デート日和!


「お姉ちゃん、何してんの」
扉の向こうにいたのは顔を真っ赤にしたお姉ちゃん。
「うおぉっ、す、紗奈か!」
開けていきなり立ってるわ、声をかければこの反応、…何かあるのね。
「当たり前でしょ、私の部屋の前なんだから」
今日は休日。
ゆっくり懸賞はがきでも書こうかなんて思ってたけどやめた。
きっとお姉ちゃんがピンチ、だから。


[デート日和!]



「洗面所行こ、やってあげるから」
「お、おぅ…」

この間私が見立てた安売りワンピースを着てバタバタと落ち着かないお姉ちゃん。
友達と出掛けるにしては様子がオカシすぎるでしょ?
でもあえて何も言わない。
だってお姉ちゃんは一所懸命にやってるだけだから。
いや、お姉ちゃんの未来に繋がることかもしれないし一生懸命になるのかな?
どちらにしろ100%でぶつかってくから、からかうなんて可哀想なことしないんだ。
だって私のお姉ちゃんだし。

コテで毛先を軽く巻いてあげる。
懸賞の商品にしてはいいものが当たったもんだなと思う。
緩めに二つに結って、ゴムには花飾りがついたものを選んでみる。
ビックリするくらいお洒落に縁遠かったお姉ちゃんは、ビックリするくらいなんでも似合う。
お陰でこうやってイジる方も色々楽しめるし、この姿を見て動揺するあの人を想像するだけで笑ってしまう。
あの人はきっとあまり動揺しないけど、お姉ちゃんには弱いはず。
ホント、面白い人たち。

「出来たよ」
「…あ、ありがとな」
馴れない自分の姿を見て照れくさそうなお姉ちゃん。
ま、確かに好きな人のこんな顔見たら誰でも動揺するよね。
「早く行かなきゃまた遅刻するよ?」
「え、あぁ!もうこんな時間か」
慌てて玄関に向かうお姉ちゃん、…それにしても毎回こんなに緊張してたら身が保たなさそうだなぁ、なんて。
「紗奈!」
いきなり呼ばれたので片付け途中で見てみれば真っ赤な顔のお姉ちゃん。
「…なに?」
「今度、こういうやつのやり方教えてくれるか…?」

うん、やっぱり私のお姉ちゃんは可愛い。
シスコンみたいに思われてもいいよ。
だって可愛いんだもん。

「ん、分かった。いってらっしゃい」

今日は休日。
絶好のデート日和。
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