猫耳が生えた!



「うわー、これホンモンやん。めっちゃ触り心地ええ。」

「ッ、おま、もぉ離せや!」

 そう言うても俺の耳を触る白石の左手は離れんくて、俺は頭をブンブン振って抵抗した。
 せやけど白石の右手は一瞬離れただけで刹那にはもいっこの方を触っとる。

 あーもうホンマ意味分からん。
 部室で昼寝しとっただけやのに起きたら猫耳、て。どないやねん!


「つかどないしよ、これ。」

「ええやん、このまま授業出たら。皆コントのネタやて思うやろ。」

「阿呆か!こないな姿、小春に見せられる訳無いやろが!」

 白石の言葉にそう反論して睨みつける。
 そんな俺の気持ちに反応して、頭部についた第二の耳もピクリと震えた。


「んー…せやな、こんなかあええユウジを他に見したく無いわ。」

「可愛ないわ、どアホゥ。」

「…ユウジ、ちょっと猫の鳴き真似してくれへん?」

 はぁ?何でやねん。

 そう思たままに顔に出とったらしく、白石は「ええやんか。」て言うた。

「それともユウジ、人間の物真似しか出来ひんの?しょーもな。」

「はぁ!?出来るっちゅーねん!
 見とけよオ"ラァ!」

「おん。」


 思い浮かべんのは、白石ん家の愛猫のエクスタちゃん。
 動作まで真似てエクスタちゃんみたいに白石の腹辺りに頭をグリグリしながら、俺は口を開いた。

にゃぁ〜ん。


 …………。


「リアクションしろや。」

 自分が言い出しおった癖に無言かいな。

 怪訝に思て白石を見上げれば、口元を押さえて目を見開いとる白石。


 ………?

「白石?どないしたん?」

 俺の言葉にハッとして、白石はギュッと俺を抱き締めた。

 しかもその手の動きが、何か妖しい。


「え、ちょ、しらいし!?」

「んー?」

「んー?やない!んー?やないから!
 何で服ン中に手ぇ突っ込んでんねん!!」

「やってムラムラしたし。」

「ムラ…ッ!??」

 え、何処でムラムラしてん!
 ちょ、そないなトコ触っ…!

 いつの間にか鳴った昼休み終了の予鈴と共に、俺は座っとったベンチに押し倒されたんやった。


……因みに、ヤって気絶してから目ぇ覚めたら猫耳は無くなっとったで。



猫みみが生えた!
「せやから堪忍て、猫の真似したユウジ、おねだりしとるみたいでむっちゃ可愛かってんもん。」「自分が猫の真似せぇて言うたんやろが!」

●突然のできごと20題





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