どこまでが嘘?



 

 エイプリルフールっちゅうたらどないな嘘吐いても許される日や!
 それは漫才だけやなく、人に悪戯とかすんのが好きな俺には正にうってつけの日ぃであって。

 深夜に早速謙也に好きや付き合うてくれてメール送ったら、謙也からごっつテンパった電話が来てえらい笑わせて貰た。(嘘やてバラしたら、騙されたんが恥ずかしいんかヤケに沈んだ声なってたで謙也の奴。)

 せやけどやっぱ告白とかやったら直接やないと俺の演技力を生かせへんし、っちゅう訳で謙也には口止めして朝一番に会うた奴でリベンジする事にしたんや。
……せやけど、こう言う時に限って一番に会うたんはノリの悪ぅて可愛ない後輩やった。


(こいつ絶対騙されへんやろ。っちゅうか騙されたとしても躊躇せんとバッサリ振るな…。
 いやいや、どんな奴相手でも妥協せんでやらな意味無いっちゅーねん!)

 光と目ぇ合うてコンマ2秒位でそう考えて、俺はいつもの笑顔で手を振る。

「おっ、光やん。おはようさん!」

「…………。」

「て、無視かーい!」

 うわ、こいつ有り得んやろ!
 目ぇまでバッチシ合うたのにスルーして目の前過ぎて行きよった!

 思わず光の後頭部目掛けて突っ込んだら、光は全身でめんど臭いっちゅーオーラプンプン醸し出しながら振り返る。

「…ああ、先輩居ったんですか。全く気付きませんでした。」

「嘘つけぇ!あ、いや、嘘吐くな!
 オドレ目ぇ合ったやろがい!」

「…気の所為っすわぁ」

 いや、どう考えても気の所為ちゃうやろ!オドレそない棒読みで言われて信じる奴が居るかいな!

……て、危ない危ない。
 危うくいつもみたいにこいつのペースに長されてまうとこやったわ。

 突っ込みたい衝動をグッと抑えて、俺はちょっとだけしおらしゅう俯きながらポツリと呟く。

「まぁ…気の所為やったらええねんけど…」

「……先輩、いつもとちゃいません?気の所為ちゃうやろて怒鳴ると思てましたわ。」

(こいつ…っ、そこまで分かっとって惚けてたんかい!)


 ほんま可愛気の無い後輩やと内心で憤りつつ、俺は「そんなんで怒鳴らへんわ。」と引きつりそうになる頬をこらえて答えた。


 あーもう、さっさとこいつに嘘吐いて小春に会いに行こ!

「あん…な、いきなりで吃驚するかもしれんねんけど、俺光の事が好きやねん!」

「…エイプリルフールですか。」

(やっぱバレたー!)

 表情を微塵も変える事無く、しかも断定形で答えよったでこいつ!

 こんまま引き下がるんは何か癪やけど、嘘の言葉を募らせても小春に会える時間が減るだけや。
 せやから途端に少女漫画のヒロインの真似は止めて、俺はけっと言うて顔を顰めた。


「何やねん、折角俺が告白したってんのに、ちょっと位ノれや。」

「嫌に決まっとりますやんか。
 嘘やなくて本気の告白やったら、喜んで付き合ったげますけどね。」

「はぁ?」

 光の不可解な言葉に更に眉を顰めれば、光は「ユウジ先輩、」なんて改まったように言葉を紡ぐ。


「俺は先輩の事、死ぬ程大っ嫌いですよ。」


 ハッキリと直球に告げられた言葉に吃驚して呆然としとったら、光は「ま、嘘ですけどね」なんて言うてスタスタと俺を置いて歩を進めてったんやった。



どこまでが嘘?
(光は俺が嫌いで、せやけどそれは嘘で…えええ?)(もしかして嘘っちゅうんも嘘なん?もう訳わからんようなってきた!!)


(4/7)





 遅くなりましたがエイプリルフールねたです(笑
 財前はユウジが好きで、エイプリルフールに好きって言われるって事は何とも思われてない→ちょっとムカつく なんて勢いだけで告白まがいの事しちゃった的な。
 一回スルーしたのもユウジに構って貰う為ってゆーね、んもう、財前素直になれよ!!←


 エイプリルフールにこのサイトに来て下さった方は、吃驚させちゃってすいませんでした(^^)
 ちょっとでも笑って頂けていたら嬉しいです♪







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