飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


あれから2日私は悩んでいた。
最初に発を発動した私は無意識化で発動させていた。だからどうやって発動させたかは覚えていないので、どうやって新しい発を覚えればいいのかはわからない。フェイタンには手伝わないと言われているので、聞くわけにもいかず自力で頑張るほかない。何もしないわけにはいかないのでとりあえず隠と流の修行をしつつ考えていたが、全然思い浮かばない。

応用技はほとんど出来るようになったが、硬で強化したとしても自分の力を上回る相手だと凝で防がれる。下手をすれば堅だけでも弾かれしまう可能性だってあると考えるとそれを上回る力が必要になってくる。
普通の力技だけではダメなのだ。だからこそフェイタンは私に戦闘力のある発を習得しろと言っているのだろうけど。

そんな事を考えているとヒュッと何かが飛んできた。

「オーラの移動が遅い、足のオーラが薄くなたね」

流の修行をしていた私へ不意にフェイタンが投げた刀は私の肩を掠って壁に刺さっていた。手伝わないと言っていたけど、こうしてたまに指摘してくれるあたりフェイタンは優しいと思ってしまう。
少し掠った方からはツッーと血が流れた。フェイタンの放った刀に覆わせていた周が私の肩に移動したオーラ量より多かったという事だ。まだまだ、ダメだなと思いながら、流れた血を拭った。

―そういえば、

ふと水見式を行った時のことを思い出した。血が葉とコップを切り裂いていたような気がしていた。もしかしたらそれでいい技が出来るかもっと思って試しに自分の血に周でオーラをまとわせて鋭くなるようにイメージする。オーラを纏った血はゆっくりと動く、動くが思ったような形にはならない。今他に何も思いつかないのであきらめるわけにいかず、何度も行うが、それをしている間に血が乾いた。

「ね、フェイタン、切ってくれない?」

私はフェイタンにそう言ってフェイタンに近づいた。自分で切るあたりのオーラを薄くして硬で強化した手でも突き刺したら切れないこともないが、綺麗にできないだろうし、それに自分でするのはちょっと抵抗がある。手伝わないと言っていたけど別に考案とか修行に付き合ってもらうわけじゃないしと思って言ってみたが、フェイタンは怪しそうにこちらを見た。

「自傷に目覚めたか」

「違うよ!!」

どうしてそうなったのっと思いながらも確かに拷問されても文句を言わないどころかそんな事をする相手を好きになってしまった上に自分からしてくれと言い出せば、そう思ってしまうのも仕方ないか。

「どこがいいね」

フェイタンはそう言って私を見た。何処って難しい事を聞くなっと思いながらどうしようか悩む。足は違うしと思いながら考えていると

「んっぁ、、、くっ、、ぁっ」

「これでいいか」

答えない私にしびれを切らしたのかフェイタンは私の人差し指の爪を手で抜いてしまった。どんな握力してるんだろうと疑問に思いった。
キーンとなる耳鳴りと冷や汗がでてきながらもこのまま何もしなければ痛い思いをしただけになるので、なんとか耐えながら、指から出る血に周を施して形を変えるイメージを続ける。

先程とは違い、流れていく血はスルスルと紐のように長く伸びて床に落ちていく。落ちた血は元に戻ることなく毛糸を解いたように溜っていく。動かせるように頑張ってみるがなかなか出来ない。

「身体の一部と思うよ」

手伝わないと言っていたフェイタンが私に教えてくれる。フェイタンに言われたように私は目を瞑って血に纏わせたオーラと共に自分の指が伸びていくのを想像し、床に落ちた血も全て自分だと想像する。細すぎた糸のような血を太く想像し、長く伸びたのを指を曲げるときのように折りたたむイメージで短くする。

「気持ち悪いね」

フェイタンがそう言ったのでゆっくり目を開けてみると指から伸びた血は先程より太くなっていて、ウネウネと動いている。その見た目はまるでミミズのようだ。

「うへ、、、気持ち悪っ」



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