飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


フェイタンが本を読み始めてしまったので私はまた、フェイタンの隣で暇を持て余そうかとボーっとしているとこめかみをパシッと弾かれた。いや、そんな優しいものではない。銃で撃たれたことはないが、そんなような感覚だ。痛いとこめかみを抑えると血が出ていた。

「誰が、何もしないでいいと言たね」

そんな横暴な、何をどうしていいのかわからないのに何をすればいいのかも教えてくれないじゃないか。っとちょっと不貞腐れてフェイタンを見たら鋭く睨まれて文句も言えやしない。

「さき、どう感じたね」

「汗が出るみたいにぶわって」

まるで表現力のない表現に自分でも失笑してしまう。でも、経験した事がない感覚にそれ以外はたとえられる言葉が見当たらなかったのだから仕方ない。フェイタンは、本を見たままならそれをもう一度思い出してやってみろと言ってきた。
私は悩みながらも目を瞑って先程の感覚を思い出しながら、同じような感覚になるのか脱力したり、んーっと踏ん張ってみたりしてみる。だが空しいことに何も起こらない。が、、止めてしまえばまた怒られるなっととりあえず、頑張ってる風にちょっと体制を変えてしてみたりする。

―これ、何の意味があるんだろ

まったく何のためにしているのか、出来るようになって何になるのかわからないこの作業は苦だなっと思いながらもそれ風に振る舞っていると筋肉痛だった身体が少し痛くなくなっているのに気付いて、ちょっと気分が良くなった瞬間。

―バキッ

「へっ?」

「喧嘩売てるのか、リノン」

大きな音に目を開ければ、隣に座っていたはずのフェイタンは少し遠くに立っていて、私の近くにあったテーブルはヒビが入っていた。喧嘩を売ったと言われても私は何がなんだかわからない。ただ、先程と同じいや、先程とは少し違って身体の周りに暖かい何かが纏わっているのがわかり、フェイタンへの返答も忘れて自分の手を見ていたら、いつも間にか私の前にフェイタンが立っていた。

「いい度胸ね」

「ご、ごめんなさい。」

そう言うとフェイタンはチッと舌打ちして、もう少し抑えてそれを維持しろとだけ言ってまた本を読みだした。抑えるって何!?さっきから説明雑じゃないっと思いながら恐る恐る体の周りに纏わっている物を体の内に収めていくように想像する。もちろん慎重に。。次失敗すれば首が飛ぶかもしれないと緊張しながら。

「抑えすぎね」

不意にそういわれたのでまた、少し出すイメージで放出すれば、出しすぎね!っとキッと睨まれる。少しの間それを繰り返し行っていたら、何も言われなくなったので、そこで維持する。ただ、これに何の意味があるのか、やっぱりわからない。この後どうすればいいかわからなくてフェイタンを見たが特に何も言われないのでとりあえず続けることにした。



あれから、30分後
―これ、意外にしんどい

そう、ただ座っているだけなのに息が荒れそうになるくらいに疲労感を感じる。だけど、止めたら怒られるだろうし続けるしかないのだけれど、どうしたものかとチラチラとフェイタンを見ていたら、目があった。

「後30分そのままでいれたら何処か連れててやるね」

「ホントに?!」

「乱れたね」

此処にきて1ヶ月近くほとんどをあの部屋で過ごし、フェイタンがいない間も外出はしていなかった私にとってそれは凄くうれしい話だった。それに日本とは異なる窓から見えた景色の街に出れるというのは少し旅行に行くような気分になる。そう思うと少し興奮してしまい、身体にまとっていたものが揺れた。それをすぐに整えるとあと30分後30分とワクワクする。




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