飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


ひたすらウヴォーギンとノブナガが壁をぶち破り開けた場所に着いたのはあれから30分後だった。
要塞であるがゆえに光がなかったさっきまでの場所とは打って変わって、空なんて見えないはずなのにもかかわらず、その部屋の真ん中には何処からか漏れた光がさしている。

「トラップの可能性もあるよね」

光の当たっている先にはクロロが持って帰ってきた手帳と同じ物が置いてある。明らかに読んでくれと言っているようなそれにシャルはトラップである可能性も考えた。あたりに人は居そうにないし、その手帳から念能力を感じるわけではないが、あまりにも目立ちすぎてそう言いたくなってしまうのはわからなくもない。

「でも、あれ以外に何もなさそうよ」

各々部屋の隅々を調べてみたようだが、何も見つからず、パクノダがそう言うとクロロが、手帳に近づき手に取った。特段何かが起こる気配もなく、クロロはそのまま手帳を開いた。

―愛すべきリシュアン・ドーテへ
 これを読んでいる頃僕はもうこの世には居ないのだろうけど、
 僕はこの世界に来れたことに感謝している。
 君と言う愛すべき人を手に入れられたのだから

そう始まった手帳の1ページ目を見た後クロロは手帳の裏を確認した。そこにはサルヴァトーレ・ジュリアーノと書かれていた。

「どういう事だ、リシュアンとハイラントは知り合いでリシュアンとサルヴァトーレが恋人ってことかよ」

「っていうか、名前的に全員男だよね、、」

フィンクスの疑問にシャルが的外れな答えを言うとフィンクスがウゲッと顔を顰めた。また何かの暗号なのか、はたまたただの遺書のようなものなのかはわからないが、今まで調べていた自分物達は何かの比喩ではなく実際に存在した人物たちであったことがわかる。
そこから何ページか読んだが、甘ったるいラブレターが何枚もにわたって綴られている。

「とんだ骨折り損だな」

っとノブナガが言ったが、一番最後のページをクロロが捲って止まった。

―サント・フレーレスには気を付けてくれ
 そして僕の罪を許して欲しい。
 彼を殺したこの僕が彼を憎む事は出来ない。
 どうか、彼を許してあげて欲しい。
 
 もしも君が望むなら白鳥と石が君を導いてくれるだろう

「サント・フレーレスってよぉ、結局あのハイラントって奴の事なのか?」

「まだ、確信はないが、恐らくは間違いないだろうな」

リュシュアンと言う人物がリノンを襲った人物であり、ハイラントと友人そしてサルヴァトーレの恋人である。だがサルヴァトーレはハイラントであるサント・フレーレスを殺した人物であるが、ハイラントは生きている。いったいどういう事なのか今回の仕事は謎だらけである。

―ドンっ!!!!
「うぁっ!!、、、しまった」

「幻影旅団ってのも案外大したことないんだね」

一体どこから現れたのか、前に見た青い髪の男がノブナガの持っていたスワンクロックを奪い取り此方を見ていた。この男が恐らくリシュアン・ドーテ という男だろう。

「悪いけど、これは君らには渡せない大切なものでね。僕の物を盗ったあの女は今日はいないの?」

恐らくだろうがこの中でこの男に会ったことがあるのはフェイタンとリノンだけだ。そうすると、この男が攫っていたのかと思っていたが、違ったという事か。そうして男は残念と言って、黒い空間に消えていく。ノブナガとマチ、パクノダが攻撃を仕掛けたが、届きそうになった瞬間に黒い空間は消え去った。

「チッどうするんだよ団長、盗賊が獲物盗まれるとか」

「大丈夫だ。行先は解ってる」

そう言うとクロロは来た道を戻り始める。

「クローレに行くぞ」

クロロがそう言うとウヴォーギンがやっと楽しくなってきやがったぜーっと叫んだ。


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