カタチが欲しいの



「そぉいやユウジ先輩、知ってます?」

「ん…何が?」

 少々怠い身体を動かして光の方に目線を向けてみれば、光はどことも分からん場所に視線をやりながらも器用に今使ったコンドームの口を締める。
 男同士なんやから避妊とかせんでええっちゅーても、ゴム着けへんかったら後処理がめんどい。
 それに今日は光ん家、普通に家族居るし。シーツ汚したら怪しまれるし、1回しかヤってへんかったんもあっていつもより俺は情事後も余裕があった。(っちゅーかいきなり盛んなや。)


「日本の科学者が、ネズミの卵子同士を受精させて子供作るんに成功したらいしっすわ。」

「へぇ。」

 そらまたケッタイな事やりおったなぁ。
 こんままやったら、いつか女同士で子供出来るようになるんちゃうん。

 鈍い思考んままそう思たら、光は俺と同じ事考えとったらしい。
 いつか女だけで子孫作ってまうようになったりして、なんて言うから、俺はははっ、てふざけた様に笑て口を開く。

「ほんなら男も、子供出来る様になったりしてなぁ。」

 なったらええのに、て思う。

 光は俺を好きやって言ってくれとるけど、所詮俺やって男。
 俺ん中に精液入っても子供なんか出来んし、大人になったら光かて家庭を持ちたなるに決まっとる。
 それはしゃーない事やし、俺が男やからいかんねんもん。光がいつか離れて行ってまうんは、いつか絶対の未来や。

 ネズミの雌同士が子供作れたからって、現実問題人間では無理。もし仮に出来たとしても、それはもっと未来の話やねん。


 そう分かっとっても何や考えたら悲しゅうなって来て、それが表情に出てたんか光に覆い被さる様に抱き締められた。

「もし男同士でも子供出来る様になったら、俺絶対ユウジ先輩に俺の子供孕ます。
 ほんで子供出来た責任取って、一生養ったりますわ。」

 そう言うてぎゅっと抱き締める力を強められたから、俺も光の背中に手ぇ回して抱き締め返したる。


「……阿呆、子供が出来ようが出来んとこうが、光ん事なんか俺が一生養ったるわ。」

「、ユウジ先輩に養われるとか…勘弁っすわ。」

 こんな言葉を交わし合ってても、実際どうなるんかなんて先ん事は分からん。
 そう現実的に考える自分が何処かに居って、その思考を振り払うように光の肩に顔を埋める。


 光の肩越しにコンドームを包んだティッシュがゴミ箱から見えて、中出ししてくれたら良かったんに、なんてぼんやり思った。



カタチが欲しいの

(一生一緒に居れるっちゅー、愛のカタチが欲しいねん。)






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