飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


あれから服を着替えた私とフェイタンは今日止まる予定のホテルについてご飯とお風呂を済ませた。今日あったことで少しの距離感を感じて微妙な雰囲気の中、フェイタンが今日、彼女が占ったカードを取り出した。

「何が書いてあるの?」

「チッ」

私が何が書いてあるか聞くとフェイタンは眉を寄せて舌打ちしたのち、カードを机に投げた。よく無い事が書かれていた事はわかったが、字の読めない私は、カードを手に取るか何を書いているのかさっぱりわからない。一番下だけが黒で塗りつぶされていて読めない事だけは分かるが、、

「やぱり、留守番してるね」

さっき、私に戦闘できる発を習得すれば連れて行ってくれると言っていたし、嘘はつかないと言ってくれたフェイタンが、深刻な顔をしながらそう言ってきて、私は書かれていた内容が良くないものだとわかっていたが、どうしてなのかわからず、納得がいかない。

「恐らくだが、ワタシ以外に殺されたら生き返れないね」

そう言ってフェイタンは、カードに書かれている内容を説明してくれた。
私の能力は、2週間に1回4時間以上の拷問を受ける事、生き返る際に負った傷の倍の痛みを受ける、そして、最後の傷が愛すべき人によって与えられた事を条件に自己回復で治らない域に達した又は死亡した事で発動し、傷が体中にある傷をひとつ残らず回復させる能力だという事がわかった。この占いがあっているならばフェイタンが言うように私はフェイタンによって殺された時のみ生き返ることが出来る、不死身になったわけではなかったという事だ。と思った瞬間少し恥ずかしくなる。

―好きってバレたようなもんじゃん。。。

「死んだら終りね、ワタシ以外からすればリノンは普通の人間よ」

死んだら終り、当たり前のことだけれどこの世界に来てから何度も死んでは生き返っていたから普通の人と違っていると思った私が自分以外の人間に殺されれば普通に死んでしまうと知ったフェイタンはそう言ったが、普通に考えれば一度死んでしまえばもう生き返らないのが普通なのだから、私はそこまで落胆してはいない。

「元々サンドバックになろうとは思ってないよ」

「それでもね、それでも、、、」

「じゃ、フェイタンは死んでも生き返るから私がほかの人に殺されても大丈夫って思って連れて行こうと思ってたってこと?」

そうだ。もとより私はフェイタン以外の人間に殺される気なんてさらさらない。元々痛みに強い私だけど、私は誰にでもされていいなんて思っていない。フェイタンだからこそその痛みも受け入れられるしフェイタンだからこそ殺されてもいいと思っている。だから、私にとっては何も変わっていない。むしろ、フェイタンの全てを受け入れることが出来る力で嬉しいくらいだ。
ただ、フェイタンの言っていることもわかる。今の私では生き返ることが出来ないというのは、サンドバックにすらなれない。だったら強くなるしかない。

「思てないね、、ただ、、」

フェイタンがそう言って止まった。私はフェイタンが否定した事に少し驚いた。最近時折優しいし、べったりなフェイタンだったが、それでも私に対する意地悪は何時もと一緒で、フェイタン自身の感情や気持ちを知ることもなかった。だから、気まぐれでそうしているだけなのかと思っていた。

「心配なだけよ」

ワーッと心が踊るように嬉しくなる。フェイタンが自分の心配をしていると言った。それは私を思っていると思っていいのだろうか。嘘でも気まぐれでも嬉しかった。自分の事を思って言ってくれている事が凄く嬉しい。そんな喜んでいる私に気付いたのかフェイタンは私を睨んでくる。

「その、心配してくれるのは凄く嬉しい、、でも、戦える念を覚えたらいいって約束してくれたでしょ」

私は一緒にいたいの、留守番は嫌だと言ったらフェイタンは何時も腹立たしそうな時にする顔と同じ顔をしていた。わがままを言いすぎただろうか。めんどくさいと私を突き放すだろうか。少し不安になりながらもこれは譲れない。無理だと言われたら黙ってついて行ってやろうと思いながらフェイタンを見つめ返した。

「約束したことが出来なければ家に帰るね」

「わかった。」

そう言ったらフェイタンが私を抱きしめてきた。温かい腕の中はとても落ち着く。

「愛してるね。死んだら許さないよ」

とても小さな声でささやかれたその言葉に驚いてみたフェイタンの顔は心配そうに私を見てて、
それを隠すようにキスをされた。


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