飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


フェイタンが出て行ってから5日何もすることもなくお風呂に入って冷蔵庫にあるものを適当に焼いて食べる。とはいっても調味料は塩と砂糖しかないのでいつも塩で味付けした炒め物ばかりなのだけど、それでも食べ物を食べられるというのは幸せだ。
ただ、とにかく暇で仕方ないので部屋のものを漁ることにした。特に何をしてはいけないという事も言われていないしと言い訳しながらいつものあの部屋をぐるりと見渡した。いつも椅子に座らされ、激痛に耐えていて周りを見渡す余裕などなかったけれど、部屋にはたくさんの拷問用具が椅子の後ろに並んでいる。この前まで何度もそれらを使用されていたはずだがどれもピカピカに磨かれていて手入れが行き届いているのがわかる。

―几帳面なのかな

そして、拷問器具とは別に本棚を見つけた。暇だし何か面白い本でもないかなっと背表紙を見ていくとどれも自分には読めない字が書かれている。気になって開いてみると一つの写真とびっしりと文字が並んでいた。何と書かれているのかは全く分からなかったが、親指が何かの器具によってつぶされている写真から察するに拷問器具の説明でも書かれているのだろうか。私には縁のない本だし、それになんだかいけないものを見ているような少しエロ本がばれないかドキドキしている高校男子のような気分になる。

どうしようかと悩みながら2冊の本を手に取り寝室に移動した。両手にしっかり抱えて布団にポプッとダイブし、誰もいなくて当たり前なのに周りを確認して上にあった方の本を開いてみた。

ぱらっと開いたページには沢山の針が出っ張った椅子の写真が写っている。

―いたそっ

自分がされてきた拷問の方がよほど劣悪なのだが、それに座ることを想像しブルッと身を震わせてしまう。
さらにパラパラとページを捲っていく。
樽に入れられた女性に虫がたかっている写真や鋭い刃物のようなものが写っていたり、字が読めないので写真便りだがどれも生々しい。たまに三角木馬やアイアンメイデンのような物もあった。

―なんだろこれ

瓢箪のようなものが写っているが、文字が読めないのでどんな使い方をするのかわからない。気になるってどんな使い方をするのか想像してみるが結局わからず、仕方ないので次のページを捲るとまた、指輪のようなものが写っていて何が拷問と関係があるのか見当もつかない。
もう一ページ捲ってよくわからなかったら次の本でも見るかとページを捲ったら、そこにはピンが一枚写っていて、やはりなんなのからなかった。

「それ、欲しいか」

「ギャー――」

不意に聞こえた声にビックリしすぎて、身体がピクッと反応した反動で頭が何かにゴツッと当たった感触がした。

「いい度胸ね」

ヒーと言ってしまいたかったがそんなこと言えるような雰囲気ではない。恐らくだが、私の頭はフェイタンの顎にでも当たってしまったのだろう。
だけど後ろを振り向くと私の身体にまたがり私を見下ろしているフェイタンは私の頭はジンジンと痛むのに彼は涼しそうな顔をしている。と言っても口が隠れているので目しかわからないのだけれど。

見上げて見えたフェイタンは、顔は綺麗だったが、真っ黒な服はすごい汚れだ。泥かとも思ったが、乾いてパリパリになっているそれは、もう見慣れてしまった血の跡だ。
一体どのようにしたらそんなに血まみれになるのだろうか。

―私以外の人間にもあんなことするんだ

当たり前だ。初めて会った人間にあんなことをするような人なのだから当たり前なのだけど嫉妬心のようなものが芽生えた。

「憂さ晴らしに付き合うね」

そう言われていつもと同じフェイタンの目にさっきの感情はサッと消え失せ。ドキドキと胸が鳴る。
そして、またあの部屋に連れて行かれて始まるのだと少しおびえたような表情を浮かべてみせると。彼は私から少し離れ何処からか縄を持ってきた。

「今日は趣向を変えてみるよ」

よほど興奮しているのか何時もよりも鋭い目で私を見つめてくるフェイタンに体中の血液が一気にめぐっていくのを感じた。


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