なんとも言えない味になっていた。

「それとも、さっきの続き…する?」
「っ…」

ペロリと舌を出すと隙間から牙が覗いて、天使は顔を真っ赤にした。
そんな可愛らしい顔を堪能していると、後ろからため息が聞こえた。

「こら!こんなところでイチャつかない」
「え〜?ナミすわん、ヤキモチ?」

思わず顔の筋肉を緩ませると、魔女が無言でホウキに手を伸ばしたので、慌てて引き締めた。

(あぶねぇ、あぶねぇ…)

また竹箒でチリチリにされるところだった、と胸を撫で下ろしていたら、後頭部に衝撃が走った。

「いてっ…」
「っ…」

驚いて振り返ると、頬を染めた天使がハートのステッキを振りかざしていた。
眉間にシワを寄せ、キュッと唇を結んでいる。

「もしかして、これが“イタズラ”かい?」
「!」

不意打ちで驚いたが、大した衝撃ではない。
しかし、これが彼女の精一杯の抵抗なのだろう。
そう思ったら微笑ましかった。

そんな吸血鬼の様子に、バカにされたと思ったのか、天使は頬を膨らませた。

「いたた!ごめんよ、エンジェル」
「ふふっ、楽しそうね」
「もっと、やっちゃいなさい!」
「そんな〜、って、いでででっ!!」

和気藹々とした雰囲気だったのに、突然後頭部が痛みに襲われた。
どうやらステッキの金具が絡まったみたいで、吸血鬼の悲痛な叫びに驚いた天使は、慌ててステッキを引いた。

「あっ!引っ張ると、いっでー!!」
「!?」
「なんだ?どうしたー?」
「あっはっはっ!リル!もっと引っ張っちゃいなさい!」
「吸血鬼さん、いつかハゲちゃうんじゃないかしら?」
「ナミすわん、ロビンちゅわん、ひでぇ…」


紳士、淑女の皆さま。
天使の仕返しと、魔女と悪魔の策略には、ご注意を…

2012/10/31

オチが見つからなくて、どんどん長くなってしまいましたが、なんかエロティックなサンジさんが書きたかっただけです^^;
サンジくんは実はクセ毛説に一票です!
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