飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「白鳥家の方へかぁ、謎が多いんだよね」

団長の話から3日後、ミンボ共和国に着いたフェイタン達3人はシャルの情報を元に例の本か、それを読んだことのある人物を探していた。元より情報だけでいいならシャルがアジトで調べるだけでいい。それを調べて来いと現地まで向かわせるのだから、目的は、ただの情報ではない。中身に何が書かれているかを調べろと言うことだ。

「だったら人を探す方が良さそうね」

パクかそういいながら、リストを眺め、視界に入る男を見た。リストにはシャルによって調べられた原本を読んだことのある人物が書かれている。どの人物も有名な資産家だ。そして、その中の一人が視界の中にいる。

「とりかえず、あの男から聞き出そう」

今回はパクもフェイタンもいるから諜報なら最強だからねっとシャルが笑った。確かに戦闘だけで考えると少し心許ないが、人から情報収集するなら最高のメンツだ。

「今回はパクがいるからワタシの出番はなさそうね」

確かに記憶を読めるパクがいれば簡単に聞き出す事が可能だが、何時もならパクに譲れと言って遊んで吐かせるのに今日はこの前リノンを散々痛ぶったせいか大人しいなっとシャルは思った。

「じゃ、行ってくるわ」

パクはそう言って、シャル達から離れて、男性に近づいて行った。何やら少しぶつかった後、男性の手に触れて少し話している。こういう時女性でなおかつ触れて記憶を読むパクの能力は便利だ。
人が多くても何も疑われず騒ぎにもならずに聞き出せる。

「ね、フェイタン、リノンの事好きならもっと大切にしてあげたら?」

不意にシャルがそう言った。あの喧嘩していた時ならその言葉になんと返せばいいのか、大切とは何かと悩んだだろうと思いながらフェイタンは答えた。

「ワタシにとてリノンは大切ね、離さないし逃がさないよ。それをリノンも望んでるね」

フェイタンがそう言うとシャルは驚いた様にフェイタンを見た。フェイタンが大切と言ったことに対してだろうか、それともリノンがそれを望んでると言った事に対してだろうか。シャルは少し悩んで

「二人とも不器用だよね」

シャルは考えることを諦めたようにそう漏らした。フェイタンはそうかもしれないと思った。普通の様に愛してるという言葉だけじゃ足りない。優しくしてやりたい、抱きしめたい、傷つけたい、壊してやりたい、離したくない。自由を得たとしてもそれでも、自分の全てを受け入れ離れていかないことが彼女から愛されている証だと思ってしまう。

「ハァ、リノンが嫌がってないなら仕方ないけどさ」

シャルはそれでも、この前の光景が忘れられなかった。死んでるだけじゃなく、恐らく拷問でもされたのであろう手足に腹部からは臓器がほぼほぼ外に出されて横たわっていたリノンの事を。
ただ、フェイタンの言葉を信じられない訳じゃない。リノンは弱い訳じゃない本気で嫌なら逃げれば良かった筈だ。でも、それをしなかったのだから。シャルがそんな事を考えているとパクがこちらに歩いてきた。

「終わったわ、行きましょう」

パクは微妙な雰囲気の二人に気付きながらも何も聞かずにホテルに戻るように促し、二人はそれに着いて行く。


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