恋色病棟



 
※千歳の喋り方が似非

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 明日は部活も午後からな土曜やしっちゅう事で、いつもよりちょい遅くまで起きてネタの小道具を完成させた。
 んでちょうど寝よ思てベッドに入ろうとしたとこで耳に入ったんは、聞き慣れた自分の携帯の着信音。(正しくは着うたやけどな、まぁそんなんどうでもええけど。)
 パッと携帯を取って開いて、そこに表示された名前に少し眉を寄せた。

 画面右上を見たら今はもう深夜1時過ぎ。

(あいつ、今何時や思とんねん…。)


 少し逡巡してみるけどその間も携帯から音が途切れる様子は無いから、俺は溜め息を吐いてから電話に出たった。

「こないな時間に何の用じゃ、…千歳。」

『あ、ユウジ…やっと出たばい。』

「? 何や声かすれてへん?風邪か?」

『んー…多分そうばい。今日、近所の野良猫達と遊んどったら夕立にやられたけん。』

「オドレはアホか。」

 部活サボって何しとんねん、ボケ。て、続けようとした言葉は咳き込んだ千歳の声に遮られる。

(ほんまに本格的な風邪っちゅう感じやな。)

「ちゃんと薬飲んだんか?」

『引っ越して来てから初めて風邪ひいたけん、薬とか、ゴホッ、家になか。』

「それ位常備しとけや…あーもう、分かった。
 今からお前ん家行ったるから、身体暖かくして待っとけ!」

『ん、待っとる。』

 俺の言葉に満足げにそう言うた千歳に、最初っから俺に来て貰う気やったんかコイツてイラッとしてまいながらも片手間に下ジャージと上着をあさった。
 ピッと電源ボタンを押して流れとる機械音無視して携帯を閉じて、履き替えたジャージのポケットに突っ込む。


「ったく、何で俺が…」

 そうぼやきながらも寝静まった家から出て向かう足を止めへんのは、惚れたモン負けっちゅうやっちゃ。あーもうむかつく!



*****



 千歳の口振りからして家に医療用品が何も無いんは分かっとるから、俺は薬の他にも冷えピタとかマスクとか仰山(ちゅうてもコンビニに売っとるもんなんてたかが知しれとる。)買うたレジ袋を揺らして千歳ん家、っちゅうかアパートの部屋のドアの前に着いた。
 こないな時間じゃチャイム鳴らしたら近所迷惑やから、ドアをノックしながら声をかける。

「千歳ぇー、優しいユウジ様が来たったで〜。」

 そう言うたら暫くしてからドアが開いて、顔が真っ赤な千歳に笑顔で出迎えられた。

「ユウジ、待っとったばい。ゴホッゴホッ」

「ちょ、大丈夫かいな…あがらして貰うで。」

 咳き込んだ千歳に慌てて部屋に入る。その瞬間締め切られとった所為かむわっとした熱気が漂って来て、反射的に顔を潜めた。
 一応訪ねる前にマスクはつけといたけど、こん中にはウィルスいっぱいなんやろなぁて思うだけでげんなりした気分や。


「千歳、取り敢えずお前はベッド行っとけ。水汲んでくるから。」

「ん…」

 脱水症状とか起こしてたらかなんしな。
 大人しくベッドに行った千歳を横目に買って来たミネラルウォーターをコップに入れて、千歳に渡す。半分位飲んだんを確認してから薬を飲ませて、横にならせて冷えピタを貼ったったんやった。


「ユウジ、ありがとうな。」

「…おん、気にすんな。」

 無邪気にへにゃりと笑た千歳に、こないな状況でも不謹慎にドキドキして目を逸らしてそう返す。(せやかてよう考えたら、2人っきりなんやで!?)

 あ、そや。千歳もマスクつけな。(喉痛いんやったら尚更。)

「ちと――」

「ユウジ。」

 名前を呼ぼうとしたら先にそう呼ばれてハッとして其方を向けば、上半身を起こした千歳の熱に浮かされた瞳と視線がかち合うた。
 その視線から目ぇなんか逸らせんくてただ固まって見つめ返しとったら、ちゅっと音がして漸く気付いた0センチの距離。

「っえ…?」

 ポカンと口を開けて千歳の顔を見つめれば、千歳はヘラリと笑ってから…倒れた。


……何やったんや、今のん。

 思考が追いつかへん。
 頭がグルグルと回るような感覚に俺も風邪ひいたんちゃうんか、てボンヤリ思いつつも千歳に布団をかけたる。

 ちゅうか、え?今のん何やったんやホンマに。
 やって今、マスク越しに唇に感じたんは明らかに、千歳の――


「ッ!!」

 気付いた途端に顔に熱が集まって、俺はどうすればええんか分からんくなって部屋から飛び出したんやった。


 いや、やって、やって、おかしいやろ!
 アイツ風邪ひいて頭おかしなったんか!??
 それとも何や?これが目的で俺を――てそれはないか。

 そうグルグルと思考しながら、マスクをつけた口元を抑えて俺はただ走って我が家に向かうんやった。



恋色病棟
(あん時から何や具合が悪い)
(どないしてくれんねんボケ…)


(11/28)
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「かなん」:「かなわん」が訛った言葉



 何か微妙な感じになった/(^O^)\
 ボカロの恋色病棟をイメージしたつもりが全然違うものになりました…千歳語ワカラナイヨ…

 この後財布忘れて取りに帰るのも気まずいからほんとにユウジは徒歩で家に帰りました(笑)

 ちと→←ユウですが、お互いに告げるつもりはない2人。
 風邪で弱って勢いでちゅーかましちゃったけど、気まずいので何も覚えてない素振りでユウジに接する千歳。ユウジはあの日から悶々しちゃって、いつか耐えきれずに千歳の前で泣いちゃえばいいと思う(^ω^*)

 ちとユウ好きだけどやっぱり書けない…(´・ω・`)






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