飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「ハァハァ、、、フゥ―ハァハァ」

あと30分と言われてからどれくらい経っただろうか。あれだけ張り切っていたが、もう息も絶え絶えで頭が少しボーっとする。ただ座ってるだけなのに意識が飛びそうなくらいである。隣に座るフェイタンはこっちを気にする様子もなく何も言ってこない。

―ってゆうか、後何分よ

そう、あと30分と言われたが、この部屋には時計はない。本当に時間を測っているのかも怪しいところだ。これは騙されたのかっと思いながらも、もし本当に時間を測っているならここで止めてしまったら折角此処まで我慢してきたのがすべて水の泡だ。と意地で耐えているが、徐々にまとっていたものがユラユラと揺れだすのがわかる。

―もう無理っ

と思った瞬間身体にまとっていた何かが消えて、一気に身体から力が抜け、朝の筋肉痛よりも酷い疲労感から身体を起こすこともできなくなり、ソファの背もたれに自分の身体を全て預けた。少しずるりと身体が滑り、もうちょっとも動けない。

「1時間10分か、初めてにしては上出来ね」

フェイタンが本を閉じてそう言った。フェイタンの言葉を聞いて彼が時間をしっかりと測っていた事と言っていた時間をとうに超えていたことを理解した。終わってたなら言ってよっと言ってやりたかったが、もう息が荒れて声を出すのもつらいのにそれを言ってしまえばどんな目にあうかわかったものではないので大人しくしていることにした。

「明日は1時間30分にするね」

「え?、、ハァハァ、、お出かけ、は?」

今日よりも20分も長く設定された苦行と外に連れてってくれるんじゃなかったのかと騙されたのかっという2重苦のセリフに荒い息のままフェイタンに食いついた。フェイタンは目を細めて笑い。

「明日行くとは言てないね、それに明日行くとしても朝にして昼から行けばいいよ」

鬼だ。この苦行の後に出掛けるとか無理だろう。っと思った後、あぁもとより連れて行く気なんてなかっただろうっとフェイタンを睨んだ。

「なんね」

「なんでもないです」

今の体力ではこれ以上何かさせられるよりもうゆっくり休みたかった。出かけられないのは凄く残念だったが、仕方ない。ここから拷問されるとか想像もしたくない。今はおとなしくしておこうと思う。

「さきのが錬ね、身体から出てたのがオーラよ」

ようやくフェイタンが言っていた言葉が理解できた。錬だのオーラだの何がなんだかわからなかったが、これの事かと思ったと同時に確かにこれは口で説明されても私にはよくわからないわっと納得した。と同時に凄まじい眠気に襲われてズルズルと身体がフェイタンの方に倒れていくのがわかって、ヤバイッと思ったがもう立て直す体力もなかった。そして、フェイタンの方に頭があったってしまった感覚が伝わった。

「まぁ、明日終わたら連れて行てやらなこともないね」

フェイタンは私の頭を退かすこともせずにそう言った様な気がしたが、それが夢のなかっだたのか現実だったのか私には判断できなかった。




「とんでもないものを拾たかもしれないね」

そう呟いたフェイタンの声は誰も聞いていなかった。錬は基礎ではあるが、初めてなら30分維持できればいい方だ。確かに絶対に無理ではないし、強いものなら5時間くらいは維持できるものもいる。しかし、息も絶え絶えとはいえ初めて行って1時間以上も維持できるというのは驚異的だ。かなりのオーラ量があるか、もしくはセンスが良いだけなのか。だが、リノンの場合ほぼ確実に前者であるだろうと予測する。
それは、錬を行う際初めに放出したあのオーラ量だ。ある程度はコントロールが出来ずに放出量を間違える可能性は予測していたが、それを上回っていたことに少し不意を突かれた。

「鍛えれば化け物になるね」

―強さと死なない力、人間とは言いがたいね

そう、リノンは殺しても死なないし、傷すらも治ってしまう。その制約はなんなのか今はわからないが、その回復力は想像を絶するものであり、なおかつそんな不死身の人間が強さを手に入れればそれはもう人間と言っていいのかわからない。

―躾が大変ね

そしてフェイタンはその化け物をペットのように育てようと考えていた。それが本当にペットに対する感情なのかは理解せずに・・・・


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