飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「ささと言た方が身の為ね」

フェイタンは木に手を括り付けられ太腿から下の無い女に向かってそう吐いた。
あれからノブナガとフェイタンは女を連れて森の中で情報を聞き出すために拷問を重ねているが、女神についてどころかクローレの頭についても名がハイラントという事以外は話さない。
クロロの話ではクローレが賊のハイラントから報酬を貰ったと言っていたが、そのハイラントこそクローレの頭だったという事だ。しかし、それだけではクローレの頭であるハイラントがどんな宝を隠しているのか、何処にあるのか不明のままだ。
念能力もない女が此処までして口を割らないという事は知らないという事だろうとフェイタンは思っていたが、リノンの様に痛みに強いという事も否定はできないが、先程から息も絶え絶えにグシャグシャになった顔をみるとその線も薄いか思い始めていた。

「どうするよ、この女が知らねーんじゃ、クローレを直接調べるか、後はスワンクロックかリシュアン・ドーテだな」

「そうね、そろそろこの女にも飽きたよ」

それを聞いたノブナガがどうせ殺すなら一発やっときゃ良かったな、なかなかの上玉だったのによっと言うとそれを聞いた女が、もう付いていない足を動かすように太腿がバタバタと動かして抵抗しているかのような動きをし始める。
これがリノンであれば、可愛らしくて愛おしくてそして、もっと見ていたくなっただろうとフェイタンは思いながら、少しでも目の前の女とリノンを重ねてみた自分に嫌悪する。

「まっ、、、、おねがぃ、、、リシュアンについてなら、、、知って」

「は?何でてめぇが知ってんだ」

思わぬところで白鳥家の方への売却者について知っている人が現れたもんだ。フェイタンは、女の首を落とそうかと力を入れた手を緩め、女の頬に手を添えてニッと笑った。

「知てる事全部言えばもう痛い事はしないね」

と比較的穏やかな声でそう言うと、ノブナガが引きつった顔でフェイタンを見たが、フェイタンは気にせず女の話を促して話を聞き出していく。

「先月、ぅハイラントにリシュアンって奴が訪ねてきたっ、、、」

そう話し始めた。
訪ねてきたリシュアンがハイラントと初めはと旧友の中であった様にお互いの安否を気遣い会話していた。
しかし、アナザーワールドの使い方を教えてくれとリシュアンが言ったことをきっかけにハイラントはリシュアンにあれは使っていいものじゃないと繰り返しリシュアンを止めたが、他の方法を試したがもうそれ以外思い当たらないと焼きただれた顔をハイラントに見せたところ、スワンクロックを使えとハイラントが言ったと話した。

「スワンクロックっていや、他の連中が今取りに行ってるやつだろ、団長は初めからわかってたって事か?」

「それはわからないね、それに問題はそこじゃないね」

顔が焼けた男なんてそうそういるもんじゃない。居たとしてもえらく偶然が重なるものだ。フェイタンは前にリノンに化けていたパクノダ達を襲った青い髪の顔の爛れた男を思い出した。

「リシュアン・ドーテはどんな奴ね」

「青い髪、でっ、、30くらい、、男の人よ、、」

「おぃおぃ、リシュアンって奴は97歳じゃなかったのかよ」

そう、確かシャルの調べでは97歳だと言っていた。それに最初に白鳥家の方へが売却された年数からしても28歳と言うのは可笑しすぎる。50年以上は前だった筈なので、リシュアン・ドーテが30歳であれば生まれている筈もない。だが、見た目なら若く見せることくらい念能力者にとっては造作もないことであるし、97歳で戦闘することも可能だろう。可能性としては別の人物で協力者であるか、リシュアン・ドーテと名乗った別人、同一人物で年齢を誤魔化しているかのどれかであるのだろうが、少なくともパクノダ達を襲った男であることは間違いなさそうだ。

「恐らく年齢は間違てないね。」

「まぁ、見た目なんてあてになんねぇけどよ。んでよ、結局そのスワンクロックでアナザーワールドを使ったら何が出来んだよ」

「異世界に、、、行きたいって、、リシュアンってやつは言って」

ノブナガの質問に女は尻つぼみに言った。確かに異世界に行きたい等と普通なら頭が可笑しいか、非現実すぎる妄想に笑われるだろうが、フェイタンには身に覚えがある為、恐らくこの女が言った言葉に嘘はないのだろうと思った。
しかしだ、何故そこまでして異世界に行きたいのか理解に苦しむ。女の言葉から推測するとそのリシュアンの顔が爛れた原因は異世界に行く方法を他に探し失敗した結果だと伺える。そこまでして何故なのか理解に苦しむ。

「知てるのはそれだけか?」

「えぇ、、、ホントにこれ以上は知らないっ」

「そうか」

とフェイタンがゆっくり立ち上がり、ニッと笑ったのを見て女は少し安心したような顔をしたが、次の瞬間には女の首は地面に転がっていた。




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