争奪戦






「うっそー…。」
「本当にサトシが小さな子供になってる…。」


サトシが小さくなったとタケシから連絡をもらい、かつてサトシやタケシと旅を共にしていたカスミとハルカが現れた。

タケシからもらったお菓子を頬張るサトシをカスミとハルカはじっと見つめながら信じられない様子でぽつりと呟いた。



「おねえたんたち、だあれ?」
「…可愛い…!」
「可愛いすぎカモッ!
ねえ、タケシ!抱きしめてもいいかしら?」
「あ、ああ…。」
「ちょっと、ハルカ!
次は私に貸してよ。」


視線を感じたのか、サトシはお菓子を片手に2人の元に近付くと、きょとんとした表情を浮かべながら首を傾げた。

その姿を見たハルカはサトシを抱き上げ、ギュッと抱きしめた。
そしてそれを見たカスミまでもハルカの次に抱きしめる気のようで、妙にそわそわ落ち着かない様子だった。


「可愛すぎるカモー♪」
「サトシ、私はカスミよ。
よろしくね?」
「かしゅみ?」
「…〜〜〜〜ッ!

もう…サトシがポケモンだったら私、間違いなくゲットしてるわ!」
「その気持ち、分かるカモー!

ねえ、サトシ!
私はハルカよ。わかる?」
「はりゅか?」
「ああん、もう!
テイクアウトしたいカモー!」
「いい加減に代わってよ、ハルカ!」




きゅるんとした瞳で見つめながら呂律が回らないなりに2人の名前を呼ぶサトシにカスミもハルカも骨抜きにされてしまったようで、もはやサトシの争奪戦と化していた。



「こういう時の女の子のパワーには…本当に圧倒されるな…。」



そんな2人の姿をタケシは少し引きながら、苦笑して見ていることしか出来なかった。








***

「サトシー!
このニョロトノのフード付きの服を着て!」
「ずるいわ、カスミ!

サトシ、その次はこのアゲハントの服とアチャモの服を着てほしいカモ!」
「いいよー!」



「一体…、その服はどこから出したんだ…?」



カスミとハルカが暴走しすぎないよう、成り行きを見守っていたタケシは2人がどこから出したのか分からないが自分の好みに合ったポケモンのフードが付いた服をサトシに着るようにせがんでいた。


大きな荷物は持っていなかったはずなのに、2人の持ってきた小さなリュックからはたくさんの服が出てくる。
タケシは有り得ないその状況にただ困ったように笑いながら見ていた。


恐らく今、話しかければ間違いなく2人のげきりんに触れることになるとタケシは感じていた。

それほどまでに2人が纏っている空気は異様だった。








結局…、2人の趣味丸出しな着せ替えファッションショーはサトシが疲れて眠りにつくまで続いた。








後ほどに明らかになったことだが、その時に撮った写真をカスミ、ハルカ、ハナコの3人は交換しあっていたという…。

END

※※※

mikiさま、お待たせしました!

ちびっこサトシでカスミとハルカの絡みが見たいとのリクエストでしたが、完全に腐女子ネタになっちゃいました。

ですが、書いててめちゃめちゃ楽しかったです。



リクエスト、ありがとうございました☆

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