飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


銀髪の男は死んだはずのサルヴァトーレであると言う。本来の姿、元の世界では銀髪であったそうだ。顔はよく見れば、さっき見た茶髪の男と確かに同じだ。
サルヴァトーレは死に際、リシュアンに白鳥の能力で若返りの能力を発動させた。その理由は、若返りの能力の誓約が記憶の喪失であるからだった。サルヴァトーレはリシュアンに自分の事を忘れさせて幸せになってほしいと思いそうしたのだが、リシュアンはサルヴァトーレの事を強く思ったせいなのかサルヴァトーレの事を忘れず、サルヴァトーレが死んだことを忘れてしまったのだ。
そして、元々この世界の住人でなかったサルヴァトーレが元の世界に戻ってしまったと思い込んだ。

「で、リシュアンはサルヴァトーレが元居た世界に行く方法を探してると?」

「そう言う事だね」

ただ、っとサルヴァトーレが続けた。
サルヴァトーレがこの世界に来た理由は、元の世界で殺したサント・フレーレスがこの世界に転生し、サルヴァトーレを恨んでいたサント・フレーレスが異世界から何とかサルヴァトーレを呼び出し復讐しようと作り出したのが異世界の扉―アナザーワールド―という事らしい。
しかし、その異世界の扉はこちらの世界から元の世界に戻るために作られたものでもなければ、何人もをこちらの世界に呼び出せるものではないようで、尚且つ、身体ごとこちらに来ているわけではないと言う。

「要するに魂だけが此方に来ていて、こちらでの身体は借り物と言うわけだ。だからサントは僕を異世界の扉に閉じ込めたんだよ。完全にこちらで消滅すれば、僕は元の世界に戻るだけだからね。」

まぁ、仮説だし。もしかしたら、もう向こうの身体は土に帰ってしまってるかもしれないけどっと付け加えた。

「でも、あなたの言うように異世界の扉が一方通行なら使用する意味がないじゃない」

「恐らくサントがリシュアンにあれを使えば行けるとでも言ったんだと思う」

どうしてそんな事をっと思っていると
異世界の扉は一度使用すると手元から無くなってしまう。白鳥ことスワンクロックは今までハンター協会に保護されていたほどの代物でどちらも手に入れるのは非常に大変である。そして、旅団まで動いているとなると手に入れるのは至難の業だ。っと続けた。

「それだけじゃないんじゃないの?」

「まいったなぁ」

困ったように笑ったサルヴァトーレにそれだけだったら私を会わせたくないとはならないでしょっと言うと
今私の中にある異世界の扉とスワンクロックを一緒に使用すると女神を授けることが出来るといった。そこで疑問がわく。

「あなたはもう死んだんでしょ?だったからその能力はもう消えてるんじゃないの?」

「リシュアンが持ってる。たぶん気付いてないだろうけど」

一番使用したかった時に使えなかった能力など貰っても嬉しくはないだろうにっと少しリシュアンという男がかわいそうに思えた。だが、それと私を会わせたくないのはどんな関係があるのだろうか。

「譲渡すれば渡した側は確実に死ぬ」

あぁ、そう言う事か、どんな理由があってサントがその能力を欲しているかはわからないが、異世界の扉とスワンクロックを同時に使用する事で女神の能力を譲渡することが可能で、譲渡した場合死んでしまうとなると今の持ち主のリシュアンの命が危ないからサルヴァトーレは渡したくないという事か。

「あぁ、謎は解けたんだけどさ。ちなみにサルヴァトーレの財宝ってその女神だけなの?」

「まぁ、そうだね。他の財宝は全部サントに盗られちゃったからね」

なんてことだろうか。まったくもって苦労に見合わない。
そして、この男はリシュアンの身を案じて私を会わせたくないと言っているが、旅団的にはサルヴァトーレの財宝を狙っているのだからその女神の力を欲しているという事だ。となれば、リシュアンの命を奪う事になる。
目の前の男には悪いが、私はフェイタンと共にいるためなら他者の命なんて気にしてられない。

「君もわかるだろ。好きな人を思う気持ちが」

「理解できないわ。きっとフェイタンなら私も一緒に殺してくれたはずよ」

「君だったらそうするの?」

私がもしも死にそうでフェイタンが私を助けるために死を選ぶなら。。。。。。


私もフェイタンを生かして自分の死を選ぶだろうと思うと何も言えなくなった。。。



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