「キスもしくはキス」イルミ 「私と付き合おう!」 驚く俺に彼女は満面の笑みで続けた。 「うん、て言ってくれなきゃキスする!」 それはぜひともされたい。 「しなよ」と言いかけて困ったことに気づいた。付き合うかキスするかふたつにひとつなのか。でもどっちも欲しいしな。どうしたものかな。悩みながら彼女を見ると、わくわく顔で俺の返事を待っている。ああなんだ、俺からしちゃえばいいのか。 20150831 「べつにいいけどさ」ミルキ ぐえ、と下から声がした。 画面に夢中で座る対象物に注意を払ってなかったんだ。 「いたのかよお前。悪い、だいじょうぶか?」 「うーんダメかも、肋骨全部いっちゃった。ミルがキスしてくんなきゃ治んない」 「うそつくなよ」 「ちぇーミルキのけち。ねー起こしてー」 「ったく、甘えてんじゃねえよ」 そうは言ってもこいつに頼まれるとつい聞いちゃうんだよな。俺もまんざらじゃないし。よっこらせ。 「えへへー好きだよ、ブタくん」 「けんか売ってんのかよ」 起こしてやったのにこいつは俺の膝を枕にしてまた寝はじめた。べつにいいけどさ。 20150830 「かわいいサディスト」キルア ベッドの中、まるでコアラにくっつかれてるユーカリの木みたいに両手両足でしがみつかれてる。年下らしく甘えてくるキルアがすごくかわいい。このままいくらでも甘やかしてあげたいところだけど。 「ちょっと離して、キルア」 「やだね」 「トイレ行きたいの」 「知らねえよ」 「ほんとにもう限界」 「聞こえねー」 「ちょっとー…かんべんして」 「ここで漏らせば?」 「……」 「俺はかまわねえよ。あんたが恥ずかしがってるとこ見るのも悪くないしね」 きらきらした笑顔で何言ってんだコイツ。前言撤回、やっぱ全然かわいくない。 20150828 「少女ならば視線で殺せ」アルカ 「ねえねえー」 「何ですか?アルカ様」 「しーっ!ないしょの話なの」 アルカ様が口元を手で囲みながらもう片方の手でお呼びになるので僕は腰をかがめて耳を差し出した。 「あのね…」 そうささやいたきり何もおっしゃらない。あれ?と思った次の瞬間だった。 「!」 唇にやわらかいものを感じてハッとする。 「えへへ、チューしちゃったー」 アルカ様はあどけなく笑ったかと思うと走って行ってしまわれた。なんてかわいい嘘つきだろう。 *** 「ツボネ先生、僕恋に落ちました」 「寝言はいいから手を動かしなヘッポコ執事」 title by 星食 20150827 「そして暗殺者になる」カルト ーえ、カルトくん毒の入ったものしか食べたことないの? ーこれ美味しいから食べてみて。もちろん毒なんて入ってないよ。 ー怪我したの?つらい時は無理に修業しなくていいんだよ。 あの人は僕を叱らないし拷問もしない。やさしくてあたたかくて一緒にいると安心できた。だけどあの人といると僕は駄目になる。もっと早くそのことに気がついて関係を絶っていれば彼女は死なずにすんだかもしれない。 「そいつはお前に必要なかった。…分かるね?カルト」 「はい、兄様」 ばいばい。 貴方と決別することで僕は立派な暗殺者になるんだ。 20150825 「世界がなんだ」イルミ 世界中の人に嫌われてるような気がする。 そう言ってあいつはさっきからずっとうじうじ泣いている。いらいらする。社会とか世間とか、正体のないものにどうしてそこまでこだわるかな。なにが怖いんだよ。俺が世界一お前を愛してるんだからそれでいいじゃないか。 20150825 「うたた寝」イルミ 気がついたらソファで眠ってた。最近忙しくて寝不足だったし仕方ないか。ひとり納得する。でも分からない。なんでこいつは俺の膝で寝てるわけ。 20150823 「いただきます」ヒソカ ヒソカは料理が上手い。それはもうべらぼうに上手い。 「ただいまー」 「おかえりハニー。お風呂にする?ご飯にする?それともボクに「今日のご飯なに?」 「……サーモンのクリームパスタだよ」 「きゃーおいしそー!」 「…前から思ってたんだけどキミさ、本当にボクのこと好きかい?」 「え、好きだよもちろん」 「…そのパスタよりも?」 「…………………」 「黙らないでよ…」 ボクってそんなに魅力ない?とヒソカはいじけてしまった。ごめん、そんなこと絶対ありえないよ。でもその端正な顔立ちも筋肉で引き締まった身体も正直この絶品クリームパスタの前じゃ二番手三番手。私はヒソカの作る料理に骨抜きなのだ。許してね、あなたの変態プレイには食事の後で付き合うから。 いただきます。 20150822 「呼び出しくらった」蔵馬 「校舎裏なんかに呼び出すからカツアゲでもされるのかと思っちゃった」 「カツアゲって…俺が君から?」 「うん」 「本気でそう思ったのか?」 「…70%くらいはね」 「…俺をなんだと思ってるんだ」 「元盗賊のこわいおにーさん?」 「………(言い返せない)」 20150815 「卒業なんてしない」フィンクス 「お前はいつまでこうなんだ?」 私の背中を一定のリズムでやさしく叩きながらフィンクスはあきれ顔。 「ずっと」 「ずっとってどれくらいだ」 「一生だよ」 「気が遠くなるな…」 「うれしいくせに」 「馬鹿言え」 「フィン」 「ああ?」 「明日も一緒に寝てくれる?」 「…気が向いたらな」 そう言って毎晩こうだ。フィンはやさしいから。 20150815 |