知らなかったたくさんのこと
勝てた…。
サトシに会う前まではずっと弱いから負けてばかりだと思ってたけど、勝てた…。
サトシがマスターになってからボクは勝てた時の喜びを知った。
サトシに会う前のボクは負けた時の悔しさしか知らなかったから。
勝てるってことがこんなに嬉しいことなんて知らなかった。
***
「ミジュマル、お疲れ様。
混乱しながらも頑張ってくれて本当にありがとう。
今日はゆっくり休めよ?」
「ミジュッ!!ミジュマー!!」
ジム戦が終わったあと、すぐにポケモンセンターに向かったサトシはミジュマルとポカブをジョーイさんに預けた。
少しして「回復しましたよ。」と言いながらサトシにミジュマルとポカブを返してきたジョーイにサトシはお礼を言った。
そしてそのすぐ後にモンスターボールから出てきたミジュマル。
サトシはそっと頭を撫でながらミジュマルに感謝の言葉をかけた。
「ミジュマル、お腹すいてないか?
お腹すいてるなら、デントがポケモンフーズを用意してくれてるから…、」
「ミジュッ!?
ミージュー♪」
「行っちゃったよ…。」
サトシから聞かされた言葉にミジュマルは瞳を輝かせ、デントたちのいる食堂へ消えていった。
そんなミジュマルに苦笑しつつも、サトシはモンスターボールの中からポカブをだした。
「ポカー♪」
「ポカブ、お疲れ様。
今日は本当にすっごく頑張ってくれたよな。
ありがとう、ポカブ。」
「カブゥ!!」
サトシが誉めてくれた!
嬉しい!ボクの方こそ一緒に戦ってくれてありがとう!
「ポカブ、やっぱりお前はここ一番ですごく頑張ってくれる、すごい奴だよ。
ポカブを信じて本当に良かった。」
そう言いながらサトシはボクを抱き上げて頭を撫でてくれた。
サトシはとても不思議な人。
ボクが欲しい言葉をくれる。
安心させてくれる。
サトシといればいるほど、サトシのことをもっと好きになる。
「ポカブ、ポカブもお腹すいてるだろ?
食堂へ行くか?」
ううん!
ボクはまだサトシと一緒にいたい!
だってサトシは他のポケモンたちにも好かれてるからサトシと2人で一緒にいられる時は一緒にいたい!
そんな気持ちを込めてすり寄ったらサトシはボクの体を抱き上げたまま、近くにあったソファーに腰かけた。
そしてボクの体を優しく撫でてくれる。
サトシが、ボクの言いたいことを理解してくれたんだって気付くのに時間はかからなかった。
「ポカブ、これからも一緒に強くなろうな。
お前なら、もっと強くなれる。
がんばり屋のお前なら、絶対にもっともっと強くなれる。」
「カブッ!!」
サトシの言葉はまるで魔法みたい。
本当に強くなれるような気持ちになれるから。
だからボク、サトシと一緒に絶対に強くなるよ。
もっともっと強くなってサトシが笑ってくれるように頑張るよ。
「あー、いたいた!
いたわよ、デント!
本当に子供なんだからっ!」
「なかなか帰ってこないから何かあったのかと心配したけど、…サトシらしいね。」
「なーんか、起こすの悪い気にならない?」
「そうだね。」
デントとアイリスは困ったように笑いながらソファーへと視線を向けた。
ソファーには気持ち良さそうに眠るサトシとポカブがいた。
サトシに体を預けて、とても幸せそうに眠るポカブ。
サトシもポカブを優しく抱いたまま、気持ち良さそうに眠っていて、起こすのが本当に悪い気になった。
「ポカブ。
よかったね。
いいトレーナーと出会えたキミは幸せよ。」
ふふっと笑いながらぽつりと呟いたアイリス。
デントもそれに賛同するように穏やかな表情を浮かべながら頷いた。
―――サトシ。
ボクに知らなかったことをたくさん教えてくれてありがとう。
大好きなサトシ。
これからも知らないことをたくさん教えてね…――。
そんな思いを抱いたまま、ポカブはサトシの温もりに包まれて眠っていた。
幸せそうなポカブに起こさないでもう少しそっとしておこうかと考えたデントとアイリスだったが、サトシとくっついて眠るポカブを見てヤキモチをやいたミジュマルが体当たりをして無理やり起こしたのはこのすぐあとのこと…。
END
※※※
もう、私…完全にポカブを贔屓してますね(笑)
だってポカブ、可愛いんだもん!!
デンサトも書きたいけど、ネタが舞い降りてこない…orz
閲覧、ありがとうございました!
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