猫みたいな君



「光って猫みたいやんな」

 小春先輩っちゅうかユウジ先輩と副部長以外の3年レギュラーがU‐17合宿とか言うんに呼ばれて居らんから、ユウジ先輩のモノマネライブの手伝いみたいなもんなんかな。正式には引退した癖に部活に相変わらず顔出しとるユウジ先輩の暇やったら付き合え、なんて言葉に、俺はしゃーなしに買い物に付いて来たった。

……まぁしゃーなしっちゅうのんは嘘やけど。
 ほんまはむっちゃ吃驚したし、どきどきもした。先輩らが行った合宿に参加せんかったんはめんどかったからっちゅうんが大体の理由やけど、ユウジ先輩と一緒に居れるからって言うんも理由の1つやったし。
 午前だけあった部活の帰りなんもあって、俺もユウジ先輩もウィンドブレーカー姿。色気もへったくれも無い。
 せやけど遅めの昼飯に来たマクドで向かいに座っとるユウジ先輩はやっぱり可愛らしゅう見えて、これが恋は盲目っちゅーやつなんやろなぁてぼんやりと思った。


「は?猫?いきなり何言い出しとるんすか。頭湧きました?」

「おま、相変わらず一言多いなぁ。仮にも俺先輩なんやけど」

「あぁ、そぉいやそうでしたね。忘れてましたわ」

「忘れんなや」

 そう軽く突っ込みを入れてユウジ先輩は笑って、そんな先輩が可愛えなぁとか、そんなんばっか思てんのに口から紡がれる言葉は相変わらず失礼な物言いにしかならん。
 まぁこれは元からの性格やし、今更どうにかしよとかは思てへんし。せやから俺は相変わらずどうでも良さそぉな科白ではぁとだけ返事を返す。

「千歳な、あいつよぉ授業サボりよんねん」

「ああ、部活も偶にサボってましたしね。そんな感じしますわ」

「ほんで裏山に居る猫とよぉ遊んどってんか。せやから合宿行くから世話したってって、まぁ俺も偶に一緒にふけてたからな。頼まれてん」

「はぁ」

「その猫ん中の一匹な、真っ黒で目つき悪いねん。そんで何や俺が触ったら嫌がるし、そん癖餌貰う時だけはおとなしゅうしとるし」

 ジブン、その猫にごっつ似とるわぁ。とか言うてユウジ先輩は快活な笑顔を見せて、俺はそんなユウジ先輩に思わず内心でちょっとムッとして反論を試みてみた。


「別に、嫌がっとりませんし」

「いやいや、光よぉ俺と小春にキモいて言いよるやん」

「それは事実っすわ」

「どこやねん。俺らの純愛のどこがキモいんやっちゅー話!

「謙也さんの声で言わんとって下さい。キモいっすわぁ」

 やって、事実やんか。

 ユウジ先輩、小春先輩が居る時はいっつも小春さんにベタベタして。小春先輩が好きやって全身でアピールしよって。
 俺はあんたが好きやのに、そんなんされとったら凹みますやん。人間観察とかやっとるんやったら、俺の気持ち位読み取って下さいよ。


 小春先輩の名前を出した途端に恋しゅうなったんか小春ぅと切ない声色で呟いだユウジ先輩に、俺はそんな思考を遮るように言うたった。


「…あんたも猫みたいっすよ」

「はぁ?どこがやねん」

「気まぐれで、懐いたと思ったら直ぐ離れて行ってまうし」

 脈絡も無く誘われたら、ちょっとは期待してまうに決まっとるやんか。どうせ気まぐれなんも分かっとったけど、ぬか喜びって分かってても期待してまうこっちの身にもなって下さい。


「懐くって何やねん、それに別に離れとらんやん」

 先輩相手に懐くっちゅう表現は無いやろ、なんちゅうて不服そうな顔をしたユウジ先輩。
 俺はそれを無視して存在を忘れとったハンバーガーに噛みついた。



猫みたいな君
(振り回されるこっちの身にもなって下さい)
(なんて言うたって意味分からんねんやろうな、この人は)



(11/17)


 監督、息子さん達を私にください。様に提出させて頂きました♪(^^)

 あれ、甘いお話を書きたかった筈なのに…あれぇー?
 ユウジも財前もほんと可愛いです。オサムちゃん、息子さん達を私にください!幸せにしますから!←

 読んで下さりありがとうございました(笑)

美奈






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