君はキミ、僕はボク。 2




「…う…っ!」



小さな呻き声をあげ、ジュードは意識を取り戻した。
体を起こし、自分の状態を確認しようとしたところでジュードは自分の手が誰かの手と繋がれていることに気付いた。



「アルヴィン…。」



そこにはジュードと手を繋いだまま、ベッドに突っ伏して眠るアルヴィンの姿があった。
恐らく看病している間に疲れて眠ってしまったのだろう。



「……ジュード…?
…目を覚ましたのか!!」



ジュードが体を起こした時の振動が伝わったのか、ぼんやりしながら目を開いたアルヴィンはジュードが起き上がっていることに気付き、がばりと起き上がった。



「アルヴィン、ずっと僕のそばにいてくれたの?」
「ああ。
…ケガはどうだ?
エリーゼ姫に治療してもらったから、そんなに痛みはないとは思うが…もしどこか体に異変を感じるなら言えよ。」
「アルヴィン、」
「そうだ。
何か食べるか?簡単なものだったらすぐに用意してくれると思うぜ。」
「アルヴィン!!」
「…なんだよ。」



ジュードの声を遮るように話を続けるアルヴィンにジュードは思わず声を張り上げてしまった。



「……怒ってる…?」
「………怒ってるというより、心配したっていった方が正しいかもな。」
「心配?
無茶したことを怒ってるんじゃないの?」
「……あの状況じゃ、要求をのむしか方法はなかったってことは、分かってるつもりだ。
…だけどな、ジュード。
…ボロ雑巾のように地面に横たわってぐったりしてるお前を見たとき…、俺がどんな気持ちだったか…分かるか?」
「…ごめん、なさい…。」
「…もう、イヤなんだよ。
大事な存在がいなくなることが。
守れなくて、助けられなくて、後悔したくないんだ。」
「アルヴィン…。」



今にも泣きそうな表情を浮かべながらも笑うアルヴィンのその顔があまりにも痛々しくて、ジュードはくしゃりと顔を歪めた。

アルヴィンは母も、そしてプレザも亡くしている。
人一番心の弱い人だから、だから誰かと共に在れることに執着してしまう。



「ジュード、好きだ。」
「な、なに?突然…。」
「お前のことが好きだ。
…だけど、お前にルドガーと同じ力があることを俺は知らなかった。
…そんなに信用ないのか?」
「…やっぱり怒ってる。」
「悔しいんだよ!なんであいつらが…アルクノアが知ってて俺たち…俺が知らないんだ!?」
「……僕だって…何度もアルヴィンに言おうとしたよ。
…でも、…怖かった。
…時間が経てば経つほど、自分には普通とは違う力があるんだってことを理解していって…。
まるで本能がそう告げてるみたいに…。
ルドガーやユリウスさんたちとも違うこの力が…怖くて…。
だからずっと目をそらしてた。
誰にも…言えなかった…。」
「…ジュード…。」
「僕が僕じゃなくなるかもしれない。
そうなったら…どうなるんだろうとか…いろいろ、考えて…。」
「どんな力があったって、ジュード。
お前はお前だ。
お人好しで優等生で、自分のことなんて二の次で…そして俺はそんな優等生なジュードくんに心底惚れてる。
…お前にどんな力があったって、俺がジュードのことを好きなことは変わらない。
生半可な気持ちでそばにいる訳じゃないからな。
ジュード、お前はどうだ?」



言いながらアルヴィンはジュードの頬に優しく触れた。
その手の温もりがあまりにも優しくて…。
その優しさがジュードの心を解きほぐしていった。

ジュードは自分の頬に触れるアルヴィンに、己の手を重ねながら嬉しそうに微笑んだ。



「……うん。
僕もアルヴィンが、好き。
…大好き。
だから、これからもそばにいてくれる?」
「拒否されたってそばにいるつもりだぜ?」



アルヴィンの言葉にジュードは心の底から幸せそうに笑った。

アルヴィンがいてくれるなら、少しずつでも自分のこの力を受け入れていけそうな気がする。

アルヴィンの気持ちが嬉しくて思わずぎゅうっと抱きついたジュード。
しかし、それもある人物の声が聞こえた瞬間にジュードの頭の中は真っ白になった。



「あのー…、俺の存在…完全に忘れてないか?
ていうか、アルヴィンはともかく、ジュードは絶対に気付いてないだろ?
最初からずっといたんだけど。」



同室のルドガーの存在にようやく気付いたジュードが声にならない悲鳴をあげ、声をかけたルドガー自身が逆に申し訳なくなるほどの狼狽えぶりを見せたジュードを落ち着かせるのに大の大人2人が四苦八苦する姿が女性陣に目撃されたという…。

End

※※※

ミッキー様よりカギ設定のジュード君が誰かを人質にとられ、拐われ…最後はアルジュの甘々でというリクエストを、賜りましたが…詰め込みたい内容が多すぎて…無駄に長くなってしまったうえになんじゃこりゃな内容になってしまった…。

こんなものでよろしければ、お受け取りください。

ミッキー様、お待たせしました!そしてリクエストありがとうございました♪

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