飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


フェイタンが去ってから自分の言ってしまった事に後悔する。でも、きっと今何も言わなくてもいずれか私はフェイタンに何か言っていただろう。ただ、あんな風にひねくれた事を言わずに好きと言ってればっと、後悔だらけだ。
私は何故こうも素直になれないんだろうかっと思い。フェイタンに自分の名前を言った時何時も従順でいると良いと言われた事を思い出した。
そうしていれば、いつまでも変わらず側にいれたのだろうかと考えて、それでは結局何も何も変わらない。。

私はただのフェイタンの人形のままだ。

「リノン?皆んなもうご飯食べてるけど」

私はフェイタンが来たのかと思って顔を上げたがシャルだった。そりゃそうだ、フェイタンがそんな風に話したりしないし、あんな後に戻ってくるはずないんだから。
シャルは部屋を見渡して、あれ?フェイタンはっと聞いたが、私を見て驚いた顔をした。

「どうしたの?」

「え?」

シャルはそう言って私の顔に手を触れようとしてやめた。自分で自分の頬を触ると水に濡れている。あぁ、泣いているのかと他人事のように感じる。

「ねぇ、そんなに辛いんだったら俺にしとく?」

「ふふふっ」

シャルがあまりに真剣に言うもんだから少し面白いくなって、笑ってしまった。

「ちょっと真剣に言ったつもりなんだけど」

「ごめん、でも、シャルのそれは私のとは違うでしょ」

私がそう言うとシャルは溜息をついた後、そうだねっと静かに言った。きっと、シャルのそれは私とシャルが少し似ているから感じる物だと思う。

「でも、心配なのは本当だから」

「ありがとう」

お兄ちゃんでもいればこんな感じなのかなっと思う。
あぁ、私はこの世界に来て、元の世界以上に大切な物が増えた。兄のようなシャルに愛すべき人。なのに私は何を怖がっているんだろうか。失ってしまいたくなくて、怖くて、だから自分から失うような真似をして。

「とりあえず、ご飯食べに行こ」

「でも、、、」

「気にし過ぎると余計に話しにくくなるよ」

確かにその通りだけど、やっぱり直ぐに普通に話せるのだろうかっと迷ってしまう。
此処でじっとしていても仕方ないし、きっとこのタイミングで此処から出ないと私は、ずっとフェイタンが来るまで出ていけないだろうと思い切ってシャルについていく。

「シャル、どうやったら素直になれるかな」

シャルにそう聞くとシャルは難しいこと聞くなぁっと悩みだした。意外にも真剣に考えてくれているみたいだ。てっきりまたおちゃらけて答えてくるかと思ったんだけど。

「今日本当に死んでしまうとしたら、リノンは今のまま死ねる?」

きっと、それは無理だ。死ぬならフェイタンの側でと思う。
あぁ、確かに今日死ぬとしたら好きと言ってしまっても恥ずかしくないかもっと、以外にシャルもいいこと言うのねっと思った。


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