だって空が青いから


昼休み、抜けるような青空を視界の端に捉えながら今日中に提出の書類にペンを走らせる。
今日はバイトがあるため、放課後残るわけにはいかないのだ。

それにしても、今朝いきなり渡してきておいて「それ今日中によろしくな」って先生には毎度のことながら溜息が出る。
出来れば前日くらいに渡してくれればいいのに。
でもそんな事は言ってられない。
バイトがあるからと言って生徒会の仕事を疎かにするべきではないのだ。
逆もまた然り。

ふいに。

書類に影が落ちる。

「捗ってる?」
「…お前の邪魔さえなければもう終わるのにな」

静かに窓の外を見ていたはずだった碓氷が立ち上がったのだ。
途端に心拍数は上昇、いやいやそれは驚いたからだ、そうに違いない。

「じゃ、早く終わらせてよー」

生徒会と関係ないとはいえ人をイラッとさせる言い方を平気で出来るこいつをある意味尊敬する。

「だったらそこにおとなしく座っておけ」
「はーい、…教室戻れとは言わないんだ?」
「言って欲しいなら言われる前に戻って構わないが?」
「それはお断りしまーす」

カタンと音を立てて椅子に座る碓氷の髪は太陽を浴びてきらきらと輝いている。
その光を視界の端に捉えて、再びペンを走らせる。

「終わったら、中庭行きたいナー」
「勝手に行ってくればいいだろ」
「会長と行きたいから言ってるの」
「ああ、そうかよ」

走るペンの音が少しだけ早くなった気がするのは、気のせい?

「…素直じゃないねぇ」


だって空が青いから



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