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 草食とは



花を食べてる人をみつけた。
じぶんは異人変人詐欺師などの人種がきらいなので、それらしき輩にはどんな状況であろうと関わりたくない。と、思ってはいたのだが。あいにく自分の庭の花を食われてちゃそうも言ってられなくて、先週あたり幼馴染の変人に「今育ててるハーブでもくっとけ」的な発言をしたことを忘れたわけじゃないのだけどこれは別件か。
庭につながる廊下のおおきな窓を開け放ち、腕を組んでそいつを眺めると数秒後にこちらに気が付いたらしい。「おはよう」だと、ふざけてらっしゃる。


「……春雅」
「きょうから俺は」
「何だよ。髪を染めて不良めざします?いやいやとっくの昔に不良だから人の家の花食べてるとか」
「きょうから俺は草食系男子になろうかと」
「意味をはき違えてる」
「花まずい。お茶ちょーだい」
「本当に自由人過ぎて怖いよ春雅。人ン家の花かってに食べて文句言うなよ、丹念込めて育ててたのに」
「だからか」
「だから不味いってか」


どれだけ失礼極まりない変人なんだ。向日葵の種ならなん十粒でもあげるから撤退してくれ。
呆れながらお茶をくんであげるおれが健気過ぎて泣けてきた。あ間違えたこれそばつゆだ。まあいいか気付かない気付かない。同じような色したそれを春雅に「ぷれぜんとふぉあゆー」と言って渡すと「てんくす」と言って受け取ってくれる。大概どちらも英語が下手だ。だけど日本人だからさして問題はない。いざとなれば通訳を雇うさ。

「あー兄貴おいしそうに食ってたのに」

そばつゆを啜りながらそう呟く春雅に、どうしてそばつゆを飲めるのか疑問を抱く。
いやむしろ疑問符の浮かばない春雅に疑問符。もしかしたらそばつゆじゃないのかもしれない、とグラスに注いで飲めば、そばつゆで噴き出した。


「きたな」
「ぐふっ、ごぉは、騙したな」
「いや意味わからん」
「そばつゆだぞ」
「それがどうしたんだよ」


こいつはそうめんなのか?前々から白くて細いとは思っていたけど、そうめんだとまでは考えたことなかった。そうか、そう言われると掴みどころがないのも納得がいく。
それが解決したら新たな疑問が生まれた。

兄貴おいしそうに食べていた、とはどういうことだろう。


「なあ兄貴ってお前の実兄貴?」
「うん、草食系男子の夏樹」
「おれあれ肉食系だとおもう」
「いや花食べてたし」
「春雅の勘違いもあれだけど、ます春雅のまわりってそんなんしか居ないの。家族経由なの?」
「えーよくわかんない」


だろうねお前も異人変人宇宙人さまさまですからね。






草食とは