飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「あ!!そう言えば、皆には連絡したの?」

「はぁ、このタイミングでそれ言うか?」

抱き合ったままもう一度キスを交わす寸前にそう言えば、私達が生きているという事をもう皆が知っているのか疑問に思ったらフェイタンが呆れたようにそう言ってきた。だが、気になったものは仕方ない。
あの後、私はフェイタンを抱えてホテルに戻ってきたが、結局今回の報酬はあのスワンクロックだけだったのかも気になるし、皆がフェイタンが死んだと思ったままだと困るだろうし。

「まだ、連絡してないね」

「え?!もう3日くらい経ってるんじゃないの?」

私の能力は今まで生き返るまでに最短でも3日はかかることがわかっている。その間皆フェイタンが死んだと思っていたら困ることだって多いだろうし、後々になって実は死んでませんでしたなんて言いにくくなる一方だしっと私はフェイタンにすぐ連絡した方が良いんじゃないの?っと言うと、大丈夫ねっと言ってまたキスしてこようとするフェイタンを腕で押した。

「嫌か?」

「じゃないくて、先に!」

仕方ないね。っとフェイタンは近くに置いていた携帯を手に取ってクロロに電話をした。クロロがどんな反応をするのかも気になって、私はフェイタンにくっ付いて耳を澄ませた。
3コール目にして向こうが電話を取った音が聞こえる。

『連絡が遅いぞ』

「悪かたね」

「え?それだけ?」

ん??何連絡が遅いって?反応薄くない??もっとほら生きてたのか?!本当にフェイタンなのか?!って感じな驚いた反応は無いの?っと私が思って声を漏らしたら電話越しにクロロが少し笑っているのに気付いて、もしかして私が生き返る前に既に聞いてて私を騙したのかとフェイタンをチラッと見たがフェイタンは涼しい顔をしている。

『あの男にスワンクロックを貰って帰ったから使うためにフェイタンを連れて帰ったんじゃなかったのか?』

「あっ」

そう言う事か、私は女神を譲渡されていてそれを使ってフェイタンを生き返らせたって事か。本当なら使用すれば死亡するはずだけど、死ぬ前にフェイタンが私を殺したから、私も死なずにすんだと言うところだろう。
気が動転しすぎていて何も考えられていなかったとはいえ、一歩間違えれば取り返しのつかない事をしていたなっと、自分の出来の悪さを少し嘆く。

「宝はこのゴミだけか?」

『いや、サントのアジトの物を掻っ攫った。大したものはなかったがな』

フェイタンがもう念能力の宿らない小さな白鳥を手に取った後ゴミ箱に投げやりながらそう言うと、クロロがサントのアジトにあった宝石を回収したことを告げた。大したものはなかったと言っているが、普通の人からすれば、一生働いても手に入れられるかどうかわからないような物がたくさんあっただろう。

『当面は仕事もないんだ。二人でゆっくりすればいい』

「そのつもりね」

そう言って電話を切ったフェイタンは、ニコッと私に笑顔を向けてきた。
可愛い。
男性に可愛いは失礼だろうけど、少し幼さの残る顔は何時ものニヒルな笑みでないとこんなにも可愛く見えるものなのか。




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