最果てまでワルツ | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -



平和生存IF
(夢主がオビトに告白する)



成人してからもモダモダしていたが、ようやくサホがオビトに告白する。
オビトはリン一筋で他なんて見てないのでまさに青天の霹靂。
めちゃくちゃ焦りつつも「自分が好きなのはリンだから」と告白を断る。
サホはフラれると分かっていたけどやっぱりつらい。
でも「これからも友達でいてね」と決めていた台詞をなんとか言ってその場を後にする。


うわぁ、マジかよ全然気づかなかったと、フッたあとでやたらとサホを意識するようになってしまう。
たまにサホを見かけては(自分のこと好きだったんだよなぁ……)とか
リンと親しげに会話している姿を見ては(オレがリンを好きだって知ってて、どういう気持ちでリンとも親友だったんだ……)とか
気になって目で追いかけるようになって(サホってあんなに可愛かったっけ)など思い、
なんでフッたくせにこんなこと考えてんだよ、ともやもやムズムズする。


しばらくすると、カカシとサホがよく一緒に居るところを見かけるようになったと気づく。
まあ仲良い方ではあったけど、と考えつつも気になり、カカシにさりげなく
「最近サホと仲良いな」
と訊ねると
「もうすぐで付き合えそうなんだよね」
とか事もなげに言われて「は?」ってなる。
「……お前サホが好きなの?」
「そうだけど」
2回目のマジかよ。え、こいつサホが好きだったの? 全然気づかなかった。
でもサホはたしか自分のことが好きで……え、じゃあ何? オレたちループしてない?なんか矢印ぐるぐる回ってない?
などと難しい顔で思案していると、

「サホがお前を好きだったことなら知ってるよ。いつも相談や愚痴を聞いてたし、お前に告白させるために何回も協力した。この前ようやく告白が済んで区切りがついたから、オレもサホに告白したんだよ」
と言われてマジかよ3回目。

『付き合えそう』って、それってサホの気持ちがカカシに傾いてるってことだよな。
え? オレに告白してから二ヶ月も経ってなくない? もう心変わりしてんの?
え? 女子ってそんなもん? 二ヶ月で好きな奴変わんの? 早くね?)
と、つい最近自分に告白したのにもう次の男を見つけてるサホに妙なモヤモヤが湧く。

「なに? フッたくせに惜しくなっちゃったわけ?やめてよね、今お前が出てきたらうまくいくものもいかないじゃない」
「なっ、ちげぇよ! そんなんじゃねぇ!」
「そんなんじゃないなら何? 自分を好きだって言って二ヶ月も経たないうちにオレと付き合いそうなのが気に食わないの? そこはサホを口説いてるオレの手腕を評価するところであって、サホを尻軽扱いするところじゃないでしょ」

「あいつ、お前のことホントに好きだったんだよ。お前がリンを好きなように、二十年近くずっとお前が好きだったんだよ。あいつの気持ちを軽んじるのは、お前だけは絶対にしてやらないで」

「『付き合えそう』なのもオレの願望であって、サホの気持ちが今どっちに傾いてるかなんて分かるわけない。傷心につけこんで、次に目を向ける視界に無理矢理オレをねじこんでるだけで、オレだって余裕なんてないんだから。これ以上面倒なこと起こさないでよね」

一方的に言って去っていくカカシに、尤もだなと思う部分もあり、了見の狭い自身に恥ずかしさと情けなさを覚える。


しばらくして、カカシとサホが付き合うようになったとリンから報告を受ける。
リンはショックじゃないか、よりによって親友のサホがカカシと……と様子を窺うが、見る限りリンはいつもと変わらない。

「オビト、さっきからジロジロ見てどうしたの?」
「……リンは、大丈夫なのか? その……」
カカシに想いを寄せていることを自分が知っているとリンも分かっているので、気まずさ全開で訊ねるが、当のリンは
「カカシとサホのこと? ええ、大丈夫。だって私、気づいてたもの、カカシの好きな人のこと」
あっけらかんとそう返す。
「気づいてた? いつから?」
「そうねぇ……もしかしてと思うようになったのはずっと前からだけど、はっきり確信したのは成人してからかしら」

「いつかこうなるかもって分かってたわ。だから覚悟はしていたし、サホだったら諦めもついたの。私の親友を好きになるなんて、カカシはお目が高いわ」
そう軽い調子で言って笑う姿に無理は感じない。
じゃあリンは本当にカカシのことを吹っ切れて、二人のことを受け入れているのか。

何故だかポツンと孤独を感じる。
理由は分からない。
昨今の急展開に頭や気持ちがついていけないからか。

里のどこかで、親しげな二人を見かけることが増えてきた。
カカシの表情は額当てやマスクで相変わらず窺いづらいが、サホはカカシに笑いかけ、時に拗ねてみせ、困ったり焦ったり微笑んだりはにかんだり、いろんな顔を見せる。
あの顔がオレに向けられる可能性もあったんだ。あんな風にサホと肩を並べて里を歩いて、飯でも食べに行ったり買い出しして部屋で飲んだりするような未来もあったんだと、こちらを向くことのないサホに「もしも」を馳せた。


20200307
(20191228@Twitter)


Prev | ----