リッドたちといっしょ!




「……あの2人は何をしてるんだ?」



天気のいいある日のこと、キールは甲板に出て思わず固まった。



「あ、キール。息抜きにきたの?」
「ああ。
やりたいことや調べたいことが多すぎて、徹夜してしまったから外の空気を吸いに…、じゃなくて!
リッドとルークはあんなところで何をしてるんだ!?」
「寝転んでるよ、キール。」
「それくらい、見ればわかる!
僕が聞きたいのは何であんなところで寝転んでるかのかってことだ!」



キールと一緒に外の空気を吸いにきたメルディに指摘されたキールは見ればわかると声をあげ、その理由を自分より先に甲板にいたファラに問いかけた。



「リッドはいつもあそこで寝転んで昼寝してるでしょ?
ルークはそれが気になったらしくて一緒に横になったみたい。」
「…それだけの理由であんなところに寝転んでいるのか?」
「うん。」



ファラが肯定するように頷けば、キールはがっくりと肩を落とし、ため息をついた。
しかし、メルディはリッドとルークのそばまで駆け寄ったあと、ルークの隣に寝転んだ。



「メルディまで寝転んじゃったね。」



ふふふ、と微笑ましそうにそれを見つめるファラはどこか楽しそうだ。
メルディが寝転んだことに気付いたルークはメルディと空を指差しながら何かを話していた。



「バイバ!!
スゴイよー、キール、ファラ!」



ルークと何かを話していたメルディは空を見上げて驚きの声をあげた。



「どうしたの、メルディ?」
「ここに一緒に寝転ぶといいよー。」
「寝転んだらいいの?」
「はいな!」



メルディに寝転んでみたらわかる、と言われてファラは言われるがまま、寝転んだ。



「バカバカしい…。
何に驚いてるのか知らないが、甲板に寝転ぶなんて冗談じゃない。」
「わあ…!」
「って、ファラ!
何を寝転んで…!」
「あははっ!
ねえ、あれなんかキールみたいじゃない?」
「キールにぃだーっ!」
「キールがいるよー!!」
「何をバカなことを言ってるんだ。」
「キールにぃも、いっしょにみよー?」
「なんで僕が…。」
「寝転んで空を見てこんな発見があるなんて知らなかったなぁ。」
「……。」
「早く寝転がらないと、キールが崩れちゃうよー。」
「崩れるわけないだろう!」
「…いいから寝てみろよ。」
「………。」



ルークたちに一緒に寝転んで空を見よう、と誘われたキールは最初こそ渋っていたものの、4人に手招きされ、仕方がないな、と言いながら寝転んだ。



「あ!見て!あそこの雲ってアッシュみたいじゃない?」
「確かに…。
あれはアッシュだな。」
「ちがうよ?
だって、あれは…にやとりさんだよ?」
「ルーク。
“にやとり”じゃなくて“にわとり”だ。」
「にゃーとり?」
「に・わ・と・り。」
「にゃーとり!」
「…猫と鳥が混ざったような名前だな…。」
「でも、にゃーとり、いいよー。
メルディ、にゃーとり好きだなー。」
「にゃーとり♪」
「にゃーとり♪」
「うふふっ。
メルディはルークと仲良しだね。」
「あっ!アッシュが崩れた。」
「本当だ!」



寝転び、空を指差しながら話すルークたち。
ルークたち以外の誰もいない甲板での会話。



「誰が崩れたと言ったかもう一度聞かせてもらおうか?」
「「「「………っ!?」」」」



楽しそうに会話を交わす4人は聞き覚えのある声を耳にして、びくりと体を震わせた。
恐る恐る声のした方へ視線を向けると、静かに怒りに震えるアッシュがそこにいた。



「ア、アッシュ!
おかえり!は、早かったな!」
「お、お疲れ様!アッシュ!」
「今なー、アッシュが崩れ…、」
「バカか!
更にアッシュの怒りを買うような真似をするなっ!!」
「そうか…。
俺が崩れたのか。
……そこの4人。
そこに一列に立って並べ。」
「はいな!」
「バカ!!
本当に並ぼうとするな!
消し炭にされるぞ!」
「メルディ、消し炭にされるか?」
「今はアッシュの怒りを鎮めることだけを考えろ!」



ルークのいる手前、暴れだすことはなかったが、ここで怒りを沈められなければルークがいないところで何をされるか分からない。



「アシュにぃー。
あのね、いっしょにゴロンして、そらをみよー?」
「……ルーク。
こんなところで寝転ぶと汚れるだろう。」
「アシュにぃー。
あそこにチキンとエビがあるよー。」
「だから、ルーク…。」
「アシュにぃ…。
いっしょにみてくれないの…?」
「………わかった。」



うりゅ、と瞳を潤ませたルークにアッシュは結局、ルークの隣に寝転んだ。


その数十分後、リッドたちも甲板に横になり、日が暮れるまで空を指差しながら会話を弾ませるのだった。



※※※


アッシュさん。
結局、ルークと一緒に寝転んで空を見上げているうちにリッドたちに対しての怒りはあっさり鎮まりました(笑)

ルークにとことん甘いアッシュさんでした♪

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