最果てまでワルツ | ナノ
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afterword


『最果てまでワルツ』のカカシ視点をお読みくださいありがとうござました。
カカシ視点は、本編では伝えられなかったカカシの内心や、カカシ側で何があったのかなどをまとめたくて書きました。
本編は夢主の一人称なので、あくまでも夢主視点でしか物語は進めませんでしたが、本当はこんなことあったんだよカカシはこういうこと思ってたんだよ!というのを知ってもらいたい、という自己満足だけで始めました。
このカカシ視点を読むことで『本編のこのときカカシは何を思っていたのか?』という疑問が解決できたなら幸いです。


ここから先は少し長い語りになるので、興味がない方は飛ばしてください。





* * *



@
この長編において、カカシは夜、オビトは太陽、リンは花(菫)、夢主は月をイメージしていました。

・月は太陽に照らされてようやく光り、いくつもの表情を見せる。
・夜は月を包み、太陽とは共には在れない。
・花は太陽に光を注がれつつも夜に恋するけれど、夜は花を閉ざす。
・太陽は手の届かぬ地上の花に焦がれ、月に光を与え、夜に背を向ける。

陰である月と夜、陽である花と太陽の四人で、そんな風にバランスを取っていたらいいなと思いました。

全編を通して夢主はカカシを「夜色の目」や「夜」、オビトは太陽でリンは花(菫)と表しているで、その辺はなんとなく分かって頂けると思いますが、夢主の『月』は伝わらなかったかもしれないのでこちらで説明させていただきます。

本編の『三日月を背負う』は
・夢主→背中に三日月の傷を負う
・カカシ→そむけていた顔(=新月)を少しだけこちらに向けた(=三日月)夢主を背負っている
という二つの意味を込めてつけました。

そのあとのカカシ視点『こいねがう』でカカシが夢主の横顔を半月に例えたり、最終話でオビトではなく自分に向き合ってくれた顔を満月に例えたりして、それとなく『夢主=月』を描写を入れたつもりです。

本当はこうやって説明するのではなく、読んだ人に自然と気づかせるのが一番いいことだと分かっていますが、自分の技量では到底でき兼ねることでしたので、みっともないことですがこうして改めて説明をさせて頂きました。
長編はキャラぶれみたいなものを起こしやすいので、こうしてイメージを固めておくととても楽だなぁとしみじみ思いました。


A
以前、カカシ視点23話を更新した際にメモの追記で「彼は誰」と「誰そ彼」について少し説明いたしました。(詳しくは2020年1月23日の記事をご参照ください)
実はあれにはもう一つ意味があって、一応両視点の最終話で、それとなくまとめたつもりでいたのですが、恐らく伝わりきっていないのでまたここで補足させてください。

夢主にとってカカシとの、カカシにとって夢主との記憶や、相手を強く思ったり感じたりしたときが、それぞれ夕暮れ(誰そ彼)と夜明け(彼は誰)になるように書きました。
仏壇に手を合わせた帰り道、彼岸花に魅入ったとき、人を殺したことを肯定された、ナギサとの仲を勘違いされた……などは夕暮れの頃。
薄荷の飴、願い事を貸し合う約束をした新年、慰霊碑の前で誓い合ったり、玄関で押し倒した……は夜明けの頃。
互いが起こした、心に残って胸を引っ掻いて頭を殴られるような出来事は、できればそんな時間にと考えて練っていきました。
ただカカシにとって夕暮れも、夢主にとって夜明けも『何か起きたとき』ではあるのかな、と書き終わって思う部分もあります。


B
頂戴した感想の中で、「カカシはいつ夢主のことを好きになったのか?」とお訊ね頂くことがありました。
私個人の考えを述べさせていただくなら、『いつの間にか、気づいたら』です。
一応4話の辺りできっかけだけは芽生えていましたが、当時は恋にまでは発展していません。
ただ「矢印が向いているのかもしれない?」と思われる部分は少し入れていたつもりでした。
例えば7話でカカシは「中忍試験なんていう大事なときでもオビトばかり見ている」と夢主を評していますが、そのカカシ自身も夢主をふと探している…という感じで。
はっきり自覚し認めたのは23話ですが、それまでにも夢主に惹かれる自分にうっすら気づきそうになって、でも認めるのは避け続けていたので、その辺から恋をしていたといえば恋をしていたとも言えますし、スイッチが切り替わったのは23話だから23話から好きになった、という見方でも間違いではないと思います。

明確に『ここから好きになった』というものはなくてもいいのではないかな、と思います。何だか気が合うな、何だかつい見てしまうな、一緒に居て落ち着くな、もっと傍に居たいな。そういうものが積み重なって『気づけば好きだった』でもいいのかなぁと。


以上、個人的な語りでした。


* *  *



更新ペースが本編中よりずっと落ちて、お待たせする時間が長くなりましたが、最後までお付き合い頂きありがとうございました。
夢主視点(本編)、カカシ視点がどちらも終わりましたが、長編自体は第四次忍界大戦が終わった辺りで、やっと本当の意味で完結する形を描いていますので、番外編などで少しずつ話を書いていきたいと考えております。

改めまして、『最果てまでワルツ』のカカシ視点を読んでくださってありがとうございました。


2020年6月13日 La

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