飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


あの日から数日フェイタンは私を閉じ込めるどころかたまに外に連れて出たりする。出かけない日は大概、念能力の修行か拷問にかけられるか、時折その、この前の様に襲われるか。。。

あっ、初めて出かけた日の翌日、朝起きるとベッドに寝かされていて、ベッドの横には私が欲しいと言った服が置いてあった。フェイタンに連れられて出る日の私のお決まりの服となっている。

今日は、朝起きてから何時もの念の修行をしていた。練も今ではもう少しで3時間くらい維持できるくらいにまでなった。後1時間くらいで終わりそうだ。
と思っていたらフェイタンがいつもの様に私の隣で読んでいた本を閉じてキッチンに何か取りに言って戻ってきた。

「そのまま、このグラスに手を添えるね」

フェイタンはそう言って私の近くにあった新し目のテーブルに並々に注がれた水の上に葉っぱが浮かんだグラスを置いた。何をするのかわからないがとりあえず言われた様に手を添えてみた。

「何も起こらないね」

「これ、本当は何が起こるの?」

私がそう聞くとフェイタンはグラスの中の水に指をつけてぺろっと舐めた。ジュースでも作る技なのかなとか思ったりしてみるが、フェイタンがそんな可愛い遊びをするとは思えない。それともだだ飲みたかったとか?上の葉っぱはミントなのかな。

「味も変化してないね」

「やっぱりお酒作る技?」

「そんな何の役にも立たない技誰が覚えるか」

フェイタンは、そう言い放った後また悩み始めた。本来だったら何か起こるのだろうと言う事はわかるのだけど、いつまでたっても私の手の中にあるグラスは何の変化も起きない。

「遅いだけか、だがオーラ量は充分なはずね」

フェイタンはそう呟いてから水の上に浮かんでいた葉っぱを手にとってじっと見た後、葉っぱを半分割ってグラスの水の上にもう一度乗せた。
すると葉っぱは初めユラユラと揺れて、徐々に断面が近づいていきスッと断面が消えた。フェイタンがもう一度手に取るとさっきと同じように傷もない綺麗な一枚の葉っぱになっていた。

「何それ凄い!魔法みたい!」

自分でした事にまるで魔法使いの様だと思った。フェイタンはそれを見てさらに何か考えているようだ。

「特質系だとは思てたね、ただ何を対価してるか」

もう慣れたがフェイタンは考え始めると私にわからないことをぶつぶつ一人でいい始める。最初からわかる様に説明してほしいものだが、いつも最終的にはわかる様に言ってくれるので今は大人しくフェイタンが答えを出すまで待つつもりなのだが。

「フェイタンそろそろ、疲れてきた」

練をしたままグラスに手を添えているのは結構疲れる。慣れた体制ではない事もあり、いい加減手を離したいのだけど、フェイタンは何も言い返してくれない。

−チクッ

手が疲れてコップのフチに手を掛けるとコップのフチが割れていたのか少し切ってしまった。指から流れた少量の血がコップの中の水と混ざった。

そしてマーブルになったかと思うと細い線になり、目に見えなくなった瞬間、葉っぱが真っ二つに切り裂かれた。何が起きたんだと思ったら、

−パリンッ

コップも割れてしまって中の水が勢いよく弾けて、私の服だけではなく近くにいたフェイタンの服まで濡らしてしまった。

「あっ、ご、ごめん」

「リノンは私を怒らせるのが得意ね」

嫌だその特技いらないわ。と苦笑いしながら練をやめてコップを片付ける。取り上げたガラスは何かに切り刻まれた様に綺麗な断面だった。

そしてフェイタンは私にさっきの水見式と呼ばれる念能力の系統を調べる方法についてや各系統について簡単に説明してくれる。私は特質系らしいが、納得出来なさそうにフェイタンはぜたい強化系ねと言っていた。念能力の系統は正確に付随する部分があるのか。ただ、その強化系の人の性格傾向がわからないので反論もしにくい。

「まぁ、能力的には特質以外考えられないね」

「生き返るやつ?」

そうねっと言ったフェイタンに私はてっきりこの能力を身につけた人はみんな出来るのかなとかちょっと思っていたのでなんとも言えない気持ちになった。
確かに現状的には便利だけど、主にフェイタンに拷問されても死ねばちゃんと回復するし、死んでも死なないし。ただ、本当にそれだけだ戦う能力でもなければガード出来るわけでもない。




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