飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「あっ、そうだ。シャルナークって言いにくいだろうし、シャルでいいよ」

っと言って笑ったシャルに思わず、異世界に来て初めて元の世界に戻った様な錯覚を覚えた。ずっとフェイタンと一緒に居たからか、非現実的な毎日に何処か夢だったかの様な変な気分になった。ただ、その夢は消して嫌なわけではない、むしろ、自分が自分であれる場所であり、私を必要としてくれる人もいて幸せとも言える。だけど、シャルの醸し出す陽気で明るい雰囲気も嫌いではない。

「じゃ、シャル、何でフェイタンにあんな事言ったの?怒って拷問されるのは私なんだよ」

「その時は逃げたらいいんじゃない?それとも今から逃げる?」

そんな事したら血の底まで追って来て拷問より辛いことをされるかもしれないじゃないか、拷問より辛い事って何があるのか知らないけど。あるとしたら捨てられる事、、、だったら初めから逃げるという選択肢なんてないわっと思いながらシャルを見た。本気なのか冗談なのか全くわからない。

「逃げたりしないよ」

「帰ってきたら怒られて拷問されるかもしれないよ?」

シャルは笑いながらそんな事を言ってきた。訂正しよう。やっぱりフェイタンの知り合いはやっぱりフェイタンの知り合いだった。非現実に引き戻されたかの様にそう思った。

「それくないなら仕方ないし、それにシャルが帰ってくれたらされないかもしれない」

「仕方ないってされた事あるの?」

っと聞いてきたシャルに日常茶飯事だし、それされないと念使えないしとも言えずにあるけど問題でもある?っと言い返しておいた。

「やっぱり、フェイタンが連れてる子なだけあって、、」

っと最後濁してきたが、それ私もシャルに思ったことだわっと思う。
とりあえず、シャルは出て行ってくれそうにないし、かと言ってシャルを追い出せるくらいの力は私にはない。無駄な抵抗は体力を使うだけだし無駄な事はしない主義なので私は仕方なしにシャルの滞在を許すことになった。
ただ、部屋からは絶対に出ないことだけ伝えて、お腹いっぱいになったので私は念の修行に勤しむことにした。

未だ、隠と流に手こずる私はとりあえず隠の練習から始めることにする。流の修行もしていたが、フェイタンが隠を覚えれば私の血での攻撃も隠して不意をつくことができるって言っていたからだ。

「んー、どう意識してやってるの?」

私がさっきシャルから受けた傷で操った血を見ながらシャルはそう言ってきた。どうって、隠すんだから見えない様になる様に念じながら?っと思いながら自分でもよくわってないのでなんて言っていいかわからない。

「隠れる様に?」

「はははっ、いや、そうなんだけど、なんか見えなくなると言うより、弱くなってるだけに見えたからさ」

よくわかってらっしゃる。私は隠を練習してもどうしてか隠すと言うよりは発の威力が弱まってしまうだけになってしまうのだ。フェイタンに聞いても発を隠すねとしか教えてくれないので苦戦している。

「発そのものを隠す様に変えるんじゃなくて、発を覆う様にして隠すイメージをしてみたら?」

「んー、物を布で見えなくする様な感じ?」

私がそう言うとシャルはそうそう!っと言う。
しばらく考えて発の威力はそのままにそれを隠すようにオーラで包むそのオーラを透ける様なイメージをして発を隠す様に頑張る。

「さっきよりいいんじゃないかな」

「確かに!」

先程とは違い発の精度はそのままで少し発のオーラがわかりにくくなっている。それでも目の前にいるシャルには見えていると言う事はまだまだ修行が足りないと言うことなんだろうけど。

「シャルの説明はわかりやすいね」

「フェイタンは説明苦手そうだよね」

っと笑って言うシャルにそうなの!っと言って笑った。やっぱりフェイタンの知り合いだと思ったもののやっぱりシャルといると高校生の頃珍しく学校帰りに友達と遊びに行った時の様なノリを感じる。これはこれで楽しい。

私は修行しながら、シャルとフェイタンについてあれこれ話しをした。


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