飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「展示品全てをかっさらう」

今回の獲物はとある富豪が出展した念で作られた物を含めた展示会の出展品だ。フェイタンはそれを知っていて#名前#が欲しいと言っていたのを手に入れられそうでワクワクしていた。

「今回は宝じゃないんだな」

元より宝に興味のなさそうなウボーギンがそう言った。いつも宝を狙っているわけではない。数年前は緋の目という興奮すると眼の色が変わる一族の目を抉って持ち帰った事もあるくらいだ。ただ、ここ最近はあの異世界に行ける黒い宝石以外全て宝石かもしくは絵、本のどれかだった。

「前に盗り損ねた石が出るらしい」

それを聞いた瞬間、前回の仕事で一緒だったウボーギンとフェイタンとシャルは一気にテンションが下がる。フィンクスとマチ、パクノダはそれを知らない為急にどうしたのかと思いながらも何も言わない。
団長の目的は盗り損ねた石でその他の武器や古代遺跡はついでのようだ。今回の獲物の展示は、世界の成り立ちという陳腐な展示会だが、その展示品は、見る者が見ればかなり貴重な物が揃っているのは確かだ。ただ一つ団長が欲しいと言った石以外は、、、

「前みたいにシケた仕事は嫌だぜ」

「今回は念能力者も雇っているらしい、好きに暴れれば良い」

団長がそう言うとウボーギンはよっしゃーと声を張り上げた。まぁ、フィンクスやウボーギンは元からあまり宝を愛でるタイプじゃないのでいかに戦闘を楽しめるかと言うのが仕事の醍醐味みたいなものなので、前回よりか、暴れられそうな仕事で楽しみが出来たようだ。

「その石前消えたね。能力者も死んだよ」

フェイタンは黙っていようかとも思ったが、少しきになる事もあり質問する。異世界というのは今まで信じられなかったが、リノンと一緒にいて、多くの疑問があった。会社員だったという割にシャルが調べても情報は一つも出てこない、文字も読めなかった割に計算はできて、文字も教えれば2日で理解して、文字が読めないのに携帯は使えた。そして、何処からか念も使えなかったリノンは自分に気付かれずに部屋に現れた。あまり考えないようにしていたが、タイミング的にもあの仕事があった日に現れた事を考えると関係ないとは言えない。

「あぁ、だが念能力者が死んだとしても念が消えるとは限らないだろ」

「まぁ、俺も乗り気じゃなかったけど、調べてみたら間違えなさそうなんだよね」

団長の答えにシャルがめんどくさそうにそう言って、まぁ、異世界があるかはわからないけどねっと付け加えた。

それを聞いたマチとフィンクス、パクノダは少しげんなりする。また、団長の悪い癖が始まったとでも言いたそうだ。

基本的にはお宝を狙った仕事が多いのだがたまにこうして団長の興味があるものが目的になる事もある。興味が湧いたものにはとことん追求したがる団長だが、いかんせん対象が理解しがたいものが多い。
そして、大抵こうゆう時はタチの悪い仕事になる事が多いのだ。

「まぁ、石はついでで良い」

皆からの視線に苦笑いをしながら団長はそう言ったが内心は絶対そうは思ってないだろうとその場にいた全員が思ったがあえて言葉には誰も出さない。そういう時は団長が何が何でも手に入れてくる。自分達はそれ以外の物を持ち帰れば良いと思いながら、了解する。


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