飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


彼女ことリノンの名前を聞き出した2日後、指を切断する事にも少し飽きたのとこのまま何も与えなければ死んでしまうだろうし。かと言ってまだ殺すのには惜しいし、彼女の悲痛に歪んだ顔全てを見てみたいと思い食事を餌に彼女の目隠しを取ることにした。

久しぶりの明かりに目を顰めるリノンの足元に持ってきたごく少量の水とドロドロに煮込んだシチューを置いてやった。

「食べるね」

飢餓の時に大量の水分や固形物を摂取すれば胃痙攣や急激な低血圧で死んでしまう場合もある。
それでは面白くない。


「 手が、、、っ」

リノンは、手足を縛られた状態で動けない事を私の顔を見て訴えた。その瞬間少し目が見開かれた。
フェイタンの事を怯えてるだけではない顔だが何を考えているのかはわからない。
手を使えるようになったところで、指は数本しか残っていないし、使えるのかはわからないが、両手で挟んで持つくらいはできるか。

「これでいいね、食べるよ」

フェイタンは拘束していた縄をほどき、そう言ってから少し離れた目の前にある椅子に腰かけ、リノンを観察する。
拘束のなくなった彼女は、立ち上がろうと手すりに置いてあった手に力を入れた瞬間、自分の身体の状態を初めて見て狼狽えたか目が微かに揺れた様な気がした。

―もたい無い事したね

フェイタンは彼女の表情に興奮しながらも今までリノンの表情をちゃんと見れなかったことに少しの残念さを覚えた。
彼女がシチューを啜るのを見届けてフェイタンは部屋を出た。
身体の汚れを落とそうと風呂に向かおうかと思ったが、ふと彼女のことが知りたくなり、
部屋を出たフェイタンは、携帯を手に取り団員一の情報網を持つ彼に連絡した。

「調べて欲しいことがあるね」

「開口一番に要件って相変わらず、せっかちだよね」

「うるさいね」

ワンコールが鳴り終わる前に出た相手に要件を伝えると相変わらず回りくどい無駄口を叩く彼に苛立つ。
折角気分が良かったのが台無しになる前にさっさと要件を伝えて電話を切ってしまいたくなる。

「リノンという人物について知りたいね」

フェイタンがそういうと彼は出身地や容姿、職業などを聞いてきたがわかっているのは容姿のみ、

だが、この辺には、茶色がかった目も髪も少し珍しいし、リノンという響きの名前もそんなに多くないだろうから、該当する女の写真を片っ端から送ってもらうことになった。

「じゃ、例の口座に入金しといてね。後団長から次の仕事の連絡来てるから確認しといてよ。」

「あぁ」

それだけ言うとフェイタンは携帯を切り、口座に送金し、後は次の仕事の確認をする。内容は、3週間後にアジトに集合、約1ヶ月とだけ書かれている。
前の仕事の際に参加者がいなかった為か何を盗るかまでは書かれていない。


―まぁ、あれはもう長くないしいい頃合いね。

とリノンの事を思うと同時に少しの喪失感が湧きあがる。
何が自分にそんな事を思わせるのかわからずそれが余計に腹立たしさを増し、
身体の汚れでも流そうかと風呂に向かおうかと思っていたが

―仕事までの間せいぜい楽しませてもらうよ

と思いながら彼は、フッと思わず笑みをこぼし、踵を返してリノンがいる部屋へ戻った。


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