飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「待って!!お願いだから、此処にいて」

「ごめんだけど、私はあなたの味方にはなれないわ」

サルヴァトーレことシアンに過去の事を聞いた後私は、フェイタンに急いで電話をしたが、繋がらず、アジトを出て行こうとしていた。
だが、よく考えるとクロロ達は何処へ行ったのだろうか、次の仕事の予定とか全然聞いていなかった上に私が知っている場所なんて限られている。

「クローレのアジト、、、」

「馬鹿な事を考えない方がいい!!君みたいな女の子が一人で行ってただで済まないはずだ!」

スワンクロックは旅団の手にあったとしても私が居なければ女神は得れない。ただ、それを団長達は恐らくまだ知らないだろう。それにもし知っていたとしても行方不明の私を探すとしたら、今の情報量だけで思い当たる場所と言えばクローレの場所くらいしかないはず。

「とんだ偽善者じゃない?そんなに言ってほしくないなら殺せばいいじゃない」

そう、本当に私がリシュアンに会う事でリシュアンが死んでしまう可能性があるならば私を殺せばいいんだ。私だったらそうする。もしも、誰かのせいでフェイタンが傷つく可能性があるなら。。。
彼がそれをしない理由は明白だ。

「もう死んでるっていうのに死ぬのが怖いとか笑えないわ」

私がそう言うと彼は、うつむいて何も言わなくなってしまった。
私の憶測は正しかったという事か。恐らくだが、今の私の身体の中には異世界の扉が溶け込んでいる。そして、私が死ねばその石も破壊されるという事だろう。

「君の中にあるそれはもう、あと一回も使用できるか。。」

「貴方最低ね。」

あぁ、私の一番嫌いな人種だ。好きだの愛してるだの思ってるだの言いながら結局自分が大事だってことね。まぁ、そうだよね。人間結局自分が一番可愛いものね。
私は彼を人睨みしてクローレのアジトに向かう事にした。
後ろからシアンの叫んでいる声が聞こえたが気にせず走ったが、直ぐにシアンの声はすぐ隣で聞こえる。

「ねぇ、私の中から出れないわけ?」

「残念ながら、恐らく君が死ぬか、あの石が壊れるまでは」

じゃ、使用して壊すっていうのが一番手っ取り早いかと思った。でも、フェイタンに殺してもらって生き返った場合はどうなるのだろうっと薄らと考えているとそんな事が可能かとシアンが驚いたように言った。私の中にあるという事は、気持ちまで読み取られてしまうのかと気持ち悪く思ってしまう。

「だから君は死ぬのが怖くないの?」

「捨てられる方が怖いわ」

そう、フェイタンになら本当に殺されても良いと思う。初めて殺されたあの日私は最高に幸せだったのだから。だから、死ぬのなんて怖くはない。普通はそうじゃないのか。私は普通ではないのか。何か間違っているのだろうか。

「強いね。でも、彼が君を傷つけてるのだってただの自己満足でしょ?君がそれを受け入れてるのだってさ」

「違う!!好きだからこそ、、、」

その後に何か言いたかったが、自分でもどう言って良いのかわからない。恋人っていう関係性に言葉は得たものの人の気持ちなんて読める物じゃないから相手がどう思っているかなんてわからない。
ただ、私が能力を使える間は私がフェイタンを愛しているという証明にはなる。だけどフェイタンが私の事をどう思ってくれているのかはわからない。不安じゃないと言ったら嘘になる。ただ、フェイタンは此奴とは違うと毒づくことしかできなかった。


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