飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


あの後もクロロはひとしきりフェイタンに私の入団を認めさせようと奮闘していたが、フェイタンが首を縦に振ることはなく、諦めたのか一旦静かになったのを見計らってフェイタンが席を立った。

「フェイタンは優しいか?」

「え?優しいけど」

何を急に聞くんだと思いながらも即答で答えた自分にちょっと気恥ずかしさを覚えながらもう空になった缶を見つめながら、ここ数日の事を思い出した。何時も拷問やら修行やらで全然見えてなかった事も最近見える。朝起きたら朝食が用意されてて、外に出掛ける時は着替えが用意されていて、髪はフェイタンが乾かしてくれて、眠るときは頭を撫でてくれる。。。。
このままいくと私はフェイタンが居なくなったら生きていけない人間になってしまうんじゃないかと思うくらいに溺愛されている自信がある。

「辛い事もあるだろ、ほら、誓約で」

パクにでも聞いたのかっと一瞬思ったけれど、何度も死んで生き返ってって繰り返してたし、拷問されることが誓約っていうのはばれてるか。

「あぁ、拷問は嫌いじゃないよ」

好きって言ってしまうのはなんだか恥ずかしい。まるで性行為の事を話すように近い感覚を覚える自分が可笑しいんだろうけど。拷問好きですされたいですってなんか、言いにくいわ。っと考えてるとクロロの笑った声が聞こえた。

「リノンって変わってるよね」

「ちょっと自覚してるけどなんか、そう言われるのは癪に障るわ」

「気が弱いってわけじゃないのに」

あぁ、そうですよ。元々従順に従うタイプとは違うけど。フェイタンが特別なだけだから。それに別にフェイタンにも従順なわけではない。フェイタンの嫌なことはしたくはないと思うけど、フェイタンの言うとおりに何でもするかと言われるとそうではないから。

「クロロは何で私を蜘蛛に誘おうなんて思ったの?」

「あんな腑抜けたフェイタンは初めて見たんだ」

まぁ、そんな悪い意味じゃないけどっと付け加えてクロロは言ったが、ちょっと聞きづてならない。

「蜘蛛よりもリノンが大事だって、だったらリノンを蜘蛛にいれるのが一番かなって」

「それってそんな変わる?私が蜘蛛でも蜘蛛じゃなくても一緒な気がするって言うか一緒でないと困る」

私が蜘蛛に入ったからと言ってフェイタン中の順位の1番は私であることは揺らいでほしくない。だから、私が蜘蛛に入った所で今の状況と何か変わる事は無いと私は思うんだけどね。

「後は面白いかなって、皆リノンを気に入ってるし」

「でも、今12人居るんでしょ団員」

「まぁ、仮入団?」

何その仮入部みたいな軽いノリはっと思ってクロロを見るとニコニコと笑っているのでなんだか本当にこの人は極悪卑劣な盗賊の頭なのだろうかと疑いたくなる。
私は空になった缶を捨てて何か飲み物を取りに行こうかと席を立とうとしたら、クロロがフェイタンがさっきまで飲んでいたコップにお酒を注いで私の前に置いた。

「んっ、それもう空ならこれ飲む?」

「ありがと」




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