嘘吐きの涙
「俺な、謙也が好きやねん。」
ユウジがそないな事を言い出した経緯は何やったっけ…あ、そや、好みのタイプの話しとった時や。
ユウジは小春ラブやと思とったら、あれはネタや、他に好きな奴居るしとか言い出して。
予想外のそないな発言聞いたら、そら小春を凌ぐユウジの好きな奴とか気になるに決まっとる。
せやから、誰なん?って、聞いたら。
「え……」
ユウジは真剣な表情で、せやけどどっか怯えたような瞳を此方に向けとる。
あ、え、嘘やん…な?
やってユウジは俺の親友やし……俺は男、やし。(ユウジは小春やから男でも好きやったんやろ?)
「、ぇっと…それは、本気か?」
俺、今自分の顔がめっちゃ強張っとる自信ある。
辿々しくなりつつもそう尋ねれば、ユウジは此方を見つめたままコクリと、頷いた。
ドッドッドッドッ、急速に早なった心臓の音が内側から俺の聴覚を犯す。
どないしよ、どうしたら、友達っちゅう関係のままこの告白を断れるやろか。
頭の中に浮かぶんはそんな焦燥ばっか。(やって、俺、ホモちゃうし…。)
もう口ん中カラカラや。
せやけどこの静寂の広がる真剣な空気が気まずくて、早よ何か言わな、て口を開いた。
「――なんてな!」
「っへ?」
口から吐き出そうとした言葉はユウジの笑顔で言うた声に掻き消されて、結局俺の口から出たんは情けない声。
ユウジは俺の顔見て謙也その顔めっちゃ間抜けやで〜て言いながら爆笑しとって、やっと状況を把握して来た俺はもしかして、と言葉を紡いだ。
「嘘やったんか?」
「当ったり前やろ〜。俺は小春一筋や!
何が悲しゅうて謙也みたいなヘタレに惚れなアカンねん。」
あー腹痛い、っちゅうて言葉通りに腹抱えて笑うユウジを見て、口から出たんは安堵の溜め息。
「ま、友達としてやったら謙也のこと好きやけどな!」
「うっさいわ…」
そう力無く悪態ついた俺を見るユウジの瞳が泣きそうやったとか、俺は全く気づかんかった。
嘘吐きの涙
(ヘタレやけど、優しい謙也が好きやった)
(10/05)
中1の冬位に謙也かユウジの家で遊んでる時の話。
ユウジがガチホモなら、小学生の高学年ら辺から自分の恋愛対象が他と違う、同性だと気付く訳じゃないですか。
そして親友になった友達に報われない片思いを繰り返してるのかな、って思ったら、謙也にも片思いしてたに違いない!みたいな(^q^)
美奈の中で、1年の時はユウジと謙也は同じクラスで親友だったりするんです…
顔で笑って心で泣くユウジ
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