また一緒に旅へ
ここはミアレシティ内のプラターヌ研究所。
サトシたちはプラターヌからメガシンカの話を聞くために研究所を訪れていた。
最初に、サトシがミアレシティを訪れた時、プラターヌからメガシンカなるものがあることは聞いていたが、何せあの時はテレビに取り上げられるほどの騒動があったため、詳しい話は聞けずにいたのだ。
だが、再び訪れたミアレシティでプラターヌから詳しく聞けずにいたメガシンカのことについてサトシに聞きたいことがあるとプラターヌに呼び出され、サトシたちは研究所を訪れたのだった。
「メガシンカには、トレーナーとポケモンが深い絆で結ばれていることが大前提であること、そして全てのポケモンがメガシンカ出来るわけではないことも分かっているんだ。
そして、メガシンカする可能性の高いポケモンも少しずつ明らかになっているんだ。」
「それで、サトシを呼び出した理由は何ですか?」
シトロンの問いかけにプラターヌはニッと笑うとサトシの両肩をがばりと掴んだ。
「サトシくん!!」
「へっ?え?
な、なんですか?」
プラターヌの勢いに押され、サトシはびくりと肩を震わせながらも何とか返答を返した。
「君はマサラタウン出身だね!」
「は、はい。」
「つまりは、カントーの出身だ!!」
「そ、そうです…けど…、それが何か…?」
「ということはだ!!
君は最初にヒトカゲ、ゼニガメ、フシギダネの中のどれか一体を最初にオーキド博士からもらっているはずだ!」
「違います。」
「ええっ!?」
予想を裏切るように、あっさり否定したサトシにプラターヌは大袈裟な反応を返す。
そんなプラターヌに対し、サトシは肩に乗るピカチュウを撫でながら口を開いた。
「俺が一番最初に博士からもらったのは、このピカチュウなんです。」
「ピーカァ。」
サトシに撫でられ、嬉しそうに笑うピカチュウ。
しかしサトシの言葉にシトロンたちは思わず目を丸くした。
「初心者トレーナーにピカチュウですか?
確か…ピカチュウって初心者向きのポケモンではないはずですよね…?」
「同じ日にマサラタウンを旅立つトレーナーが俺の他に3人いたんだ。
…俺は寝坊して…、オーキド博士が今はピカチュウしかいないんだって俺に託してくれたんだ。
な?ピカチュウ!」
「ピーカ!」
「もちろん、最初は俺の言う事なんて全く聞いてくれなくて、バトルもしてくれなかった。
でも、いろんなことを一緒に乗り越えて経験していくうちに俺のことをピカチュウは相棒だって認めてくれて、大親友になったんだ!」
「ピッカ!」
そう言いながら互いに笑いあう、サトシとピカチュウ。
簡潔にまとめて言っているものの、サトシとピカチュウの仲の良さは少し一緒にいれば相当なものだと理解することができる。
だからこそ、サトシとピカチュウを見つめながらシトロンたちは微笑んだ。
「…それでプラターヌはか…、ええっ!?
ど、どうしたんですか!?」
サトシの話を聞いた後、何の気なしにプラターヌへ視線を向ければ、プラターヌは激しく落ち込み、項垂れていた。
「……サトシくんがカントー出身のトレーナーと知って…、僕はサトシくんなら初心者用のカントーポケモンをパートナーとして選んでいるものとばかり思っていたのに…。
研究が…また、ふりだしだ…。」
どうやら、サトシが初心者用のポケモンをもらっているものとばかり思っていたようだ。
それを裏切られたからか、その落ち込みようはハンパない。
シトロンたちが苦笑をもらしていると、サトシは爆弾発言をした。
「えっと…、最初にもらったのはピカチュウですけど…、一応…カントーの初心者用のポケモンならゲットしてますよ?」
「…な、な、なんだってーーー!?」
先程までの落ち込みはどこへやら。
サトシの言葉にプラターヌは再び、サトシの両肩をがしっと掴み、声を上げた。
その瞳からは強い期待を感じるのは気のせいではないだろう。
「…すばらしい!!
それで!?最終進化まで終えているポケモンはいるのかい!?」
「リザードンなら…、います…けど…。」
「そうか!!そうかい!!
サトシくん!さあ!早くそのリザードンを転送してもらってくれ!
さあ!早く!!」
「へ?今からですか?」
「今じゃなくていつやるんだ!?
さあ!早く!早く!!」
「は、はい!!」
興奮しすぎだろう!とツッコミを入れたくなるほど、激しく興奮するプラターヌに促されるまま、サトシは慌ててオーキド博士に連絡をするために電話のある場所へ向かった。
***
「リザードンを転送してもらいましたけど…。」
「すぐにモンスターボールから出してくれ!!」
「は、はい。
リザードン、出て来い!!」
興奮冷めやらぬプラターヌに言われるまま、サトシはモンスターボールからリザードンを出した。
「ガウ!!!」
「リザードン、久しぶりに研究所の仲間たちと会ってたところを呼び出してごめんな?」
「グル!」
「紹介するよ。
今、一緒に旅をしてるセレナ、シトロン、ユリーカ。
それとプラターヌ博士だ。」
「シトロンです。
よろしくお願いします、リザードン。」
「私はユリーカ!この子はデデンネ!」
「デネ!」
「セレナよ。
よろしくね。
それにしても…とっても強そうなポケモンね!!」
「ああ!本当に頼りになるんだぜ!」
「ピーカ!」
モンスターボールからリザードンを出し、自己紹介をするとシトロンたちは迫力あるリザードンを前に感動していた。
ユリーカは「スゴーイ!カッコイイ!!スゴーイ!!」とひたすら同じ言葉を繰り返している。
「素晴らしい!!
素晴らしい!!
これなら問題なさそうだ!
いや!それ以前にサトシくんとサトシくんのポケモンなら見るまでもなく問題はないと思っていたけどね!」
そう言いながらプラターヌはサトシにあるものを手渡した。
「これは?」
「これは、“リザードナイト”と呼ばれているものでね。
メガシンカに関係があると言われているものなんだ。」
「“リザードナイト”…ですか。」
「これ以外にも何か必要なものがあるということまでは研究を進めていくうちに分かったんだけど、それが何かまではまだ判明していないんだ。
そこでだ!サトシくん!」
「は、はい!!」
「その“リザードナイト”をリザードンにもたせて、このまま旅を続けてほしいんだ!
その途中で何かヒントが得られるかもしれないからね!!」
「え、でも…いいんですか?
この“リザードナイト”って研究に必要なんじゃ…?」
「解析は終わってるんだ。
それが本当にメガシンカに関係あるものなら…ただ、ここに置いておくよりサトシくんに持ってもらっていた方がその先が分かる可能性が高い。
だから、お願いするよ!」
「…ってことは、リザードンもカロス地方を旅するってことですよね?」
「そうなるね。」
「…リザードン、お前はどうする?
研究所のみんなとある程度の時間を一緒に過ごしたらリザフィックバレーに帰るつもりだっただろ?
リザードンが望むようにしてくれ。」
そう言いながらリザードンを見上げるサトシ。
シトロンたちも詳しい事情を知らないため、余計な口を挟むつもりはないのか、サトシとリザードンの様子を見守っている。
自分の意思を最優先させてくれるサトシを見つめながら、リザードンはいい意味で変わらないサトシに密かに喜びを覚えながら、「ガウッ!」と声をあげたあと、頷いた。
メガシンカなるものが存在するなら自分はもっと高みへいける。
そして唯一無二のマスターと旅が出来るなら拒む理由など、どこにも存在しない。
「…そっか!
また一緒に旅が出来てうれしいぜ、リザードン!
またよろしくな!!」
「ガル!」
こうして、サトシはリザードンと再び共に旅をすることになった。
End
※※※
…という展開を望んでます!!
メガシンカ?
サトシのリザードンなら出来るじゃん!!
だったら共に行こうぜ!!
ケロマツ以外の御三家をゲットしない展開になりそうなのは、きっとそのためよね!
…そんな風に思っていたらいても立ってもいられず書き殴ってました。
後悔はない!
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