地下救護牢シリーズA続・地下救護牢にて
11〜12話:終
続・地下救護牢〇七五番にて##H1##11話##H1##
赤くなった頬を隠すように片手で顔を覆った一護は、照れ隠しの為にわざと眉間に皺を寄せて、口の中でブツブツと、そう言ってもらえて嬉しいぜ…と呟いた。
一護のように、もともと目つきの鋭い人間が眉間に皺を寄せたりすると、睨み付けているようなキツイ顔になってしまう。
けれど、雨竜は一護と深く付き合うようになるにつれて、きつく鋭いだけではない、強い意志がこもった眼差しなのだと知るようになった。
そして普段外に見せている、きつすぎるイメージの裏側には、驚くほど情の深い、優しい彼がいることも知っている。
――――僕はその強さに焦がれ、その優しさに癒される……。
自分を惹きつけてやまない一護が、こんなにも自分を大切に想ってくれていると思うと、胸が締め付けられるような甘やかな感情が湧きあがってきて、雨竜はふっ…と綻ぶような笑みを浮かび上がらせた。
それは滅却師の力を失い囚われの身となってから、久しく失われていた微笑だった。
続・地下救護牢〇七五番にて##H1##12話##H1##
雨竜の唇が柔らかな微笑みで綺麗に形どられるのを見て、照れの残る顔を安堵したように和らげた一護は、愛しさを込めて雨竜の額に軽く口付けを落とした。
「やっと笑ってくれたな、石田」
少し窮屈なくらいに雨竜を抱き締めると、腕の中の雨竜から吐息とともにフワリと力が抜かれて、一護の胸に身体を預けてきた。
「もう俺から離れるなよ。これからは、ずっと一緒だ」
「…………うん」
甘い色の含まれた一護の囁きが、雨竜の心と身体に染み込んでゆく。
――――ここが尸魂界だということも
滅却師の力を失ってしまったことも
すべてを忘れて
今だけは………
黒崎の優しさと温もりだけを感じていたい……。
一護の存在に包まれる幸福を感じながら、雨竜は密やかに瞼を閉じた。
《おわり》
一護が甘々でなんかハズカシイ///
【絆】へ続く
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