「二年ぶりの再会」キルア

「ただいまキルア、遅くなってごめん」

「誰お前」

「ごめんってば…」

「知らねえよ。お前なんてもうとっくに忘れた。忘れたんだからな!」

「私は一日だって忘れられなかった」

「うるせえ二年だぞ。こんなに待たせやがって。お前なんかもう家でも国でもどこへでも好きなところに帰っちゃえよ」

としぼりだすような声が耳元でして、言葉とは反対にやさしい腕が私を閉じ込めた。きつくきつく抱きしめられて、ならここに帰るよと私は思う。
20150327


「理性のふち」蔵馬

獣のような眼をした蔵馬と眼が合った。バイオリズムのせいで時折彼は彼でいられなくなるのだ。押し倒されて背中からソファに沈み込む。
「ごめん」
理性のふちからの小さな謝罪を聞いて、思わず呼ぼうとした彼の名前は噛みつくようなキスに呑み込まれて消えた。
20150327

「僕の心、君知らず 」 イルミ

弟達と遊んでいた彼女は、ふと俺を振り返り声をひそめて聞いてきた。

「さっきから不機嫌そうだけど、イルミ私に嫉妬してる?」
「なんでそうなるの」
「だってイルミってブラコンでしょう」
「否定はしない。だけどそうじゃないよ」

不機嫌なのはお前が俺にかまわないからだよ。
20150327

「ずっと見つめてるよ」イルミ

「この間から何なんですか貴方。…まさかストーカー…?」
「ハハ、そんな他人行儀な関係じゃないだろ俺たち」

合鍵なんて作った覚えはないのに彼は鍵を差しながら笑っていた。

「だって一緒に住んでるんだから」

くるりと鍵が回り私の家のドアが解錠された。

(ずっと見つめてるよ、いつもどんな時も)
20150327

「ジャイアニズム」クロロ

『お前のものは俺のもの。俺のものは俺のもの』
この台詞で有名な某ガキ大将をご存知だろうか。彼もなかなかの暴君に違いない。しかしクロロはその上をいく。

「どこから侵入してくるの」
「玄関からだが?」
「何その当然みたいな顔」
「問題あるのか?」
「私の家だからねここ」
「なら俺の家も同然だろう」
「なるほど〜…ってちがうちがう!」
「このプリンはなかなかうまかった」
「はっ…たのしみにとっといたのに!」
「お前のものは俺のもの」
「くそう剛田主義者め……!」
「この家もう何もないな」
「あんたが勝手に色々持ってくからでしょ!」
「家具が一番面倒だったな」
「ちょっ、肩にかつぐな下ろせ」
「お前のことも俺がもらってやる」
「わー人さらいー!」
「お前のものは俺のもの、お前自身も俺のもの」

ああ、恐るべしジャイアニズム。
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