飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「ねぇ、リノン、貴方フェイタンの事好きなんでしょう?」

パクの質問に言い澱む、私がそれを言っていいのだろうか。
ずっとずっと、フェイタンに嘘をついてきた。フェイタンが望むなら側にフェイタンが望めば何でもっと、そう言ってきたが本当は違う、私がフェイタンを欲しくて欲しくて仕方なかった。
私を独占して私を縛って私を優しく包み込んでくれるフェイタンを私と言う名の鎖で縛っておきたかった。フェイタンが私を求め私に痛みを与える事でフェイタンが私以外見れなくなって仕舞えばいいと思っていた。
綺麗な言葉で自分を汚さないで全てフェイタンが望んでいるからと言い訳して。

「すきだよ、誰にも渡したくない。」

「だったら」

「だたら初めからそう言えば良かたね」

私の答えにシャルが答えたかと思ったが、独特な話し方にシャルが言ったのではない事は直ぐにわかった。自分の後ろに彼がいるのがわかるが、どんな顔をして、見ればいいのかわからない。

「お邪魔みたいだね、今回は譲るけど、次は俺が貰うから」

シャルはフェイタンにそう言って立ち上がりパクも何も言わずにシャルと一緒に居間を出て行った。待って置いてかないでと言いたかったが言えるような雰囲気ではない。
フェイタンは何も言わずに私の後ろから退くつもりも無いのか無言が続く。
フェイタンは何を今考えているのだろう。

「ワタシだけだと思たね」

何のことだろうか、好きだと言ったことだろうか、本当に信じてもいいのだろうか。フェイタンのその感情はただの気まぐれではないのだろうか。飽きたら嘘だったと去ってしまいやしないだろうか。
きっとそれは耐えられない、それならいっそう私からっとまた、私は逃げようとする思考を抑える。何時もフェイタンは私を捉えるように私を欲してくれると言うのに私は、、

「誰にも触れて欲しくない。私だけ見てて欲しい。誰にも盗られたくない。ずっと一緒に、、、、居て、私だけをっ」

喉が薄っすらと痛くなり、声を出すのが辛くて言い澱む私の背中が暖かくなる。それに涙が止まらなくなる。久しぶりのフェイタンの腕の中はやっぱり優しく温かい。

「捕まえて閉じ込めれば良いと思てたね」

そうして欲しいと私も望んでいた筈だった。それが、愛でも好きでもなくても良いとそう思っていた筈だった。でも、それだけじゃ全然足りないと思ってしまうくらいにフェイタンに溺れてしまった。私は本当に自分勝手で、フェイタンの全部が欲しくなった。こんなはずじゃなかったのに、フェイタンの為にできる事をっと思っていたはずなのに、、

「なのにワタシを必要としないリノンを閉じ込めても意味ないと思たね」

私がフェイタンに必要とされて、フェイタンが愛してくれているかを確かめたいと思って、それでも信用できなかったようにフェイタンも私がフェイタンを愛している事を確かめたかったとそう思っても良いのだろうか。

「愛してるね」

涙が止まらなかった。私はただフェイタンを信用してなかっただけでフェイタンは何時も何時も私にくれていた。私は何も渡せていないのに、ただただ自分が傷つくのが怖い為に、自分でフェイタンを信用できないようにしてただけだ。

「私も、、私もフェイタンを愛してる」

−だから、だからフェイタンが与える痛みも受け入れられるのは私だけ、だから私を離しちゃダメだよ

汚い汚い私の心それも全て受け入れてフェイタン




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