カレカノ



「なぁ、俺らってどっちが“彼氏”なん?」

「は?」

 俺の恋人であるユウジ先輩は、偶に脈絡も無く意味分からん事を言い出す。

 部活が午前しか無くて俺の部屋でお互い別々の事しとったらユウジ先輩がいきなりそぉ聞いて来て、俺は反射的にそう返しとった。
 それでもユウジ先輩はただ見上げて来はるから、俺は訝しげな表情を隠しもせんと口を開く。


「いきなり何なんすか。」

「いや、俺らって両方男やん?
 そないな場合はどっちが“彼氏”なんやろなーて。」

「……どっちも彼氏でええんやないですか?」

「えー。」

 えー、やないでしょ。
 そんなん言うて口尖らせられても可愛いだけなんすけど。

……まぁ、後半の言葉は口に出せへんけどな。俺のキャラちゃうし。


 俺とユウジ先輩は付き合い始めてもうちょいで3週間になる。
 せやけど俺もユウジ先輩もしょーもない意地張ってまうタイプなんもあって、キス以上の事はした事もあらへんっちゅー性欲有り余る男子中学生同士とは思えん程の純情カップルや。(キスも付き合う時に一回やっただけやし。)
 いっそのこと今タコみたいな口なっとるユウジ先輩の唇にキスしたろかて思てみたけど、当のユウジ先輩はそんな俺の気持ちも知らんとブーブーと反論の言葉を紡いどる。


「何かそれは語呂悪いから嫌や。彼氏と彼氏やったら、カレカノやなくてカレカレやん!」

 語呂悪いて。
 つかそんな問題気にせんでええやないですか。

 そう思いつつも機嫌損ねたら直すんが大変やから、投げ遣りなってしもたけど会話を続けた。

「せやったら、ユウジ先輩が“彼女”なんちゃいます?」

「は!? 何でやねん!」

「男同士で彼氏彼女て分けんねんやったら、ヤる時に突っ込まれる方が“彼女”でしょ。」

「ヤる、て…!」

 あ。何か勢いのままに言うてしもた。

 別に明確に俺が突っ込む方やとか決めた訳ちゃうし、勝手にそないなん言うたら嫌がられるんちゃうやろか。


「………。」

 ユウジ先輩は俺の言葉に顔真っ赤にして、視線を泳がせながら何も言わん。

「…嫌っすか?」

 顔には出さんけど、恐る恐る聞いてみた。
 ユウジ先輩は相変わらず視線を右往左往させとって、かと思たら小さい声やったけどハッキリと言いよる。


「…ひ、光とやったら、彼女なったってもええでっ。」



「…先輩可愛いすぎ。」

 そう言うて衝動のままにユウジ先輩の傍に行って、唇に通算2回目となるキスを落としたんやった。



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