見つめられない
「綺麗なもんって、何や眩しゅうて直視でけへんくなんねん。」
会話の途中にそう言葉を零した目の前で座っとる俺の恋人であるユウジは、さっきからごっつ俺ん事ガン見して来よる。
何や、それは俺が綺麗やないって主張しとんのか。
別にナルシストやとかちゃうけど、恋人に遠回しに綺麗ちゃうって主張されて嬉しい奴なんか居らん。
せやから俺は態とらしい笑顔を浮かべて、「それはつまり、」て言葉を紡いだ。
「ユウジは俺は綺麗やないって言いたいん?」
「は?いや、ちゃうけど。
せやなくて、練習してんねん!」
「練習て?」
俺の促しにあーとかうーとか言いながら目を泳がせるユウジ。
そないな仕草さえ可愛らしゅう思ってまうんやから、恋は盲目っちゅーんはホンマやなぁとしみじみ思う。
衝動のままにユウジの意外に柔らかい猫っ毛を撫でたりながら、目線で続きを催促してみた。
そしたらユウジは顔を真っ赤にしてしどろもどろになりながら、ボソボソと言葉を紡いだ。
「し、白石って綺麗過ぎんねん。
せやから…」
「せやから、何や?」
「…せやから白石ん事見とったら、ドキドキする。
やけど白石ん事めっちゃ好きやし、見ぃひんのんて勿体無いやん?
……やから、白石ん事見ても目ぇ逸らさへん練習してんねん…。
……白石?」
どないしたん?て不思議そうにこっちを伺って来るユウジ。
何やねんユウジのやつ、むっちゃかわええ。寧ろ可愛過ぎるやろ。
あー、キスとかしたい。
せやけどめっちゃ周りに人居るやん。
屋上とかで食べとったら良かった。
「なぁ、白石、ごめん。引いた?」
そんなんちゃうよ、せやからそない不安そぉな顔せんとってぇや。
ただユウジが可愛過ぎて、動揺しとっただけやから。
せやけどそぉ言うんは何となく嫌やったさかい、俺は何も言わんとユウジの手を握ったった。
「っちょ、しらいし!」
「大丈夫やで。」
それだけの行為で顔を赤らめるユウジ。
俺はそんなユウジに笑顔で笑って、ユウジの耳元で囁いたったんやった。
「ユウジにやったら、どないな表情でもめっちゃ一杯見せたるから、練習なんかせんでも自然に慣れてくで。」
その代わり、ユウジのかわええ表情も一杯見せてな?
そぉ囁いて、真っ赤なっとるユウジのほっぺに触れるだけのキスをしたんやった。
(11/26)
何というやおい文/(^^)\
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