▼12/5 new
寒さで目を覚ました。布団から出ていた頬も鼻も冷え切っている。冬は毎朝こうだ。けれど、隣に君がいる朝は、頬が緩む。首筋の匂いを嗅ぐように、冷えた鼻先を擦り付ければ、びくりと驚き身体を震わせた。「…おはよ」なんだ、と安心したように僕の頭をそっと撫でて「もう朝か…」と、笑った。(沖斎)


▼11/14 new
「……総司……?」リビングで本を読んでいた。キリのいいところまで読み進めてから眠ろう。それに付き合うように、総司が隣でスマートフォンを弄っていた。まだ台詞の途中だと言うのに、はっと我に返ったのは、肩に感じた重み。甘えているのかーーー否、聞こえる寝息にただ、笑みがこぼれた。(沖斎)


▼10/28〜11/6 new
ずっと探してる人影はぼんやりとしていて。誰を探し続けているのか、自分でも分からない。…分からない、のに。突然足が止まったのは、彼だと思ったから。横断歩道を急ぐ彼の腕を掴んで引き止めた。「一君…!」きっと君も僕を覚えているだろうって期待してた。「すまない、急いでいるんだが」(沖斎)

他人を見るようなその瞳が信じられなくて僕は手を解いた。「何故俺の名を知っているのだ?」…僕は覚えてるのに。言いたかったこと、伝えたい気持ちが大きすぎて、心が重たい。「ごめん、人違いだったみたい」ピタリとはまった筈のピースがちぐはぐだったことに、後から気がついたような感覚。(沖斎)

今までぼんやりとしていたことを、一君に会って思い出した。刀を交えたことも、命を懸けて戦ったことも。のんびりとした非番の縁側も、一緒にご飯を食べたことも。その手に触れたことも、温もりを感じたことも。全部、思い出した。「あはは…は、」忘れてしまえばいい…でも、忘れたくない。(沖斎)

『どこかで会ったことがあるか?』仕事から解放されて携帯を見ると、一君からそんなメールが届いてた。仕事での接点もあって、あれから何度か会うことが出来た。けれど、前世の話を伝えたところで彼が何と思うかわからなかったし。でも、思い出し始めてる?参ったな…こんなに、嬉しいなんて。(沖斎)

『さあ、どうだろうね?』そんなことしか返せなくて。自分でも素直じゃないなってわかってるけど。君に思い出して欲しい。…もしくは、今の僕を、前と同じように愛してくれるというなら、たとえはっきりと思い出してくれなかったとしても、幸せ、だと思うから。『明日、少し時間を貰えないか』(沖斎)

『少しじゃなくてもいいけどね?何時にする?』約束を取り付けた後、なかなか眠れなかった。何て言われるだろうか、何て言おうかそんな事ばかり考えていた。仕事中にも、何かいい事あったのかなんて同僚に聞かれるほど僕はご機嫌だったらしい。待ち合わせ場所で一君を待つこの感じ、懐かしい。(沖斎)

現れた一君が、無言で僕に紙袋を差し出した。「え、何?くれるの…?」中を覗けば、小さな瓶の中に色とりどりの金平糖が閉じ込められていた。「あんたの好物だったと記憶しているのだが…」まさか本当に思い出した?覚えててくれた?「うん、うん…大好き…っ」また、君の隣に居られるんだね。(沖斎)


▼10/25 new
「ただいまー!!」騒々しい。玄関を入るなり慌ただしく台所にやってきた総司が、後ろから抱きついてきた。「一君温かい…」ぴたりと重ねられた頬は、確かに冷えていた。「ね〜、おかえりは?」俺の言葉を待つ総司の顔は嬉しそうだ。「……手を洗って来い」声を上げて笑うと、頬に唇が触れた。(沖斎)


▼10/17
「それで一君は?好きなの?嫌いなの?」「嫌いでは、ない」人が渾身の告白をしたというのに。そして、絶賛腕の中に閉じ込めているというのに。僕の背中にぎゅっとしがみついているその腕が肯定してることくらいわかるけど。「嫌いじゃないなら?」「た、たぶん、好き…だ」ああもう、可愛い。(沖斎)


▼10/14
*沖田
「だからごめんって」僕を睨んだのは、ベッドでぐったりとしている一君だ。熱っぽく、とろんとした瞳。昨日、僕の風邪を看病してくれたんだけど、やっぱりくっついていたくて、ぎゅってしたり、キスをしたり、それからまあ……いろいろしてしまった。「…でもさ、拒まなかったのは一君だよ?」(沖斎)
*斎藤
共に住んでいるというのに、互いの仕事の都合ですれ違う日々がほとんどだった。風邪をひいたと連絡を貰い飛んで帰った自分に、本当に総司が好きなんだと思い知った。いつも帰りを待ちきれず先に眠ってしまう俺を、そっと抱き締めて眠る総司の優しさを知っているから。もっと、触れて欲しくて。(沖斎)


▼9/24
「あんたはっ、どれだけ心配をさせれば気が済むのだ…っ」泣きそうな一君が僕を迎えた。帰りが遅くなったのは、金木犀の香りが心地よくてしばらく道草をしていたから。ベンチに寝そべっていたらうとうとしてしまって。潤んだ瞳が僕を見上げた。「ごめんね。ぎゅってしてあげるから、おいで?」(沖斎)


▼9/23
ベッドサイドのカーテンの開く音がした。「総司、起きているのだろう?土方先生が呼んでい、」昼休み、保健室。…二人きり。「総司っ」職員室に行かなかったのは、君が呼びに来てくれるって思ったから。身動きなんてできないくらい、きつく抱きしめた。「総…」それから、何も言えないように。(沖斎)


▼9/19
「僕にはさ、君が正しいとか間違ってるとか、そんなのどっちだっていいんだ」本当は、帰ってくると言いたかった。待っていて欲しいと思うから。「でも、信じてるから」「…そうか」「また会えたら、手合わせしてよね。まあその時は、真剣勝負になるかもしれないけど?」そうして見せた嘲笑は。(沖斎)


▼9/11〜15
待ち合わせたコーヒースタンドは、会社の入り口も見渡せる。足早に出て行く社員に紛れて、女子社員に言い寄られている総司が目に入った。別に、総司が何処で誰と何をしようが干渉する気は無いと思っていた。だが、会いたいと言ってきたのはあんただろう。気が付けば、総司に電話を掛けていた。(沖斎)

「あ、ごめんね?…もしもーし」待ち合わせをしていたのに、邪魔が入ってしまったせいで少し遅れていたところだった。いいタイミングで鳴った電話に出れば、この後会う約束をしていた本人で。あ、やっぱり。『……』「一君?」隣からわざと電話に聞こえるように話す彼女の声に顔を顰めていた。(沖斎)

「ねえってば」先程から何を聞いても返事をしてくれない。何だかすごく泣きそうな顔をしていたのは見間違いなんかじゃなかったと思うんだけど。「一君」そっと手を繋ごうとしても、躱される。「一さん?一ちゃん?」ああもう、埒があかない。「…はじめ」耳元で名前を呼んで強引に抱き寄せた。(沖斎)

「あんまり拗ねてると、悪戯するよ?」一君のお腹に回した腕に力を入れ、ぎゅっと背中に密着させれば、僕よりも少し細い指先がスーツの袖をきゅっと掴んだ。「あ、…あんたが、会いたいと言ったのだろう」僕に、というより独り言のように呟いた。そうだよ、僕が会いたかったのは君だけなんだ。(沖斎)

「飲みに行くだけのつもりだったのに…誰かのせいで、」顎を引き寄せてのぞき込むようにキスをした。待ってた、みたいな蕩けた表情の一君があんまり可愛くて。「帰ろ」「…どこ、に」腕を引いて歩き出せば恥ずかしげに視線を落とした。「あれ?わかんないの?それとも、言わせようとしてる?」(沖斎)


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