飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


ふわふわとした微睡みと重たい体の感覚から起きた事を自覚する。
全身が筋肉痛なのか少し体を動かしただけで至る所が引きつったような感覚に起きる気力を失いそうだ。彼は何処にいるのだろうかと目を開けて隣を探してみるが見当たらない。
このまま少し寝ていようかとも考えたがまた出かけて行ってしまったのか気になって重い体を起こした。

−いつの間に寝たんだろう

少し昨日の事を思い出しながら、いつの間に自分は意識がなくなってしまったのか考えたが、記憶してないのか、寝た記憶は一切なかった。
起こした体は何も身にまとっておらず、服も見当たらない。仕方ないので着ていた薄手の布団を体に巻きつけてベッドから降りた。

洗濯し終わった服は脱衣所に置いたはずっとリビングの扉を開けた。

「遅かたね」

「ぁっ、おは、よう?」

リビングには、フェイタンがTシャツ姿で本を読んでいた。こっちにも目を向けず挨拶したのでとりあえず、なんて言っていいかわからなかったが挨拶した。昨日叫びすぎてか少し痰が絡む。
フェイタンが此方を向く前に早く脱衣所に行こうと早足で歩いたら思わず、布団に足を取られて、

派手に転んだ、、、

「何してるか、芋虫みたいね」

芋虫、、確かに布団で足を取られて転んだ私は膝から落ちてお尻だけ少し上がった状態だ。なんと滑稽な格好だろうか。恥ずかしさよりも屈辱的で泣きそうだ。

「服が、なくて」

自ら望んでこうなった訳ではない。こうなった言い訳を服のせいにして、どうにか起き上がろうとしているとフェイタンが本を置いて脱衣所に入って行き、私の服を持って出てきた。
そして、何も言わず私の目の前にポイっと置いてまた本を読み始めた。

優しいのか優しくないのか、、

とりあえず布団を巻きつけたまま歩ける状態じゃなかったのでワンピースを掴みすぐに着て、脱衣所に小走りで向かい下着をつけて戻ってくる。

だが、昨日何だかんだ会話をしたような気がするが、これまで拷問をされてばかりで会話らしい会話も殆どないのでどう接していいか分からない。
とりあえず布団を寝室に直しに向かい、ベッドに置いたが、次はリビングに入りにくくなった。

チラッとリビングを覗くと

「何見てるね、こち来るよ」

直ぐに目が合いドキッンと一瞬上がった心拍を筆頭にトクトクと心拍数が上がっていく。
私はこの人と一緒にいるといつか緊張とドキドキだけで死んでしまうのではないかと馬鹿な事を考えてしまう。
ゆっくりとフェイタンの近くに行き、彼の前に立つと。何時も見下ろされていたフェイタンを私が見下ろす位置になる。

「目の前に立たれると目障りね」

キュッと心臓が痛くなる。悲しさなのか、はたまた、トキメキなのか。そんな少し甘さを含む棘の余韻に浸りたい気持ちを抑えて彼がチラッと見た彼の隣に腰を落とした。

−ある種の拷問っ

何を話す訳でもなくただ隣にいるフェイタンのページをめくる音だけが響いている。小さくなんてなれないが緊張で内側に小さくするかのように筋肉痛の身体にら鞭打ってキュッと硬直させている。


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