やっぱり初めてなので。(翔砂)


※こちらは初めてなので。の続編となっております
※ただのアホなエロです






「それじゃあ翔ちゃん、おやすみなさい」
「おう、おやすみ」

お気に入りのヒヨコ人形を抱きかかえて那月が眠りにつく。
枕に頭を預けてわずか数分で穏やかな寝息が聞こえ始め、相変わらず早いなーなんて思っていると……もぞり、布団に包まる体が動いた。
それは那月の体ではあるけれど那月自身じゃなくて。

「よぉチビ、まだ起きてたか」
「……誰のためだよ誰の」

腕の中に抱いていた人形を枕元に置いてベッドから這い出たのは那月の中に眠るもう一人の人格、砂月。
何かと凶暴でいまいち付き合いづらいこいつを最初こそ怖がっていたが、最近やたらと時間を共にしている所為かぶっきらぼうな所にもすっかり慣れてしまった。
ベッドの上であぐらをかく俺の目の前へとやってきた砂月はファンシーな絵がプリントされたシャツをばさりと脱ぎ捨て、獲物を捕食する瞳で俺を見下ろす。
その視線はここの所もう毎晩のように向けられるもので、ごく自然に受け止めてしまう自分へ一抹の不安を抱かないといえば嘘になる。
けれど抵抗する気なんて一切持っていないのが、少々悩みの種でもある訳で。

「セックスしようぜ」
「……お前さ、もうちょっとムードってもん考えろよ」
「チビ相手にそんなもん要るか」
「俺のこと好きなんじゃねーの!?何だよその態度!」

今一番の悩みはまぁ、砂月が毎晩のようにこうして誘ってくることなんだけど。
それ自体は別にいいんだ、いや良くないけど、とりあえず今は置いといて。
砂月は自分からセックスしよう、なんて言うくせにその内容をちゃんと理解していない。
初めてこういう関係になってしまった日、あまりにも知識に乏しい砂月へABCで言うところのB辺りまでをまるで正しいセックスであるように教えた自分にも問題があるのだが、性に対して積極的なくせにボケてるこいつはそれを正しいセックスだと覚えてしまって以来、中途半端な夜の時間を求めるようになってしまった。
何度かそれとなく先の行為を教えようかとも思ったけど、そもそもは砂月の欲求不満を解消するための関係な訳でちゃんとしたセックスなんてする必要どこにもない。
ないんだけど。

「ぎゃあぎゃあ喚くな、脱げよ」
「ちょ、待て勝手に脱がすな馬鹿!」

ベッドへ乗り上げてきたかと思えば強引に俺のズボンを脱がしにかかる砂月の目はもはや本気のそれだ。
いつもこうして砂月のペースで進められ、気づけば事が終わっている。
そりゃ砂月が満足すればいいだけの行為だけどそれにしたって肉食すぎやしないか、とか何とか考えてる間に俺の下半身は下着すらなくなって、無防備な部分へと砂月の顔が近づいていった。
はぁ、と生ぬるい息がかかる。まだ少しも反応を示さない俺の大事な大事なそれを、砂月は当たり前のようにぱくりと咥えた。

「っ……」

流石にびくりと熱がこもって、砂月は上目遣いに俺を見上げて笑う。
そうして人の弱味でも握ったかのように得意げな表情を浮かべてしゃぶり始めるもんだから、恥ずかしいやら気持ちいいやら訳が分からない。
フェラって言葉すら知らなかったくせに回数を重ねるごと上達してゆく砂月の舌使いに抗える筈もなく、俺の口からは情けなくも浮ついた息ばかりが漏れていった。
じゅぷ、と音を立てて足の間に顔を埋める砂月の頬は赤い。
ちっとも男になんか興味ないけど、必死に舐める姿が最近少しずつ、可愛いな、なんて思えてくるものだから俺もそろそろ末期かもしれない。

「っはぁ……こんなもんでいいか」

いつの間にやら立派におっ勃ってしまった性器から唇を離して、俺の体を押し倒すように砂月は乗り上げてくる。
自ら下着を脱いで、無防備に晒された己の性器を今しがた奉仕していた俺のそれとこすり合わせるようにぴたりとくっつけ、ゆっくりと腰を動かす。
砂月の手の中でぐちゅりと混ざり合うそれはただ漠然と気持ちよくて、けれど今一つ決定的な刺激には欠けていた。
それでも砂月にとってはそれなりに満足いく気持ち良さのようで、数分かけて互いの性器をこすり合わせた後一人でとっとと果ててしまった。
どろりとした液体を指の間から滴らせてどこかとろんとした瞳を向ける姿は、とてもじゃないが那月と同じ顔には見えなくてもう幾度繰り返したところで動揺を隠し切れない。
まだ硬いままの俺の性器に今さっき吐き出したものを塗りたくって、目の前に砂月の顔がずいと近づく。

「チビもイけよ」
「これじゃ無理だって」
「……じゃあいつもの、するか?」

返事も待たずに砂月は俺の上から退き、うつ伏せになるようにベッドへ伏せる。
無防備なそこを晒して、早くしろ、と言わんばかりに肉付きの良い尻を突き出すものだから思わず視線の置き場に困ってしまう。
膝立ちになって砂月の腰を掴むと、どこか嬉しそうに砂月の口からは吐息が漏れた。
そう、こいつはこれが好きなのだ。
四つん這いになって後ろから俺に……素股を、されるのが。
なんでだよ、何を好き好んで俺は男の脚の間で息子を慰めなきゃならねーんだよ。おかしいだろ。
と文句の一つでも零してやりたいが、そもそもはセックスについてろくな知識を持たない砂月に中途半端な行為を教えてしまった自分が悪いわけで。
以来砂月はこの素股を正しいセックスだと思い込んでしまっている。
まぁ男の体だけど砂月の太ももはそこそこ気持ち良いし、俺の性欲も発散できるのだから取り急ぎ訂正する必要もないんだけど。

「おいチビ、早くしろ」
「お前なぁ……」

誰のせいで悩んでると思ってんの、急に憎らしくなって尻でも叩いてやろうかと手を構えるが、それはそれでまた間違った知識を植えつけてしまいそうなので止めておく。
そもそもセックスについてこいつが理解してないのがいけない、年頃の癖にエロ本もAVも見てないとか健全な男子としてどうなんだよ本当。

「……ブツブツうるせぇ」
「あ、ごめん」

砂月としてもこの格好は恥ずかしいのか、不機嫌そうにこちらを振り返る鋭い瞳とかち合った。
このままじゃ俺を放って自分のベッドに戻りそうだな、気が変わらぬ内にと腰を掴んだ手に力を込めて、少しだけ硬い内ももに自らのそれを擦り付ける。
ふるりと背を震わせる砂月がちょっと可愛くて、何度か腰を動かすだけで早くも達してしまいそうだった。
きゅっと締められた両の脚の間、卑猥な音を立てて互いの熱が高まってゆく。
それなりに満足のいく行為、思わず荒くなる腰使いに枕へ顔を埋めた砂月は色っぽい声を漏らす。
ん、と彼にしては甲高い声があがって、つい動揺した俺の性器は脚の間を抜け思わぬ場所に納まった。

「ひっ……!」
「っ、ごめん……」

図らずとも柔らかな双丘の間へ納まったそれを無意識に擦り付ける。
完全に事故ではあるが砂月は怒りと羞恥をたっぷり両目に湛えてこちらを睨み返した。
その視線をいつもなら怖いと思うのに、ふと抱くのは好奇心と優越。
だってあの砂月が俺の下で顔赤くしてるんだぜ、考えるほどに今の状況が自分にとってまるでチャンスのような気さえしてきた。
腰を掴んだままでいた手を放し、ふに、と尻の肉をひっ掴む。
やわやわと揉みしだきながらその間で何度か熱を擦り付ければ砂月は面白いくらいに唇を戦慄かせた。

「なっ……にしてるバカ、やめろ」
「んー?気持ち良くねぇ?」
「んな訳あるかっ……!」

ふにゅ、と先端が閉ざされた部分に当たる。
砂月はいよいよ困った顔を俺に向けて、やだ、と首を振った。

「んな所、やめろ、汚ぇ……」
「汚くなきゃいいの?」
「そういう訳じゃねえ、けど」

強気に抵抗すればいいものを、出来ないのはそれなりに興味があるからだと砂月は多分自覚していない。
その証拠に嫌がる振りだけで俺を退けようともしないのだ、ことの主導権は完全にこちらにあった。

「なぁ砂月、俺も気持ちよくなりたいんだけど」

だからさ、だめ?なんて那月が見れば間違いなく可愛いと騒ぐくらいに媚びた声音で強請れば砂月はびくりと眉をひそめて口ごもる。
そのまま数秒黙り込んで、彼の口から出たのはやっぱり俺が思った通りのそれだった。

「……俺は、どうしてればいい」
「そのままで、力抜いてろよ」

好奇心は猫をも殺す、砂月は自らの欲求故に墓穴を掘っているとしか思えない。変なところ素直なのがいけないんだろうけど俺としてはそんな部分が面白くて扱いやすい。
だから、嫌いじゃないんだ。
いつだったかマッサージ用にと那月が大量に買い込んでいたオイルを一瓶手に取り、たらり、と砂月のそこへ垂らす。
ひっ、と短く漏れた声には驚愕の色が滲んでいて、決して拒絶の意ではないと分かり自然と口元が緩んだ。
固く閉ざされた部分をまるで円を描くようにやんわり指先でほぐしていけば、無意識なのか砂月のそこは徐々にゆるく広がってゆく、
オイルを塗りこむように指先を内へ挿し入れる、うわ、と困惑の声が聞こえると同時に内壁がわずかきつく絞まった。

「力抜いとけって」
「無理言うな、バカ」

少しだけ弱々しい憎まれ口、シーツを握り締める砂月の指先は震えて、しかしそれがどんな感情による震えなのかは見て取れない。
ぐちぐちと滑るオイルの音を立てながら指を増やしていけばナカはひくつきながら収縮し、その度に力を抜かせようとあれこれ砂月の体を愛撫する。
三本目が自由に出し入れできる頃には砂月のそこはすっかり柔らかくほぐれて、俺を捕らえる両の瞳にはうっすらと涙が滲んでいた。
滅多に見ることのない姿は優越以上に加虐心を煽る。可愛い、抱く感情はもはや当たり前の感覚だった。
ずる、と指を引き抜いていつかのためにと買っておいたコンドームを取り出す。
恥ずかしながら一度もつけたことのなかったそれを何とか装着すると、俺の様子を伺っていたらしい砂月はようやく自分の置かれた状況に気づいたのか、ちょっと待て、と焦りの色を見せた。

「チビ、それどうするつもりだ」
「どうって、分かるだろ?あれだけ慣らしたんだし」
「なっ……だめだ、無理、何考えてんだてめぇは!」

暴れるようにもがく両腕を押さえつけて、ごろんと仰向けになった砂月と向き合う。
例に漏れず可愛らしさを滲ませた表情でお願いだからと見つめればちょろいもので、しぶしぶといった口調ながらも了承を得た。

「最初は痛いかもしれないけど、我慢な」
「ちょっと待……っ!」

抱え上げた両脚をぐっと広げて、ぴたりと当てた先端に砂月は初めて悲痛な声を上げる。
ナカを無理やりこじ開けるように入っていく性器は、それでもぬめりを利用していとも容易く飲み込まれていった。
時間をかけて根元まで挿し入れると流石につらいのか砂月の唇からは不規則な呼吸が繰り返される。

「……砂月、平気か?」
「……なんとか、な」

こういう時だってのに強がって余裕そうな笑みを浮かべる砂月。
その表情は普段と変わらない憎たらしさだってのにあまりにも扇情的過ぎる姿の所為か、分かり易いほどに情欲の念を抱いてしまう。
比例するように質量の増した熱に気づいたのか、砂月はじっと結合部を見やってどこか恨めしそうな瞳を俺へと向けた。

「……すげぇ熱い」
「だろうな」
「チビ、俺に欲情してんの?」

唐突に実感が湧いてくる。
そうだ、俺はこいつに欲情してる。男になんて一切そんな感情抱かないと思ってたのに、砂月を前に自制が利かなくなってるんだ。
その証拠か、無意識のうち勝手に動く腰。浅い揺す振りは徐々に激しさを増して、砂月の唇からはひっきりなしに甲高い声が上がった。
やだ、やめろ、と繰り返される言葉に答えてやれる余裕なんてない。
初めて繋げた体は今にも溶かされそうなほどの熱ときつさで俺を攻め立てて、互いの粘膜を隔てる薄い膜すら憎らしく思えた。
砂月は片手でシーツを握り、もう片手でぐっと自分の脚を抱える。
わずかに動きやすくなった内壁を好き勝手に擦れば、さっきまでと体勢が変わった所為か砂月の声にも少しだけ余裕の色が伺えた。
試しに角度を変えながら幾度か出し入れを繰り返すと、砂月は一際大きな声を漏らす。

「ひッ、やめ、それやめろ……!」
「ごめん、痛いか?」

ふるふると首を振って、そうじゃない、と砂月は息も絶え絶えに言葉を紡ぐ。

「チビ、俺、おかしくなりそう……」
「……っ!」

だめだろ、それ。濡れた深緑の瞳がねっとりと俺を見据え、わずかに残った理性すらぶっ飛んだ。
一方的に揺さぶる身体はシーツの海を揺蕩い、見慣れたはずのものなのにかつてない程の興奮を煽る。
ぎゅうと締め付ける内壁はひどく充血して薄膜一枚すら忘れさせるほど熱く戦慄いた。
もう無理、短く告げて吐精する。どくんと大きく膨らむと同時に砂月の身体も震え、腹部にどろりとした飛沫が飛び散った。

「っは、あ……」
「……やば、まだ止まんねぇ」

砂月の中でどくどくと脈打つ欲は驚くほどに長い。
ずるり、と引き抜けば薄いゴムの先は大きく膨らんで、今にも零れてしまいそうだった。
もしかして溜まってたのか、と砂月はまじまじ吐き出された精液を眺める。
ここの所毎日のようにセックスまがいの事はしていたけど、惰性で解消していた性欲では満足出来てなかったのかもしれない。
長い禁欲生活の果てにようやく開放された時のような気だるさが腰全体に響いていた。

「……まぁ、お前とやるの、結構気持ちよかったしな」
「……ふーん」

ベッドにくたりと寝転がったまま砂月は俺を見上げる。

「俺も、まぁ悪くはなかった」

だから何で上から目線なんだよ。
さっきまでそれなりに可愛い顔してたくせに、事が終われば途端にこれだ。なんで俺こんな奴に欲情したんだろ、少なからず後悔の念が押し寄せる。
息を荒げながらも大きく呼吸を繰り返す砂月は、まだ変な感じする、とかなんとか言いながらさっきまで俺の性器が埋まっていたそこを指先で撫でる。
そうして珍しく素直な笑みを浮かべながら、またしようぜ、なんてあっけらかんと俺を誘った。

「は?」
「俺、セックスよりこっちの方が好きだぜ」
「……えーっと」

好奇心だけは人一倍のお子様は、未だにさっきの行為をちゃんと理解してないらしい。
果たしてどう真実を伝えるべきかと困りながら、とりあえずシャワー浴びるか、とお子様にしては大きすぎる手を握って優しく引いてやるのだった。



END.









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