恋とは、
俺は真剣に悩んでいる。
本当にものすごく。
だけど答えが見つからない。
俺は隣のクラスのある女の子が気になっている。
目が丸くて足細くてちょーかわいい子!
噂によると学年1位のかわいさらしい。そりゃかわいいわ。
だけど、それが恋なのかは分からない。
そこで頭がよくイケメンの田口に聞くことにした。
田口は学年1位の賢さだ。
まともな回答が返ってくるはずだ!
意を決して昼休み、お弁当を食べる田口に近づいた。
「なあなあ、田口〜」
「……なんだ」
「恋って、なに?」
「…―――っ!!!な…」
俺はかなりびっくりした。
だってあの賢くてイケメンの田口が赤面していますから。
(もしかして…恋愛には疎いのか?)
俺はそう判断し、少し責めてみた。
「もしかして、…彼女とかいたことない感じ?」
「〜〜っ!」
もっともっと顔赤くして、どんどん赤くして、こくんと頷いた。
(なんか…かわいいかも)
ふとそんな感情が押し寄せた。
正直、隣のクラスのあの子より今は断然こっちが気になる。
もしかして、これこそが恋なのか…?
「あ、安部は…気になるやつがいるのか?」
「俺?まあそのつもりだったんだけど、まあいいや」
「…??」
確かに意味不明なことをしている。
恋って何?って聞かれといて、結局いいやって答えられて訳が分からないとは思う。
そのきょどった顔もまたかわいい。
「好きなやつとか、いねぇの?」
また責めると、もどりかけた顔色がまた赤面しだした。
この反応はどうやらいるようだ。
「だれだれ〜?」
少しにやついて顔を近づけてみた。
するととん、と胸元に指を当てられる。
「…え?」
「――っ!」
指を見て、至近距離で目を合わせる。
田口が息を飲んだのがわかる。
その差約15cm。
指は人差し指で、まっすぐ俺を突き刺していて、その指は震えていて…
「……俺が好きなの?」
また田口は息を飲んだ。
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