元のバージョンのほうがスッキリしてたような。ううーん。
コメントお返事のR18なおまけと同じ日に書いてたなんて言えやしませんぬ。
さておいて本題。
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※堕辰子ちゃんはログアウトしました。 ※平和な平行世界なんじゃね?
【なーがいくん、ひと刈りしましょう!】(三佐と士長)
正面、ちょうど鳩尾のあたりにある形の良い頭を前に、永井はごくりと唾を飲み込んだ。 手には、ずしりと持ち重りのする金属の塊。これを使い、目標を殲滅するのだ。 「永井、寝てるのか」 「寝てません!」 抑揚の薄い、腹に響く低音に、なかば叫ぶように返事をすると、頭が小さく揺れた。 笑われた。 「早くやれ」 「了!」 やけくそに返事をして、バリカンのスイッチを入れ、三沢の頭に先端を当てる。曲線に沿って注意深く刃を滑らせると、うっすら伸びた固い髪は、微かな震動と、ざりざりと独特の感触をともなって刈られていく。 ―― どうせなら、剃刀でやれば良かったな。 そのぶん直に三沢を感じられたのに。 ……などと考えてから、永井は自分の思考に照れて眉を顰めた。 三沢の頭を左手で固定して生え際まで丁寧に剃りあげ、角度を変えて目視で確認。 青々とした剃り痕のどこにも生き残りはいない。我ながらいい仕事をした、と思う。 「終わりました!」 「ああ、ご苦労さん」 意気揚々の報告を軽く受け流し、大きな掌を自分の頭に滑らせて具合を確かめている三沢の肩からタオルを外し、横に待機させていた洗濯かごに放りこむ。その間も、三沢は少しもこちらを見ようとしない。 仕事ぶりを褒めてほしいわけではなかったけれど、ねぎらいの一言ぐらい視線を合わせて言ったって減るものじゃないだろうと、少しばかり機嫌が下降する。 「三沢さん、これ、洗面所に持っていきますからね」 「ああ」 満足しているのかどうなのか、そもそも永井の声を聞いているかさえ、
……だから、こっち向けっつってんだろ! イーと子供っぽく歯を剥いて、きっぱり背を向ける。 手が滑ったフリをして、あの立派な眉を剃り落としてやれば良かった。ただでさえ迫力のある巨漢のスキンヘッドに眉毛がなかったら、完全にそのスジの人間にしか見えなくなる……報復は、丸刈りにされるどころじゃ済まないだろう。 想像して、肩を竦める。 しかし、三沢に散髪してもらうという想像は、少しばかり心をくすぐった。 「……って、伸びたか?」 洗濯籠を所定の位置に下ろし、鏡を覗いて自分の前髪を上にあげてみる。まだ眉にかかるほどではないが、そろそろ鬱陶しくなりそうだ。 丸刈りはごめんだが、三沢に襟足を整えてもらうぐらいはいいかもしれない。 といっても、そもそも、陸士のスキンヘッドについては禁止令が出ている……カタギらしく見えない、というのがその理由だが、永井の場合は沖田に『お前が坊主になったら高校球児っぽくなりそうだな』と笑われたので、絶対にやらないと心に誓っている。 いまどき、坊主頭の野球部員なんか天然記念物ですよと言い返すのは忘れなかったが、あれはかなりのダメージだった。 沖田から見てそんな状態なら、三沢から見れば、自分なんか、中学生にでも見えているかもしれない。 ―― だから、手を出してもらえないのかも。 永井から告白し、付き合いはじめて一ヶ月余。休日には三沢の家にあがりこみ、同じ布団で寝るような仲になっても、三沢はそれ以上のことをしようとしない。 男であり、本当なら気安く口を聞くことさえ憚られるほどの階級差がある三沢への想いを自覚し、認め、さらに本人に打ち明けるには、崖の上から飛び降りるほどの度胸と根性と勢いを振り絞ったというのに、あんまりだ。 理由はあれこれ考えた。 一過性の病気だと思われている、あるいは……うぬぼれでもなんでもなく……優秀な永井が辞めてしまうことを危惧して、恋人ごっこに付き合ってくれているのだとしたら、惨めだし、腹は立つし……何より、悲しくて泣きそうになる。 もともと、やや直情的な傾向にある永井だが、三沢に対してはちっとも冷静でいられない。 「……みっともねえな、俺」 頭では、わかっているのだ。 三沢はそんな、他人と嫌々付き合えるほど親切でもなければ優柔不断でもない。なにしろ、永井が告白した後の最初のひとことが「罰ゲームか?」だったのだ。そうじゃない、本気だと訴える永井に「趣味が悪いな」と実に冷静に評価をくださったあたりで「自分もそう思いますよ!」と逆ギレしたのは、よく覚えている。 おかげで、その後のやりとりの中で、三沢の「勘違いで浮かれて、部下に手を出したらまずいだろうが。確認ぐらいさせろ」が告白に対する返事だと気付くのに数分かかった。……理解しろというほうが無理だ、あれは。 そんな三沢でも、難しい顔をして隊内の機関紙を読んでいる隣にくっつくように腰を下ろせば、永井が落ちつけるように体勢を変えてくれる。その程度のことでバカみたいに喜んでしまう自分もたいがい安いが、好かれていなければ、そんなことはしない……と、思う。 確信が持てないのが、なんとも心もとない。 「いつからナルシストになったんだ」 「うわ!」 低い声に肩を跳ねさせ、振り返ると、洗面所の入り口に三沢がいた。太い眉を上げて、皮肉げに言うのが憎らしい。 「見惚れるほどのガタイじゃねえだろうがよ」 「どっ、どうせ三沢さんに比べりゃヒョロいですよ!」 「邪魔」 永井の半ギレの抗議など鼻で笑って聞き流し、押しのけて顔を洗う三沢を、憮然と見下ろす。 自分だって、民間人に比べれば相当に鍛えているのだ。シャツ越しにでも肩の動きがよくわかる逞しい筋肉の隆起を睨みつけ、今に見てろと内心で毒吐く。 それと同時に、屈んでいるおかげで低い位置にある背中に、思い切り抱きつきたい衝動が込み上げてきた。散髪のためとはいえ、中途半端に触れていたのが、欲求の火種になってくすぶっている。 決行したら、振り払われるだろうか。意に介さないか、それとも。 「どうした?」 水に濡れた顔をあげた三沢と、鏡越しに目が合う。 ぎゅっと下唇を噛み、永井は首を左右に振った。 「なんでも、ないです」 「あっそう」 この素っ気なさ。 クールというより、本当にどうでもよさそうな言い草をされて胸が痛くなる。喉の下に棘が刺さったような、もどかしさと苦しさが詰まった息をそろそろと吐いて、三沢が顔を拭いている間に脇をすり抜け、洗面所を出ていく。 持て余した気持ちをどうしたらいいのか、さっぱりわからなかった。
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……まただ。 三沢は、顔を埋めたタオルに、吐息を吐きだした。 あんなに『構ってほしい』という顔をするくせ、永井は滅多なことではこちらに近寄ろうとしない。 幸せそうな顔で寄り添ってくる癖に、こちらから触れると身体を固くする――箱入りの生娘か、と言いたくもなるが、永井にしてみれば実際、そんな心境かもしれない。 恋人の距離に慣れないのは、鍛えた分だけ伸びるタイプだとわかっていたから、ことさら厳しく接していたのが良くなかったのだろうか。 こちらとしては、元気と負けん気の塊のような彼に、眩しさと、ほんの僅かな羨望が混ざった好意を持っていたのだが、何かといえばあの大きな目で睨まれ、反抗的な態度を取られて、てっきり嫌われていると思っていたのだ。まさか好かれていたとは、大概のことには動じない三沢も驚いた。驚愕したといってもいい。 つい、罰ゲームかなどと訊いてしまい、激昂した永井を宥めるのに随分と時間がかかったことはよく覚えている。 はじまりがそんな状態だったので、未だに、三沢は永井の扱いをはかりかねている部分がある。付き合いはじめの手探りの状態に比べれば随分とマシになったが、とにかく永井がおっかなびっくりでいるので、こちらも躊躇が生まれる。 果たしてどこまで手を出していいのか、わからない。 大事にしたいと思う、手荒く触れたいと思う、永井に向かう相反した感情をどう処理したものか、常識と良識、上に立つ人間の責任感が邪魔をする。 これが職場なら気が楽だ。永井は未熟だが優秀な部下であり、分相応に扱ってやればいい。 一対一、個人と個人になった途端に、自分がとんでもない犯罪をしでかしている感覚に陥り、どうにも気後れが生じる。 成人しているとはいえ一回り以上年下で、三沢から見ればまだほんの子供のような見かけをして、言動も青さの塊のような永井に、なにをしようとしているのか、と。 結果、自分から踏み出すことはせず、永井のほうからこちらに向かってくるのを慎重に待っている。 その態度が、永井を少なからず悩ませていることも把握しているというのに。 「難しいもんだな」 鏡の中で苦笑する自分は、言うほどには悩んだ表情でもなく、どこか楽しそうなのが、始末に負えない。 あんな若造の一挙一動に一喜一憂し、様子を窺って少しずつ距離を詰めようとする程度には、惚れているのだ。
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半端に終わるのがいつものコネタ。 三沢さんは洗面所でセルフ剃りかなーとは思いますが、バリカン持ってる永井くんが書きたかっただけという。
この三永は、永井くんが踏み切ればあっさり目も当てられないバカップル化するんじゃなかろうか。 三沢さんを押し倒すくらいの勢いで。
【なんでも親身に相談に乗ってくれる良い先輩です。】 永井「一緒に寝てもなんにもしてこないんすよ……俺ってそんなにガキっぽいですか。もっと筋肉つけりゃいいんでしょうか」 沖田「永井……そういうのは、外見じゃないよ。三沢さんは幹部だろ。いろいろと気苦労が多いし、佐官ともなれば激務がのしかかってくる。それで、訓練も指導もこなしてるんだから疲れもたまる……お前には、癒しを求めてるんじゃないかな」 永井「……」 沖田「でも、永井はそれだけじゃ嫌なんだな?」 永井「嫌、ってわけじゃ……ただ、三佐と、もっとちゃんとしたこ、恋人同士になりたいって……うう、三佐には黙っててください」 沖田「うんうん、永井はかわいいなあ。よし、俺に任せろ!」 ↓↓↓ 三沢「おい。永井に妙なことを吹き込んだだろう」 沖田「どうでしたか!」 三沢「どうもこうもねえよ……首根っこ掴んで叩き出してやったぞ」 沖田「うわああ勿体ねー! お目覚めフェラですよ! 男のロマンじゃないですかあ!」 三沢「でかい声で言うな」 沖田「ああまあ、三沢さんのトシじゃ朝勃ちもないでしょうけd、痛たたたたた! 耳ひっぱんないで!」 三沢「とにかく、おかしなことをさせるのはやめろ」 沖田「永井を不安にさせるのもどうかと思いますけどねー……あ、ひょっとして」 三沢「違う」 沖田「治る病気ですよ?」 三沢「違う」 沖田「じゃあなんなんですか」 三沢「……勢いで、のぼせあがってるところに付け込むのはどうも、な」 沖田「……うっわあ」 三沢「なんだ」 沖田「三沢さんが可愛くて気持ち悪い……痛てててててて、急所はやめて!」
とか考えたけど、屈折しない三永における沖田さんのスチャラカさはなんなのか(脳内)。
じゃあこっそり、発端になったリアタイも追記に入れておきますね……。 ↓
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