飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「フェイタン?」

シャルとパクがホテルから出た後、始めるのかと思ったら、ラフなパーカーとズボンの格好に着替えて、私にもワンピースの服をポイっと投げて渡してきた。

「出掛けるね」

「何処に?」

あまり動くのには向かない少し短めのスカートに疑問を抱きフェイタンに問いかけた。明後日にはフェイタンは仕事だからその前の準備にでも行くのだろうかと思っていたが、それにしては偉く心もとない服装に何をしにいくのだろうかと思ってしまう。

「何処に行きたいね」

「え?」

何か用事があるのだろうと思っていた私は予想外の答えに思わず聞き返してしまった。それは、仕事ではなくて二人で出かけるだけという事だろうか。今まで二人で出かけたのは初めて服を買いに行った日と後はフェイタンの仕事でついて行った時くらいで、目的もないのに出掛けようなんてフェイタンが言い出すとは思ってなかった。ただ、この辺りの事をあまり知らない上に私に聞いてきたものの、仕事上必要な物でも買いに行くつもりなのか、わからず聞いてみようと思う。

「えっと、それは」

「恋人は二人で出掛けてデトするて書いてたね」

フェイタンが私と離れている間に何を見たかはわからないが、恋人っと言った??誰が?私とフェイタンが??えっ、いつの間に付き合ったの?っとパニックだ。確かにフェイタンの事を愛してると言ったし、愛してると言われたが、付き合おうとは言われていなくて、だけど確かにそれと言える行為はしてて、

「違たか?」

「ううん違わない!」

私は勢いよく返事をしながら、恥ずかしさと嬉しさでいっぱいでそれを隠すように急いでフェイタンから見えないように後ろを向いてワンピースを被り、着ていた服をワンピースの中で脱いだ。

「これでリノンはワタシの物ね」

一体何の本を読んだのかは凄く疑問だ。結婚と違って恋人になれば相手の物になると言うのはいささか強引すぎるとは思うものの、その本に少し感謝したい。フェイタンには恋人なんて概念は無いと思っていたから、今までと変わらずで構わないとも思っていたが、この関係性を繋ぐ言葉が割り当てられたことによって何かフェイタンとの繋がりが深まったような感覚がする。

「フェイタンは?何処か行きたいところある?」

私はこの辺りの事もこの世界の事もまだまだ知らない事でいっぱいだ。だから何処に行けば良いかわからないのでフェイタンの行きたいところに行きたいと思う。

「だたら、買いたいものがあるね」

と言って部屋を出ようとするフェイタンについて行こうとすると、フェイタンは振り向いて、私の横を通り過ぎて床に落ちた昨日フェイタンが着ていた服を漁って何かを持ってきた。

「忘れてたね」

フェイタンの手には銀色の鞭が握られていた。手渡してきたので何が何だか分からないが、とりあえず受け取った。金属でできているのか心ばかし重たい。

「お土産ね、渡しそびれたよ」

そこでそう言えばあの展示会に行く前に武器のお土産を持って帰ってくると言っていた事を思い出した。この鞭はそのお土産のようだ。

「ありがとう」

「もし、能力が使えなかた時の為よ」

周で覆えばある程度自分の思ったように動かせると言われて軽く振るってみると血を操る能力より速さは落ち、相手を絶状態にはできないがそのかわり威力はこちらの方が上のようだ。

「ありがとう」

フェイタンは私の言葉を聞いて、私のスカートを少したくし上げた。急な事に驚き思わず上がったスカートをかろうじでパンツが見えない位置で抑えると、太ももに何かつけられた。

「これに入れとくね」

脚は鞭が収まるようにポケットがついた物が取り付けられていた。フェイタンは言った後部屋を出て行こうとしているので私は急いでそれに鞭をしまい追いかける。


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