飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「石以外の物で一つ欲しいものがあるね」

「あぁ、ならフェイタンが持って帰れば良いよ」

今回の獲物の中に何かフェイタンの興味がありそうな物があったかなっとクロロは考えながら、珍しく自分に欲しい物があると言ってくるフェイタンに軽く了承した。
そういえば前回の仕事から少し変わった事の多いフェイタンに少し違和感を感じるなっと思い。フェイタンを見たが、対していつもと変わらない。

仕事まで少し時間があるので各々アジトの各自の部屋や、広間に散らばる。

フェイタンは、広間で今回の獲物の事を考えていた。
リノンに持って帰る武器は決まっている。問題は団長が目当てにしているあの石についてだ。

欲しいわけじゃない。ただ、その石の所為でリノンがこの世界に来たとしたら、その石によってリノンが元の世界に戻ってしまう可能性があるのではないのかと思うと何としてでも葬り去りたい気持ちになるのだ。
ただ、団長が欲しがっているのだから壊すわけにはいかない。なので少しでもリノンに近づける事がないよう、団長が手放しだ時に壊そうと目論む。

「ね、フェイタン、リノン元気?」

「喧嘩売てるか」

珍しくシャルがフェイタンに声をかけてきたと思えば、第一声でリノンの名前が出てきて、この前のことを思い出したフェイタンはさっきの石の話から少し落ちていた機嫌がさらに急降下してくる。

「リノンって誰だ?」

間の悪い事にフィンクスが隣にいてシャルの言葉に食いつく。まぁ、いつも仕事の際は連んでいるので隣にいる事が多いから仕方ないと言えば仕方ないのだが。
そして、フィンクスにもリノンの事で嫌な思い出があるフェイタンは、二人を睨むが、

「フェイタンのペット?」

「はぁ??こいつが??何飼ってんだよ」

フィンクスは笑いながら、フェイタンに犬とか似合わねーっとか勝手に飼っているペットが犬だと決めつけられている。

「違うよ、人間の女の子」

「えっ?あーあの時会った。まだ殺してねーのか」

フェイタンは苛立たしくもこれ以上リノンの事を二人に言いたくないと思い黙って聞いていたが、フィンクスが前に会ったのがリノンである事に気付いた事でフィンクスを睨んだ。

「んだよ、水くせーな、紹介しろよ」

「でもさ、フェイタンにはもったいないくらい可愛いよね」

フェイタンが二人に何も言い返さないのを良い事にまるで女子会の様にヒートアップしていく二人にそろそろ苛立ちがピークに達してどう黙らせようかとフェイタンは思っていた。

−ヴゥー

その時携帯が鳴った。元々携帯は仕事にしか使っていないのでアジトにいる今電話を掛けてくる相手は分かっているので、フェイタンはすぐさまその場を後にした。

「あれ絶対リノンからだね」

「なぁ、フェイのやつそんなに入れ込んでんのかよ」

前に一度しかも、すぐに去ってしまったのでそこまでよく知らないフィンクスがシャルに聞く。

「あれは、入れ込んでるどころじゃ無いよ、かなり過保護だし」

「全然想像出来ねぇ」

それもそのはずだ、旅団だからといって恋愛禁止でも無いし、フィンクスやシャルにだって彼女くらい居た事はあるが、フェイタンは今まで彼女なんて居なかったし、何ならノブナガの様に風俗にも行ったことのない。しかも趣味は拷問で、基本一人が好きで他人をあまり寄せ付けないフェイタンが過保護に一人の女に入れ込んでるなんて誰が想像しただろう。

「まぁ、変化系だからね、飽きるのもすぐじゃ無いかなぁ」

そう言ってシャルが楽しそうに笑ったのをフィンクスは、

「なんだよ、オメーも狙ってんのか?」

「あれ?フィンクスも?」

「んなわけないだろ、俺はグラマーな方が好きだからな」

確かに今までフィンクスが付き合ってきた女性はグラマーで気が強そうな女ばっかりで、リノンとは正反対だなっと思い、シャルは納得した。

「まぁ、時間の問題だろ」

そう言ったフィンクスの言葉にシャルは何も返さなかった。


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